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子どもたちの集団免疫が低下。RSウイルス、手足口病、胃腸炎…今夏は例年以上に重症化に注意を【小児科医】

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アジアの母親はベッドで子供の睡眠に毛布をタッククローズアップ。
●写真はイメージです
undefined undefined/gettyimages

コロナ禍になり、子どもたちの感染症の状況が変わってきています。新型コロナの流行前は、夏になると毎年のように、手足口病やヘルパンギーナなどが流行っていたのですが、昨年は、大きな流行が見られませんでした。中には「病気にかかりにくくなってよかった」と思うママやパパもいるかもしれませんが、長崎大学大学院 小児科学教授 森内浩幸先生は「今の状況は、子どもたちにとって注意が必要」と言います。

RSウイルスが地域的に流行。重症化しやすい低月齢の子は、とくに注意!

森内先生は、2022年6月に開かれた第69回 日本小児保健協会学術集会の中で「コロナ禍で、子どもたちが自然免疫の訓練不足に陥る恐れがある」と発表しています。これは具体的には、どのようなことでしょうか。

「ウイルスや菌の攻撃から私たちの体を守る免疫という防御システムには、2つの種類があります。1つは生まれた後で学習して獲得する「獲得免疫」、そしてもう1つは生まれつき持っている「自然免疫」です。
子どもは、いろいろなウイルスや菌に感染することやワクチン接種で獲得免疫を身につけ、そのウイルスや菌による病気にかかりにくくなったり、万一、病気になっても重症化を防いだりします。一方、自然免疫は、初めてのウイルスや菌に対しても作用して、重症化を防いでくれます。子どもにとってはどのウイルスも新型ウイルスですから、自然免疫のしくみはとっても重要です。自然免疫がしっかり働くためには、普段から訓練されている必要があり、子どもは次々にいろんな感染症にかかることで、自然免疫への訓練が行われています。

しかしコロナ禍で過度な感染対策をするようになってから、子どもたちの間で、毎年、流行っていた感染症が見られなくなりました。そこで心配なのが、免疫のない子どもたちが増えていることです。獲得免疫のない子どもたちが大多数を占める環境に、いったん病原体が入り込んでしまうと爆発的な感染拡大を引き起こしてしまいます。そして自然免疫の訓練ができていない子どもたちが感染症にかかると、重症化のリスクも上がります」(森内先生)


森内先生は、2021年に子どもたちの間で大流行したRSウイルス感染症もその1つと言います。

「RSウイルス感染症は、本来は秋・冬に流行りますが、最近は季節性がなくなっています。
昨年は、春から夏にかけてRSウイルス感染症の大きな流行が全国的に見られましたが、今年(2022年7月現在)も愛知県、大阪府などで地域的な流行が見られています。
RSウイルス感染症の主な症状は、発熱、鼻水、せき、ゼーゼーするなどの風邪症状ですが、新生児期でも感染することがあります。低月齢の子が感染すると細気管支炎や肺炎を併発するなど重症化しやすいので、とくに注意が必要です。
RSウイルス感染症には、ワクチンも特効薬もありません。接触感染や飛沫感染でうつることが多いので、地域や子どもが通っている保育園や幼稚園などで流行り始めたら、赤ちゃんが触るものや口に入れるおもちゃなどはアルコール消毒をするといいでしょう。また予防には手洗いも有効なので、ママやパパ、上の子が外から帰ってきたり、赤ちゃんと触れ合うときは、ハンドソープで手を洗う習慣をつけましょう」(森内先生)

夏風邪の1種である手足口病とヘルパンギーナに、アルコール消毒は効きません

今後の流行状況に注目していかないといけませんが、手足口病とヘルパンギーナにも注意が必要です。手足口病は、口の中や手のひら、足の裏にブツブツとした水疱(すいほう)ができるのが特徴で、中には発熱や下痢、嘔吐(おうと)を伴う子もいます。
一方ヘルパンギーナは、突然高熱が出て、のどの奥に小さな水疱(すいほう)ができます。口やのどの痛みのために、水分補給を嫌がったり、食欲が低下したり、機嫌が悪くなります。

「手足口病とヘルパンギーナは夏風邪の1種で、新型コロナの流行前までは夏に流行っていました。しかし昨年は、大きな流行はありませんでした。
この2つの病気の予防で注意が必要なのは、アルコール消毒が効かないことです。
ウイルスは、エンベロープ(膜)をかぶったウイルスとかぶっていないウイルスの2つに分類されます。新型コロナやインフルエンザなどは、膜をかぶったウイルスで、アルコールが膜を破壊してウイルスにダメージを与えることができます。
しかし手足口病やヘルパンギーナの病原体となる、エンテロウイルスは膜をかぶっていないウイルスなので、アルコール消毒は効きません。
手足口病やヘルパンギーナを防ぐには、ハンドソープでしっかり手を洗うことが有効です。家族でしっかり手洗いをする習慣をつけましょう」(森内先生)

猛暑によって夏の感染性胃腸炎が増加! 家庭でも、食中毒予防に注意を

地域によって、感染性胃腸炎が増えていますが、夏に流行るのはノロウイルスやロタウイルスが原因ではなく細菌です。細菌はO157などに代表される食中毒を引き起こします。2017年9月には、店で買った総菜を食べた3歳の女の子が、O157に感染して亡くなっています。また2019年5月には、京都府の保育園で4人の子がO157に感染し、5歳の女の子が亡くなっています。


「夏には、サルモネラ菌、カンピロバクター菌、O157のような病原性大腸菌、黄色ブドウ球菌などの細菌による食中毒や感染性胃腸炎が流行ります。前述のとおり抵抗力が弱い乳幼児が感染すると、命にかかわることもあるので、夏は家庭でも食材の管理に注意が必要です。調理器具の消毒や、しっかり加熱をして調理することも心がけてください。
食中毒や感染性胃腸炎になった場合は、下痢、嘔吐、発熱、血便などの症状があります。繰り返し吐く、顔色が悪い、水分がまったくとれない、ぐったりしているときは診察時間外でも受診をしてください」(森内先生)

お話・監修/森内浩幸先生

取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

森内先生には、「コロナ禍になってから、子どもたちの感染症の流行予測が難しくなった」と言います。しかし感染症がゼロになることはありません。地域や子どもが通う園、小学校などでの流行状況にアンテナを張って情報収集をしましょう。

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