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〈最新〉日本小児科学会が中間発表。小児のオミクロン株で注意すべき症状【小児科医】

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健康状態の悪い女の子
※写真はイメージです
yamasan/gettyimages

2022年3月7日、日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会から『データベースを用いた国内発症小児 Coronavirus Disease 2019(COVID-19) 症例の 臨床経過に関する検討の中間報告: 第3報 オミクロン株流行に伴う小児COVID−19症例の臨床症状・重症度の変化』が発表されました。日本小児科学会では、2020年5月22日から国内小児におけるコロナウイルス感染症2019(COVID-19)レジストリ調査を継続しており、今回は2022年2月28日時点で、同調査に登録された5472例についての報告です。
この数は国内小児患者数の0.5%に当たり、オミクロン株に感染した小児の症例も含まれています。日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会で副担当理事を務め、同報告にも携わった新潟大学医学部小児科学教室教授 齋藤昭彦先生に、オミクロン株に小児が感染したときの傾向と注意点について聞きました。

「ケーン、ケーン」という甲高いせきが出たら、すぐに受診を

2022年3月、京都で新型コロナウイルス感染症(以下新型コロナ)に感染した、基礎疾患がない10カ月の女の子が自宅療養中に亡くなったという報道がありました。「ひとごとではない」と感じたママやパパも多いと思います。

――亡くなった女の子には基礎疾患がなかったと報じられています。なぜ、基礎疾患がないのに亡くなってしまったのでしょうか。

齋藤先生(以下敬称略) 死因などの詳細はわかりませんが、可能性の1つとして考えられるのはクループ症候群の併発です。
クループ症候群とは、ウイルス感染によって、のどの奥の喉頭(こうとう)や気管に炎症が起きて、空気の通り道をふさいでしまう呼吸器の病気です。海外の報告では、新型コロナとクループ症候群の関連性が指摘されていますし、国内でも症例が報告されています。
オミクロン株は、従来株とは異なり、上気道(じょうきどう)(のど、のどの奥)でウイルスが増殖するのが特徴です。そのためオミクロン株流行期は、従来株よりも咽頭痛を訴える割合が26%も増加しています。上気道に炎症が起きやすいのが特徴です。

――クループ症候群の症状の特徴を教えてください。

齋藤 クループ症候群は、次のような症状が急に出るのが特徴です。1つでも症状が該当した場合は、すぐに医療機関に連絡をしてください。新型コロナに感染すると保健所や医療機関などから緊急時の連絡先を伝えられるので、そちらに連絡して症状を伝えてください。
ステロイド薬を服用し、上気道の炎症を抑え、むくみをとらないと呼吸困難を起こすこともあります。家庭で様子を見ていて、状態が悪くなることもありますので、注意が必要です。

●クループ症候群の特徴
[1]息を吸うときに「ヒュー」という音がする
[2]「ケーン、ケーン」という犬の遠ぼえのような甲高いせきをする

オミクロン株流行期、熱性けいれんを起こす子どもが増加

オミクロン株の感染は、比較的軽症といわれていますが、小児では80%を超える子に発熱症状が見られ、熱性けいれんを起こす子も増えています。

――子どもがオミクロン株に感染した場合、ほかに注意したほうがいい症状はありますか。

齋藤 小児の発熱は、流行初期は41%でしたが、オミクロン株流行期は約2倍の80.6%に増加しました。それにより熱性けいれんも増えています。
熱性けいれんを起こしやすい1~4歳では、新型コロナ流行初期は11例(1.3%)、デルタ株流行期は10例(3
%)でしたが、オミクロン株流行期は22例(9.4%)に増加しています。

熱性けいれんの頻度が比較的低下する5〜11歳においても、6歳までは熱性けいれんが起こりえます。新型コロナ流行初期は4例(0.4%)、デルタ株流行期は0例(0%)でしたが、オミクロン株流行期は18例(3.5%)と増加しています。
また5〜11歳の新型コロナワクチン接種も始まっていますが、ワクチン接種によって発熱し、熱性けいれんを起こす可能性もあります。
そのため熱性けいれんが起きたときの対処法を覚えておいてください。熱性けいれんは、通常、熱と一緒にけいれんが起こり、長くても10~15分以内でおさまります。対処法は次のとおりです。

●けいれんが起きたらすぐすること
[1]平らで安全な場所に寝かせる。抱き上げたりはしない
[2]静かに呼びかけて、意識を確認する
[3]口にはものをくわえさせない
[4]けいれんの様子を確認して、次の4つのことをチェックする(もし余裕があれば、けいれんの様子を動画で撮影しておくと診断の助けになる)
・けいれんが始まった時間、けいれんがおさまった時間
・右半身だけ、左半身だけなどけいれんに左右差がないか
・くちびるの色が悪くなっていないか
・眼球がどこか一方向を見ていないか

●けいれんがおさまったらすぐすること
[1]意識を確認する
[2]体温を測る

●けいれんを起こして至急受診する目安
[1]0~5カ月でけいれんを起こした[2]嘔吐を繰り返す
[3]熱がないのにけいれんを起こした
[4]けいれんが左右対称でない
[5]呼吸や顔色、意識がおかしい
[6]初めてけいれんを起こした
[7]けいれん後、手足の動きが悪い
[8]けいれんを繰り返した
[9]けいれんの時間が15分以上続いた

――新型コロナに感染していてけいれんが起きたとき、かかりつけの小児科を受診していいのでしょうか。

齋藤 新型コロナに感染していることがわかっていて自宅療養している場合は、自治体ごとの対応で保健所などから緊急時の連絡先の指示があります。そちらに連絡をして指示を仰いでください。そちらに電話がつながらない場合は、かかりつけの小児科に相談をしてもいいですが、新型コロナに感染している旨は必ず伝えてください。

――けいれんが起きたとき、救急車を呼ぶ目安を教えてください。

齋藤 国内でも、新型コロナに感染して脳炎を発症した子がいます。主な症状の1つがけいれんですが、脳炎によるけいれんは長く続き、意識の障害も長く続きます。
そのため10分近くけいれんがおさまらないときは、すぐに救急車を呼んでください。至急処置をしないと、重い後遺症を残すこともあります。

自宅療養中は、こまめな水分補給を心がけて

今回の報告では、吐きけや嘔吐によって入院した子が増えたという報告もあります。

――吐きけや嘔吐は、オミクロン株の特徴なのでしょうか。

齋藤 オミクロン株に感染すると咽頭痛で十分に水分補給ができなかったり、発熱によって気持ちが悪くなって嘔吐を繰り返すこともあります。
オミクロン株流行期においては、5〜11歳に吐きけ・嘔吐が約15%に見られ、水分がとれなくて入院した子もいます。低年齢の子ほど脱水症にはなりやすいので、自宅療養のときは少しずつこまめな水分補給を心がけてください。

――子どもがオミクロン株に感染したときは、味覚・嗅覚(きゅうかく)への影響もあるのでしょうか。

齋藤 主に年長児以上には、デルタ株流行期までは味覚・嗅覚障害が2〜3割の患者に認められていました。しかしオミクロン株流行期はほとんど見られていません。

お話・監修/齋藤昭彦先(さいとうあきひこ)生

取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

少し前までは、基礎疾患のない子どもにとっては、新型コロナは感染してもほぼ症状が出ないか、出ても軽症といわれていました。しかし齋藤先生は「オミクロン株流行期になってから、症状が出るお子さんが増えてきました。また、数が増えてくると、まれですが、重症例の報告もあります。そのため新型コロナワクチン接種が受けられるお子さんは、ワクチンで予防することを検討してください」と言います。

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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