そのしかり方、NGかも? 危険な時、悪いことをした時の【年齢別】本当に伝わるしかり方を専門家に聞く
「たまひよ」アプリユーザーから寄せられた、“子どものしかり方”についての悩みに、発達心理学が専門の青山学院大学教授・菅野幸恵さんにアドバイスをいただきました。
悪いことや危険なことをした時、子どもにどう向きあうの?
まずは、子どもが悪いことをした時の伝え方・しかり方について、みんなに聞いてみました。
■しっかり目を見て
「目を見て『危ないからダメだよ!』と伝えていますが、本人は笑ったりすることが多いので本当に分かっているのか分かりません」(どん)
■理由を伝える
「まずは強い口調で止めてから理由を伝える。しかられることをすると、結果がどうなるかを伝え、なるべく理解、納得してもらえるようにしています」(時雨)
■わかるまで説明
「なぜしかったのか、出来るだけわかりやすく具体的な理由を言ってます」(ちょすこ)
■理由を簡潔に
「本当に危ない時だけ、きつい口調で『こら!』『ダメ!』と言います。そして、抱っこしながら理由をできるだけ簡潔に伝えています」(ぽぽん)
■感情的にならないように
「感情で怒って、子どもに親が怒っていて、ただ怖いという思いだけが残らないように、理由を伝えながら怒鳴らずにわかりやすく『〇〇だからダメよ』と伝えるようにしています」(ふぅたろうママ)
■次の行動を促す
「コップを倒して中身がこぼれたら『まず何する?』『その後はどうする?』など、次どうするかをなるべく本人に考えさせています。全部に対応はできませんが…」(もつなべ)
しかり方が大事!子どもが自分で考えて行動できるように
危ないことはもちろん、人に迷惑をかける行為など、どうすれば子どもに本当に伝わるのか、菅野幸恵さんにアドバイスいただきました。
「みなさん、ただ『しかる』だけではなく、理由も伝えようとしていますね。大事なことです。
『しかる』だけだと怖さだけが子どもに伝わってしまい、肝心ななぜしてはいけないか、しなければならないかが伝わりません。しつけの目指すところは、子どもが自分で考えて行動できるようになることです。
ですから、『しかる』ためには、大人自身がなぜそれをしてはいけないのか、しなければならないのか理解(納得)している必要があります。大人自身が理由に納得できていなければ子どもにも伝わりませんし、『ダメなものはダメ』では、自分で判断できるようにはなりません。
ただ、年齢によっては理由を言っても伝わらないこともあるので、発達段階を理解して対応することも必要です。
子どもが最初に危ないものに近づくのは、移動可能になった生後8ヶ月前後です。この時期は、まだ何が危ないのかわかりません。好奇心の赴くままに近づきます。ダメと言ってもわからないので、危ないもの、どうしても触ってほしくないものは子どもの手の届かないところに置いたり、危険から子どもを遠ざけたりするように対応をしましょう。
1歳半頃から、『これはイヤだ、あれがいい』と自己主張をするようになります。自分より小さい子を突然押したりなど、大人からするとびっくりしたりするようなこともします。
子どもに悪意はありませんが、周囲の大人が『してはいけないこと』を理由とともに伝えていく必要があります。この時期は理由を言ってもすぐには伝わらないことも多く、大人の根気が求められます。何度言っても聞かないと、感情的になってしまうこともありますが、つい大きな声を出してしまっても、その後、少し気持ちを落ち着けて、理由を説明するといいですね。
3歳を過ぎると、『してはいけないこと』『しなければならないこと』を理解するようになり、罪の意識をもったり、恥ずかしさを感じたりすることもあります。
わかっているのに、できなかったり、好奇心が勝って、ついしてしまったりするので、あまり頭ごなしにしかるのではなく、理解していることを確かめつつ、どうしたらよかったのか、子どもにも考えてもらうようにしましょう。
集団生活に入るようになると、おうちとは違うルールにも出会います。家ではいいことがよそのお家ではダメなこともあるでしょう。いろいろな価値観に触れることで、しなやかに行動することができるようになります。
ただし、善し悪しを柔軟に理解するのは時間がかかり、小学校の高学年くらいになります。幼児期はそこに至る過程の一歩ととらえ対応していきましょう」(菅野幸恵さん)
危険な時は、とっさに大きな声でしかってしまうこともありますよね。なぜダメなのかをしっかり伝えることが、子ども自身が危険なことを理解していくために大切ですね。(取材・文/酒井範子)
菅野幸恵さん
PROFILE)
青山学院大学コミュニティ人間科学部 コミュニティ人間学科教授。専門は、発達心理学で研究テーマは、乳幼児期の親子関係、地域コミュニティでの子育てについて。著書に『あたりまえの親子関係に気づくエピソード65』(新曜社)がある。
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
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