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スマホ、タブレットは都合のいい情報のみを与えるYESマン。ママ・パパの管理が重要!【専門家監修】

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●写真はイメージです
yaoinlove/gettyimages

令和4年3月、内閣府が発表した「令和3年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、インターネットを利用している子どもは、3歳では209人中約139人(66.5%)、4歳では237人中約171人(72.2%)、5歳では247人中約200人(81.0%)にのぼります。
コロナ禍前の令和元年度の同調査では、3歳では219人中約110人(50.2%)、4歳では209人中約117人(56.0%)、5歳では238人中約144人(60.5%)であり、全体的にインターネットを利用する子どもが増えています。

『デジタル時代の子育て 年齢に応じたスマホ・パソコンとのつき合い方』(イザラ書房)の監修を務める、東京女子医科大学名誉教授の村田光範先生に、スマホ、タブレットが子どもに与える影響やママ・パパの管理のしかたについて聞きました。

3歳からはスマホ、タブレットの使用はOK! ただし使わせ方には注意が必要

村田先生は0~2歳代のスマホ、タブレット、パソコンなどの使用は、子どもの健やかな成長のためにもできるだけやめたほうがいいのですが、3歳からは適切に使用することは構わないと言います。

「3歳になると、心が成長して自分と他人は違うということがわかってきます。幼稚園などに入園し、集団活動ができるようにもなります。
このころになったらスマホやタブレットなどは適切な使い方をすれば使わせても構わないのですが、注意してほしいのは、親子間でルールを作って、しっかり守らせることです。
子どものスマホやタブレットの使用には、さまざまな問題点が指摘されていますが、その中でも心の成長に与える影響は大きいです。

スマホやタブレット、パソコンなどは、使う人にとって便利で都合のいい情報のみを与える、いわばYESマンです。幼児期にYESマンとばかりかかわっているとコミュニケーション能力やトラブルが生じたときの問題解決能力などに影響を及ぼしかねません。
3歳になったらスマホやタブレットを使用しても構わないと言いましたが、お友だちと遊び、ときにはけんかをしたり、自分の思い通りにいかない経験を積むことが幼児期には必要です」(村田先生)

子どものスマホ、タブレットの使用にはルールが必須! 親の都合でルールが変わるのはNG

前述の内閣府が発表した「令和3年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、スマホの利用時間は
3歳で1時間未満は50人中33人(66.0%)、1時間以上2時間未満は9人(18.0%)。
4歳で1時間未満は77人中約53人(68.8%)、1時間以上2時間未満は約10人(13.0%)。
5歳で1時間未満は81人中約57人(70.4%)、1時間以上2時間未満は約15人(18.5%)。少数派ですが、3~5歳で2時間以上使用している子どもたちもいました。

「ママやパパ自身、スマホやタブレット、パソコンを多用し、忙しいときや静かにしていてほしいときに“ちょっとスマホ(タブレット)見ていて”などと言うこともあると思います。そのためスマホやタブレットの使用について親子でせっかくルールを作っても、ルールを守らせることが難しい家庭もあるでしょう。しかし子どもにスマホやタブレットを使わせる以上、いつでも・何時間でも使ってOKとしたり、親の都合でルールがコロコロ変わることは避けてほしいです」(村田先生)

スマホ、タブレットの所有権は親にあることを伝えて、ルールを守らせる教育を

家庭内におけるスマホのルールで有名なのが、数年前にアメリカで話題になり、日本でも紹介された「母から子へのiPhone 18の約束」です。2012年のクリスマス、13歳のわが子に、ママがスマホをプレゼントしますが、そのときにママが作った18の約束が話題となり、「約束を破った場合は、iPhoneを取り上げる」としています。約束の概要は、次のとおりです。

【18の約束の概要】

1 これはママのiPhoneです
2 iPhoneのパスワードはママに報告しなさい
3 これは電話です。パパかママからの電話には必ず出ること
4 学校がある日はPM7:30に。週末はPM9:00に。そして翌朝AM7:30まではパパかママにiPhoneを渡すこと
5 学校に持っていってはいけないが、特別の事情があれば相談にのります
6 自分のせいで壊したときは、修理費は自己負担です
7 iPhoneを使って人を傷つけないこと
8 相手に面と向かって言えないことはiPhoneを使って言わないこと
9 友だちの親の前で言えないことについてiPhoneを使って言わないこと
10 アダルトサイトやポルノは禁止です
11 公共の場では電源を切るかサイレントモードにすること
12 他人にあなたの大事なところの写真を送ったり、もらったりしてはだめ
13 むやみに写真やビデオを撮らないこと
14 ときどき家にiPhoneを置いて出かけるようにしなさい
15 みんなが聞いているのとは違う素晴らしいあなただけの音楽をダウンロードしてね
16 ときどきワードゲームやパズルや脳トレ系のゲームで遊んでね
17 グーグル検索だけに頼らず、ちゃんとまわりの世界を自分の目で見てほしい
18 この約束を破った場合、ママはiPhoneを取り上げます。そして何がまずかったか一緒に考えて、また一からスタートしましょう

「この18の約束は、理想的な内容です。子どもにスマホやタブレットを与えるときは、18の約束を参考にわが家流のルールを作ってほしいと思います。ポイントは“これはママ(パパ)のiPhoneです”と初めに所有権をはっきりさせることです。ママやパパが購入し、毎月料金を支払っているのだから、子どもは約束を守る義務があるということを、3歳から徹底して教えましょう。幼児期からそうした教育をすると、就学後もスマホ、タブレットが適切に使えるようになると思います」(村田先生)

お話・監修/村田光範先生 取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

村田先生監修の著書『デジタル時代の子育て 年齢に応じたスマホ・パソコンとのつきあい方』でも、「子どものインターネット使用がすでに手に負えないほど長時間になって初めて、それを制限しようとすると、必然的に子どもと衝突しもめることになる」という下りがあり、ママやパパが境界線を引くのが遅すぎるケースが多いと記されています。村田先生は「幼児期でも、いつもスマホやタブレットに触れている状況は要注意! ネット依存の予備軍になる前に、家庭内でルールを作ることが先決」と言います。

●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

村田光範先生(むらたみつのり)

PROFILE
小児科医。医学博士。東京女子医科大学名誉教授。現在は、和洋女子大学大学院 総合生活研究科客員教授。長年、子どもの成長研究に取り組む。著書は「子どもが太りはじめたら読む本」(PHP研究所)など多数。

『デジタル時代の子育て 年齢に応じたスマホ・パソコンとのつきあい方』

ドイツで出版され、英語、オランダ語、アラビア語などに訳された注目の本。子どもへのスマホ、タブレット、パソコンなどの弊害や使わせるときの注意点がわかる。ミヒャエラ・グレックラー、村田光範・監修、内村真澄・翻訳/2090円(イザラ書房)

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