まさか…こんなところで熱中症に?!赤ちゃんの熱中症対策Q&A【医師監修】

これから暑くなる季節。体温調節がうまくできない赤ちゃんが熱中症にならないためには、大人が注意してあげることが大事です。赤ちゃんの熱中症についてママやパパたちが気になることを、帝京大学医学部附属溝口病院の小児科医、黒澤照喜先生に聞きました。
赤ちゃんの熱中症予防のために知っておきたいこと
熱中症とは、体内に熱がこもり、体温が急激に上昇して引き起こされる症状のことです。赤ちゃんの場合、主な症状は機嫌が悪くなる、顔色が悪くなる、脱水症状や意識障害、ショック状態などで、最悪の場合、命を落とすことも。赤ちゃんは体の不調を言葉で伝えられないため、ママやパパが気をつけてあげることが必要です。
「熱中症を予防するには、まず暑い時間帯の外出を避ける、こまめに水分補給をする、風通しがいい服装にする、エアコンで室温を24〜28度くらいに保つ、外出時はこまめに休憩を取る、などに気をつけましょう。コロナ禍で外遊びをする機会が減り、暑さに慣れていないと熱中症になりやすいことも。人込みを避け、2才以下の子どもの場合はマスクをはずして、お散歩や外遊びをして体を少しずつ暑さに慣らしておくといいでしょう」(黒澤先生)
また、熱中症が起こりやすい状況を知り、避けることも大切です。
「とくに注意したいのは、車内に子どもだけ置き去りにすること。エンジンをかけてエアコンを入れていても、車内は熱中症を引き起こしやすい状態に。日中だけでなく、夜間も同じです。
そして、日中に屋外で長時間ベビーカーに乗せることも熱中症の危険が。ベビーカーの赤ちゃんは地面から近いため照り返しの熱を受けやすくなります。こまめに赤ちゃんの様子に気を配りましょう」(黒澤先生)
教えて!熱中症対策の気になるあれこれQ&A
黒澤先生に、ママたちが気になる熱中症についての質問に答えてもらいました。
Qコロナ禍で外遊びが減ると、熱中症になりにくいの?
【黒澤先生より】
総務省資料によると2020年は2019年の同時期と比べて、熱中症搬送数が減ったそうです(※)。理由は屋外活動の減少と、熱中症予防に対する意識の高まりが考えられます。一方で、マスク着用で熱がこもることや、屋内で不適切な換気などのために熱中症が発生する可能性もあるため、屋内でも十分気をつけましょう。
Q室内でも熱中症になるの?
【黒澤先生より】
急激に気温や湿度が上がる時期には、体が暑さに慣れていないと室内でも熱中症になるケースがあります。以下のことに気をつけましょう。
・赤ちゃんを日当たりのいい窓際に寝かせっぱなしにしない
・エアコンを活用して、室温を24〜28度くらいに保つ
・ときどき換気を行い空気を循環させて、気温・湿度を下げる
・赤ちゃんの服の枚数は大人より少なく
Qベビーカーや抱っこひもにつける携帯扇風機は熱中症対策になるの?
【黒澤先生より】
空気の流れができるので悪くないと思います。ただ、赤ちゃんがけがをしないようにきちんと安全対策がとられたものを選ぶことが大切です。赤ちゃんが扇風機を触ろうとしてベビーカーが転倒しないよう、使用時は目を離さないようにしましょう。
Q熱中症対策に、離乳食の塩分量も増やしたほうがいいの?
【黒澤先生より】
母乳・ミルク・離乳食にも一定量の塩分は含まれているので、食事の塩分を増やす必要はありません。お水やお茶だけを与えすぎると塩分不足になる恐れもありますが、普段の食事が取れていれば十分でしょう。
Q子どもに塩分のタブレットなどを食べさせてもいいの?
【黒澤先生より】
あめやタブレットなど、直径39㎜のトイレットペーパーの芯を通る大きさのものは、誤飲事故につながる可能性があるので、3才未満の乳幼児には与えないようにしましょう。
Qベランダなどのプール遊びで気をつけることは?
【黒澤先生より】
プールの水遊びでは、気づかないうちに脱水症状になってしまうことも。日ざしが強く気温が高い真昼の時間帯は避け、本人の体調に注意しながら、水分補給をする、短い時間で切り上げるなどの工夫をしましょう。
Q赤ちゃんにも日焼け止めを塗ったり、UVカットの上着を着せたりしたほうがいいの?
【黒澤先生より】
日焼け止めやUVカットの衣類は紫外線を防いで日焼けを予防するためのもので、熱中症対策にはなりません。スキンケアとしては大切なので、外出時は日焼け対策をするといいでしょう。
Qお出かけの時ベビーカーに取り付ける保冷マットは使ったほうがいいの?
【黒澤先生より】
保冷剤やベビーカーに敷くタイプの保冷マットなどは、熱を取ってくれるため、熱中症対策には有効です。ただし、だからといって暑い日にベビーカーに長時間乗せっぱなしにするのはNG。また、冷えすぎることもあるので、顔色や体の震えがないか気をつけましょう。このほか、おでこに貼るような冷却ジェルシートはメントールでスッとした感覚じがするだけで実際に熱は奪われないため、熱中症対策にはなりません。
Qお出かけ時に温度計や体温計などを携帯したほうがいい?
【黒澤先生より】
必須ではないですが、あれば気になった時に温度をチェックできますね。ただし、熱中症の発症は、気温以外に湿度や風の流れも影響するので参考程度に。体温計だけでなく、赤ちゃんの様子を見ることも大事。体温を測って平熱より1℃以上高ければ、まず日陰・風通しのいい場所・エアコンが効いた場所に移動しましょう。
Q完全母乳の赤ちゃんの場合、暑い日はいつもより頻回授乳をしたほうがいいの?
【黒澤先生より】
汗で失われた水分を補うため、頻回授乳になる可能性もあります。赤ちゃんによっては1回あたりの授乳量が増えるため、回数は増えないことも。生後1カ月以上なら、赤ちゃんが欲しがったら授乳をするといいでしょう。なお、母乳はママの血液由来です。ママも脱水症状にならないように、水分・塩分を多めに摂取してください。
お話・監修/黒澤照喜先生、取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部
熱中症対策の赤ちゃん用グッズもありますが、過信するのは禁物。屋外でも屋内でも、暑さで赤ちゃんの体に負担がからないようにママやパパが十分注意してあげましょう。
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