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3児のパパである大学教授に聞く「共働き夫婦の育児・家事は“協働”で両立できる」

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●写真はイメージです
Milatas/gettyimages

夫婦で共に育児と家事をする時代。夫婦で上手に育児シェアするためには、どうしたらいいのでしょうか。東京富士大学経営学部教授の鬼木一直先生は、双子を含む3児のパパです。鬼木先生は「育児・家事を『協働』する意識や、『足し算の話し合い』が大切だ」と言います。鬼木先生に双子を含む3児の育児のリアルと、その経験から導き出した育児シェアのポイントを聞きました。

双子の寝かしつけは夫婦で交代制にして睡眠時間を確保 

――第2子と第3子が双子だという鬼木家。第1子と双子の子育てに違いはありましたか?

鬼木先生(以下敬称略) 実は第1子のときは、多くのパパと同様、育児・家事は「妻の手伝いができれば」という気持ちでいて、わが子の世話なのに主体的にかかわっていたわけではないんです。
私は当時ソニーに勤めていて、育児休業は2週間取得しましたが、復帰後は遅くまで残業する生活でした。しかし、第1子が2歳のときに私が病気になり、闘病生活をすることに。その後、何とか体調が良くなってきた頃に双子を授かりました。闘病生活を経て育児や仕事との向き合い方を考え直し、双子誕生を機に、仕事と同じくらい、いや、それ以上に育児・家事と向き合う気持ちになったんです。
私は両親を、妻はお父さんを亡くしており、妻のお母さんも遠方に住んでいるため、親のサポートがなく、夫婦で双子の育児をしましたが、新生児期のお世話はとても大変でした。育休は第1子のときと同じように2週間取得しました。育休後は残業をせずに帰宅して、食事、入浴、寝かしつけは夫婦2人体制で行いました。

いちばん苦労したのは、寝かしつけです。やっと1人が寝ついたと思ったら、もう1人が泣いてしまい、元の木阿弥(もくあみ)。やっと2人とも寝ついたと思ったら、もう次の授乳のタイミングで、空腹で泣く双子に起こされるということの繰り返しでした。これでは、夫婦ともに睡眠が取れないので、夫婦で1日交代制にして、1日おきに少しでも睡眠を確保できるようにしました。

生後1カ月を過ぎても、おふろは苦労しました。脱衣所にバスタオルを敷いて1人を待たせている間に、もう1人を湯船に入れるという綱渡りでしたし、わが家には5才の第1子もいたので、親がゆっくりトイレに行く暇もありませんでした。

子どもがいる中でもやりたいことにチャレンジ

――子どもが生まれる前とあとで、鬼木先生自身の生活はどう変わりましたか?

鬼木 子どもを授かると生活は一変します。それでも、子どものために自分を犠牲にすると考えるのではなく、時間をやりくりして、夫婦それぞれができる範囲でやりたいことをやる意識がとても大切だと思います。

うちは両親を頼れず、夫婦2人だけで3人の子どもを育てていたので、一筋縄ではいきませんでした。それでも、子どもは親のことをよく見ているので、親が楽しそうにしていれば、子どもも幸せに感じると考えています。子どもと一緒に少しでも多くのことにチャレンジできる環境を整えることが、親にも子どもにも大切なことだと思います。

子どもが生まれるともちろん制約は増えますが、うちは、子どものためにすべての時間を費やすのではなく、子どもと一緒に少しずつでもやりたいことにチャレンジする意識を大切にしていきたいと考えています。

私は、子どもが生まれてからも、趣味でもあるスキーのインストラクターを続けていますし、妻も映画や演劇鑑賞など、好きなことを続けています。また、うちは夫婦ともにバックパッカーですが、子どもが生まれてからも宿泊費を押さえた格安の旅行をしています。「旅育(たびいく)」という言葉がありますが、子どもが小さいときから旅行に連れていくことで、視野を広げ、多くのことに関心を持つようになることがわかってきています。是非、近場でもいいので、旅育をしてみてはいかがでしょうか。

育児・家事は夫婦の「協働」

ーー夫婦で、育児や家事を協力して行うコツは何だと思いますか?

鬼木 まずは、「子育て・家事はママがやるもの」という先入観を、ママ・パパそれぞれが取り去ることが大切だと思います。「ママのタスクを分担する」という意識がベースにあると、パパは、ちょっとやっただけで、「手伝ってあげた」と考えがち。逆に、ママはパパに「自分の代わりをしてもらう」と考えてしまいます。

今、わが家は第1子が15歳、双子が10歳です。うちはずっと共働きなので、妻が仕事に復帰してからは、保育園や学童に頼ったうえで、交互にリモートワークをするなど、工夫しながら育児をこなしてきました。
現在、平日は妻が早朝に出勤するので、子どもたちを送り出すのは私の役割です。子どもを起こすところから、宿題や忘れ物チェック、朝食の準備と、忙しい朝を送っています。
洗濯や掃除などは、やれるタイミングで妻とうまく「協働」しています。どうしても家事は後回しになってしまうことがほとんどですが。

私は育児・家事は分けて担当する「分担」ではなく、共に考えて動く「協働(きょうどう)」という意識に切り替えることが大切だと考えています。
私が大切にしている2つのポイントを紹介します。

【ポイント1】お互いのやり方を尊重し、もっといい「提案」を

たとえば、パパが食器洗いをしたら、ママは自分のやり方と違っていてもパパに任せてみましょう。それが、パパのモチベーションアップにはとても重要なのです。お互いのやり方を尊重したうえで、もっといい提案ができれば、育児・家事を夫婦で「協働」でき、家庭がいい方向に向かうと思います。

【ポイント2】どちらが多く担当したかを競わない

どちらが何を多くこなしたのか、などを競ってはいけません。それぞれ、かけられる時間が違いますし、得意なものも異なります。腕力のあるパパが10分で落とせる鍋のこげも、ママは1時間かけなければ落とせないこともあります。それぞれにとって、何をどのくらいできるのかを話し合い、得意なものを自分のやり方で進めていくのが、楽しく家事をする秘訣だと思います。

ママ・パパそれぞれが、忙しい中でも頑張っていることをリスペクトし合って、「協働」していけるといいですね。

不満があるときは、対立ではなく足し算の話し合いを

――育児・家事について不満があったときはどうしていますか?

鬼木 夫婦であっても、考え方ややり方は必ず異なります。不満が出たときには、以下の4つの手順で話し合うことが大切だと思います。

【手順1】まずは感謝を伝える

不満を言う前に、感謝の気持ちを伝えることを忘れないようにしましょう。子育てにはハプニングがつきものです。「大変だったでしょ」「ありがとう」の言葉があれば、不満は低減できるのではないでしょうか。

【手順2】どうしたいのか、なぜそうするのか

「どうしたいのか」「なぜそうするのか」という観点で話をしてみると、「なんだ、そこがポイントだったんだ」と、相手が不満に思っていたことが、自分の観点と違うケースが多々あります。話し合う前に、自分の中で整理してみましょう。

【手順3】提案する

不満な気持ちを文句としてぶつけるのではなく、提案型がいいと思います。「なんで、こうしちゃったの?」ではなく、「こういうやり方はどう?」という感じです。仕事でも家庭でも、反対意見はいい気持ちがしません。提案であれば、必ずしも否定しているわけではないので、聞く耳を持ってくれると思います。

【手順4】アイデアを足し算

その提案を相手が受け入れないことがあったら、「なぜダメなのか」を話し合ってみてください。「じゃあ、これはどう?」とアイデアを重ねるうちに、「試しにやってみよう」という着地点が見つかるはずです。意見を対立させるのではなく、いいアイデアを足し算していくイメージで、夫婦協働の形を編み出してみてください。

お話・監修/鬼木一直先生 取材・文/大部陽子、たまひよONLINE編集部

3人の子どもが小さかったときは、寝かしつけを1日交代制にしたり、交互にリモートワークを活用するなど、夫婦のチームワークで子育てしていたという鬼木先生。「協働」と「話し合い」は、仕事でもチームとして求められます。ママとパパがお互いにリスペクトし合って、笑顔のチームを作っていきたいですね。

鬼木一直先生(おにきかずなお)

PROFILE
東京富士大学経営学部教授。教育論、幼児教育研究者。3児の父。東京工業大学理学部応用物理学科卒業後、同大学修士課程理工学研究科修了。ソニーで数多くの開発に携わり、その間出願した特許件数は43件。2014年にソニーを退職し、17年から現職。社会人基礎力を高める実践教育を積極的に推進している。 著書に『パパだからデキる子育て術~元ソニー開発マネージャが教えるはじめてでも楽しい育児の秘訣71~』『デキる社会人になる子育て術~元ソニー開発マネージャが教える社会へ踏み出す力の伸ばし方~』など。


●記事の内容は記事執筆当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

『パパだからデキる子育て術~元ソニー開発マネージャが教えるはじめてでも楽しい育児の秘訣71~』

「子どもの能力を大人が奪っている!?」。がん・難病と闘いながら双子を含む3児を育てた著者による、パパ視点の子育て本。元ソニー開発マネージャで、大学教授でもある著者が、体系立てて実践的に語る。鬼木一直著/880円(幻冬舎)

書籍紹介サイト

『デキる社会人になる子育て術~元ソニー開発マネージャが教える社会へ踏み出す力の伸ばし方』

双子を含む3児の父であり、元ソニー開発マネージャの著者による子育て本。「社会人基礎力」として経済産業省が提唱する、前に踏み出す力、考え抜く力、チームで働く力が身につき、子どもの可能性を最高に伸ばす家庭教育メソッドを大公開。鬼木一直著/880円(幻冬舎)

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