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<実証>子どもは自分の身長より高い柵を30秒で乗り越えるという驚きのデータも!節電の今夏、転落事故に注意して!【小児科医】

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危険な高いバルコニーの手すりを登る教師なしの幼児。危険な子の動作。致命的な事故。
※写真はイメージです
globalmoments/gettyimages

厚生労働省の人口動態調査(2014年~2018年)によると、9歳以下の子どもの建物からの転落(※)死亡事故は、7~8月に最も多く発生しています。
政府は、今年の夏は電力需給が厳しいとして、7年ぶりに節電を要請しています。なかには「エアコンを使わず、なるべく窓を開けて過ごそう」と考えているママやパパもいるかもしれませんが、乳幼児がいる家庭では転落事故に注意が必要です。子どもの事故に詳しい、小児科医 山中龍宏先生に事故を防ぐ方法などを教えてもらいました。

5歳児では、30秒以内に120cmの柵を乗り越える子は90%以上

山中先生が理事長を務め、子どもの事故の調査や対策などに取り組むNPO法人Safe Kids Japanでは、2020年10月から2022年3月にかけて子どもの転落事故について調査・実験を行っています。

――今回、調査・実験をした背景を教えてください。

山中先生(以下敬称略) 2020年6月に、子どもがベランダから転落する事故が、1カ月の間で4件も起きました。
なかにはベランダに台などの足がかりを置いていないのに転落した子もいます。
原因を調べるために、保育園の協力を得て、子どもたちはベランダと同じ高さの柵を乗り越えることができるのか、ということを実験しました。

――実験の詳細と結果を教えてください。

山中 高さ120cm、130cm、140cmの柵を、30秒以内に乗り越えられるか実験しました。子どもたちははだしで、柵のそばには台などの足がかりは置いていません。
実験の結果、高さ120cmの柵だと5歳児は90%以上の子が30秒以内に乗り越えました。4歳児でも70%以上の子が乗り越えています。

――120cmの柵というと、ベランダの柵の高さとほぼ同じでしょうか。

山中 ベランダの柵は建築基準法では110cm以上と定められています。しかしこれは1950年(昭和25年)に制定された基準で、当時はタワーマンションなどはありません。子どもの転落事故を防ぐ視点からは、私は時代に見合ってない基準だと思っています。建築基準法に定められた高さだからといって安心はできません。

30秒以内で子どもたちが柵を乗り越えた割合

(企画・制作/ NPO法人 Safe Kids Japan、デザイン/ 久保田修康)

パネルタイプの柵でも転落事故が! わずかなすき間が足がかりに

今回の実験では、2020年6月、実際に転落事故が起きたパネルタイプの柵と同じ仕様のものを使い、子どもたちが乗り越えられるのかも試しています。この事故では4歳の女の子がマンション6階のベランダから転落して亡くなっています。

――実験の概要と結果を教えてください。

山中 ベランダの柵はパネルタイプで、高さは125cmあります。パネルとパネルの間に、幅9.5cmのスリット(すき間)があります。ベランダには足がかりとなる台などは置かれていませんでした。スリットの下には高さ13cmの足がかりがあり、ここに足をかけるとパネルの高さは112cmになるため、5歳児だとほとんどの子が乗り越えられます。
実験に協力してくれた子どもたちの様子を見ていても、みんなスリットに足をかけて乗り越えていきました。

実験で使ったパネルタイプの柵

スリットの下には高さ13cmの足がかりがあり、スリットに足をかけると、5歳児なら容易に乗り越えられることが判明。 (企画・制作/ NPO法人 Safe Kids Japan、デザイン/ 久保田修康)

――子どもたちが30秒以内に柵を乗り越えるという早さにも驚いたのですが。

山中 子どもの身長と同じか、それ以上の高さの柵を乗り越えるには、時間がかかるイメージがあるかと思いますが、子どもたちはあっという間に柵を乗り越えていきました。そのためベランダでおとなしく遊んでいるからといって、目を離すのは危険です。
また親がしかってベランダに出したら転落事故が起きたケースもあります。どのような理由であれ、ベランダに子どもだけを残すのはやめましょう。

――事故を防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。

山中 子どもには「絶対、ひとりでベランダに出てはダメだよ」と常に言い聞かせて、カギは二重ロックにしたほうがいいでしょう。ベランダに転落防止用のネットを張るのも有効です。
またベランダに台などの足がかりを置かないことも大切です。しかし前述のとおり、台などを置いていなくても転落事故が起きているので、台などを置かなければ大丈夫とは思わないでください。

実は多い2階からの転落! 窓からの落下にも要注意

子どもの転落事故というと“高層マンション特有の事故”のように思うママやパパもいるかもしれませんが、2階から転落する事故も後を絶ちません。

――子どもの転落事故は、高層階に住んでいる場合、注意が必要なのでしょうか。
山中 東京消防庁の救急搬送データのまとめ(2015年~2019年)によると、5歳以下の子どもが転落した事故70件のうち2階からの転落が最も多く40件です。全国でみれば2階からの転落で亡くなる事故も発生しています。

5歳以下の転落事故の発生階別初診時程度

2階からの転落でも、入院が必要とされる中等症以上の割合が約78%を占めています。 (2015年~2019年。東京消防庁「住宅等の窓・ベランダから子どもが墜落する事故に注意!」をもとに消費者庁が作成)

――2階でも注意が必要なのは、やはりベランダでしょうか。

山中 ベランダはもちろんですが、階数に関係なく窓からの転落にも注意してください。網戸を閉めて窓を開けていたところ、網戸に寄りかかったら網戸がはずれて、そのまま地面に転落したという事故もあります。網戸は、力を入れて押すとはずれやすいです。
この夏は節電のために窓を開けておく家庭も多いと思いますが、窓のそばに足がかりとなるような家具や大型遊具は置かないことが原則です。

お話・監修・写真、資料提供/山中龍宏先生

NPO法人Safe Kids Japan協力/消費者庁 取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

30秒以内で、子どもたちが高い柵を乗り越えていくという実験結果を見て驚いたママやパパもいると思います。また最近は、ベランダにソファやテーブルなどを置いてくつろぐスペースにしているおうちも増えていますが、山中先生によると「家具は足がかりになるので、子どもだけでベランダに出ないようにするなど、必ず安全対策をとってください」と言います。

※一般的に「転落」事故と「墜落」事故の2つの表現がありますが、当記事では、墜落事故を含めて転落と表現しています。

※記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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