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“子どもの脳が萎縮する?子どもの記憶力を高める?”生活環境で作られる脳の仕組み【脳医学者】

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教育技術の概念。エドテック人工知能(人工知能)。
※写真はイメージです
metamorworks/gettyimages

16万人を超える脳のMRI画像から、脳の発達のしくみを解明する脳医学者である東北大学加齢医学研究所教授の瀧靖之先生。10才の男の子のパパでもある瀧先生に、子どもの脳の発達から見る子育てのヒントと、瀧先生自身の子育ての様子を聞きました。第1回のテーマは「睡眠と記憶力について」です。

「脳の中のタツノオトシゴ」、海馬とは?

――以前、瀧先生の研究で「睡眠時間を十分にとっている子どもは、睡眠時間が短い子どもに比べ、脳の記憶をつかさどる領域である海馬の体積が大きい」ことがわかった(※)とありました。脳の海馬の働きについて教えてください。

瀧先生(以下敬称略) 海馬は人間の脳のちょうど中心あたりに、左右1つずつあります。形が「タツノオトシゴ」に似ていて、英語でシーホース「Sea(海)horse(馬)」といわれることから、「海馬」という名前がつけられています。
海馬は、ひと言で表現すると「記憶」の中枢です。記憶というのは、考えたり判断をしたり選択をしたり会話をしたり、といった、人として生きていくための高次認知機能の基盤となるもので、海馬は脳の中で記憶にかかわる最も重要な領域といわれています。

――海馬の機能はどのようにして発達させることができるのでしょうか?

瀧 私たちの大脳には生まれた時から約140億個の神経細胞があり、脳の中の神経細胞は新しく生まれることはほとんどないといわれています。その中で唯一、神経細胞が生まれる「神経新生(しんせい)」が起きるのが海馬だといわれています。海馬の神経新生を促進するには、少し息が弾むくらいの有酸素運動が有効だといわれます。運動などによって海馬の神経細胞が生まれ、体積が大きくなると結果的に記憶力が高まるという報告はいくつもあります。

一方で、ストレスは神経新生を抑制することがわかっています。大人で睡眠時無呼吸症候群のように、途中で苦しくて目が覚めてしまうような人の場合は、海馬が萎縮(いしゅく)していることがわかっています。理由はさまざまと思われますが、睡眠時間が少ないことが体にとってストレスになり、海馬の神経新生を抑制するのではないかと考えられています。ですから、睡眠をしっかりとることで、体にとってのストレスが減り、結果的に海馬の神経新生を促進することになると思います。ただ、睡眠時間が長ければ海馬が育つわけではなく、睡眠の質が大事です。

子どもが毎日適度に運動をすること、十分な睡眠をとることは、脳の中で重要な役割を持つ海馬を発達させるために大切であると考えられます。

脳医学者パパ・瀧先生の子育て体験を教えて!

――瀧先生の息子さんの睡眠習慣はどうでしたか?

瀧 私は仕事柄、睡眠の大切さをよく知っていますので、子どもの睡眠時間をしっかりとることには気をつけていました。夜は照明が明るすぎると眠りに入りづらいので、少し明るさを下げていました。

5才くらいまではとくに、子ども1人で寝るのは難しいところがあると思うので、私も息子に合わせて早寝をしていました。一緒に21時〜21時半くらいに寝ちゃっていましたね。でも夜にできないぶん仕事がたまってしまうので、朝は4時半くらいに起きて仕事をしていました。

――眠りに入るための習慣などはありましたか?

瀧 寝る前に必ず読み聞かせをしていました。私と子どもと妻と3人並んで、私か妻、眠くないほうが絵本を読み聞かせる、というか(笑)。子どもが本好きになる、学ぶことが好きになる最初の1歩は読み聞かせだと思っているので、それは習慣にしました。今も、寝る前は3人でそれぞれ好きなジャンルの本を読んでいます。
私はビジネス書を読むことが多いですが、妻と息子は同じ小説を読んで感想を言い合うなど、親子のコミュニケーションをとる時間にもなっています。そんなふうにぬくもりを感じて眠りにつくことも、子どもにとってストレスが少なくなるのだと思います。

【瀧先生に聞く】ママ・パパからの気になるQ&A

子育て中のママやパパの困りごとや悩みに、瀧先生からアドバイスをもらいました。

【Q】2才半を過ぎて、昼寝が減り、昼寝をすると夜なかなか寝ません。睡眠が短いのでは、と心配です。

【瀧先生より】
明確にこのくらいの睡眠をとるべき、というエビデンス(科学的根拠)は少なく、個人差もあると思うので難しいところですが、一般論としては、夜寝つかせるためには、昼間にたくさん体を動かすのは大事なことだと思います。
また、昼寝の時に部屋を暗くせず、明るいところでうたた寝程度にする、夕方以降の昼寝は控えるようにすると、夜の睡眠の質に響きづらいといわれています。

【Q】3才の子どもが早起きできず、寝起きが悪くて幼稚園のしたくが大変です。早起きの習慣をつけるには?

【瀧先生より】
共働きでママやパパも忙しいでしょうし、夜に家のことを片づけなければならず、寝かしつけも大変だと思います。もし可能なら、早起きの習慣をつけるには、早く寝ることが大事です。それには、睡眠に向けて準備をしてみるといいかもしれません。夕食のあとは、家の中の照明の明るさを目が悪くならない程度に落としてみるのは、眠けを導きやすくする1つの方法です。

また、バックライトがあるスマートフォンやタブレットは、眠けを引き起こすホルモンであるメラトニンの分泌を抑えるといわれています。寝る1時間前くらいからは、タブレットなどは見ないようにするのもいいと思います。

お話・監修/瀧靖之先生

取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部

2才を過ぎると、夜にまとめてぐっすり眠る子も出てくるころ。早起き・早寝の習慣をつけるためにも、子どもが眠りやすいように工夫をしてあげることが大切です。

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

※Y Taki ,et al., Sleep duration during weekdays affects hippocampal gray matter volume in healthy children. NeuroImage | Volume 60, Issue 1, March 2012, Pages 471–475

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