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「中耳炎だと言われたのに…」確定診断は情報が少なく、初めて聞いた病名だった【難病・ランゲルハンス細胞組織球症】

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上の写真は、LCHと診断され、県立こども病院で入院治療を行っていた6カ月のときのもの。

“まれで不思議な病気”といわれるランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は、一般診療では診る機会が少なく、診断が確定するまでに時間がかかることも珍しくありません。山中桜ちゃん(仮名・6才)は、生後4カ月のときにLCHと診断されました。ママの美香さん(仮名・42才)とパパの健太さん(仮名・45才)が、「何かおかしい…」と感じたときから病名が明らかになるまでのことについて聞きました。

10日間抗生剤を服用したけれど中耳炎がよくならず、耳だれが流れ続けた

山中桜ちゃんは、妊娠中にも出産時にも何のトラブルもなく、2015年6月中旬に妊娠39週1日で、体重2840g、身長49㎝で元気に生まれました。誕生後も順調に育っていた桜ちゃんですが、3カ月の終わりごろ、美香さんが左耳の中に黒いかたまりがあることに気づきます。

「8才上の長女も乳児のころ、同じようなことがありました。耳鼻科で『おなかの中にいたときに耳の中に入った羊水(ようすい)がかたまったもの』と言われ、取ってもらったらそのあとは問題なかったので、桜も同じかなと思っていました」(美香さん)

上の子のときに「問題ないもの」と言われたので、しばらく様子を見ていたそうですが、徐々に「あのときと同じではないかもしれない」と感じ始めたのだとか。

「うしろ向きに抱っこして右耳に声をかけるとすぐ反応するのに、左耳だと反応しないんです。黒いかたまりが聴力に影響しているのではないかと心配になり、耳鼻科を受診しました。
黒いかたまりはすぐに取ってもらえたのですが、耳穴内は大きく腫(は)れており、ふさがってしまっているとのこと。中耳炎と診断され、抗生剤を処方されました。

中耳炎なら薬を飲めばよくなると思ったのに、処方された3日分の抗生剤を飲み切っても、耳だれがだらだらと流れ続けました。3日後に再受診して違う薬を処方され、それを飲み続けても炎症が落ち着かず、さらに違う薬を飲んでも耳だれの状態がまったくよくなりませんでした。発熱はしていなかったけれど、桜はずっと機嫌が悪く、ぐずぐずしていました。
4回目の受診時に、これだけの抗生剤を服用しても治まらない耳だれを診た耳鼻科の先生は、『ただの中耳炎ではないから、この足で総合病院に行ってください。紹介状にその日のうちにCTを撮ってもらうように書いておくので、必ず撮ってもらってください』と、緊張した様子でした」(美香さん)

「何かおかしい…」という親の直感を信じて、県立こども病院の夜間診療を受診

耳鼻科を受診したその日のうちに、美香さんは桜ちゃんを連れて総合病院を受診しました。

「赤ちゃんは寝ていないとCTを撮れないとのことで、桜が寝つくのを待ってから検査を行うという説明を受けました。ところが、やっと寝たと思ったら『今日はもう検査はできないから、明後日もう一度受診するように。耳の中の水ぶくれはつぶせば治るから』と。その日は何もできないまま帰るしかありませんでした」(美香さん)

「仕事から帰宅後、妻からすぐにその話を聞きました。私も妻も病院の対応に納得できず、『あの病院に桜を任せていいのか』という気持ちが大きくなっていきました。
それに、桜の耳だれはどう考えても普通の状態ではありません。親としての『何かおかしい』という直感に従い、県立こども病院の夜間診療を受診することにしたんです」(健太さん)

上の子を夜間に1人で留守番させることはできないので、美香さんは上の子と家で待機し、健太さんが桜ちゃんを連れ、車で20分の場所にある県立こども病院に向かいました。

「当直の小児総合科の先生は、普通の中耳炎ではないのは確かだと思うけれど、検査ができないし、今はこれ以上の判断はできない』との見解でした。夜間診療なのでもっともな話だとは思いましたが、10日間も薬を飲んでいるのにまったく症状がよくなっていないことなどを何度も説明したところ、先生も娘の状態を理解してくれ、翌日の外来で、小児耳鼻科の先生にも診療してもらったうえで、詳しい検査を行うことになりました」(健太さん)

中耳炎と診断された2週間後にLCHと判明。まれな病気で調べても情報がない

翌日、組織を取って行う生検など、さまざま検査を行ったそうです。そして4日後、桜ちゃんが患っている病気はLCHであることが判明しました。

「ランゲルハンス細胞組織球症という病名を、このとき生まれて初めて聞きました。『小児慢性特定疾病』に指定されていて、日本では年間60~70人程度しか発症していない病気であること、体中のあらゆる部位に発症する可能性があることなどの説明を受けましたが、あまりに想定外の病気だったので、ぼうぜんとするばかりでした」(美香さん)

LCHと判明したことで、全身の詳しい検査が行われました。

「耳の奥に腫瘍(しゅよう)があり、それが耳だれの原因だったそうなのです。
さらに、左足の大腿骨(だいたいこつ)にも病変が発見されました。足については痛がったりするなどのサインがなかったし、まだ足を使って動くような月齢でもなかったので、見た目には何の変化もなく、まったく気づいていませんでした」(健太さん)

LCHには、ひとつの臓器だけに病変が見られる「単一臓器型」と、病変が複数の臓器に見られる「多臓器型」があります。桜ちゃんは「多臓器型」と診断され、入院して化学療法(抗がん剤)を行うことになりました。

「LCHはまれな病気のため、確定診断がつくまでにかなり時間がかかることも多いということをあとで知りました。検査後すぐに診断がつき、治療を始められたのはとても幸運だったと思います。

LCHは今でも情報が少ない病気ですが、診断された2015年当時は今よりもっと情報が少なく、ネット検索しても情報がほとんど得られませんでした。『特殊な病気』ということはわかっても、何がどう特殊なのかわからないんです。自分で調べるのは無理だとわかったので、疑問点などはすべて先生に質問し、詳しく説明してもらうようにしました」(健太さん)

「病状や治療法など重要な説明を受けるときは、できる限り夫婦そろって聞くようにしました。1人で聞くと、あとでうまく説明できなかったり、『ここを聞いてほしかった』と相手が思っていたことを質問しそびれたりすることがあると思ったからです。2人で聞くと、『あれはこういうことだよね』と確認し合えて安心でした」(美香さん)

「『なんだかおかしい』という親の直感を信じて行動したことが、確定診断と治療につながったと思っています。病気の専門家である医師の話をきちんと聞くのはもちろん重要ですが、納得できないときは自ら行動することも大切。それが子どもの命を救うことにつながると痛感しました」(健太さん)

【塩田先生より】LCHは子どもによくみられるような症状から始まることが

ご両親だけでなく、お孫さんのことをよく見ていらっしゃるおばあちゃんが「何か変よ」とおっしゃるときは、当たっていることが多い気がします。湿疹や中耳炎、頭のたんこぶなど、子どもに珍しくない症状から始まるLCHは、診断まで長い時間かかってしまうことがあります。
桜ちゃんのような体験を、私たち専門家の間での「よく聞く話」にとどめず、まれで不思議な病気だからこそ、LCHの存在をもっと世の中に広めていく使命があるとあらためて感じました。

監修/塩田曜子先生

お話・写真提供/山中美香さん・健太さん 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

親だからこそ感じる病気のサインをキャッチし、行動したママとパパの的確な判断により、桜ちゃんは症状が現れてから2週間程度でLCHと確定診断がつき、治療を開始することができました。ママ・パパの「何かがおかしい」は、子どもを守るために非常に重要なのだということがわかります。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

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