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脊髄性筋萎縮症と判明するまで「発達の遅れ」と診断されて経過観察に。できることなら時間を戻したい【医師監修・体験談】

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4カ月半の桜佑くん。カエルの脚のようにひざを曲げて開いていて、SMAの特徴が見られます。

脊髄性筋萎縮症(以下SMA・エスエムエー)は、出生2万人に対して1人前後の発症率といわれる難病です。SMAは、遺伝子の病的変異によって起きるまれな病気で、しだいに筋力が低下していきます。日本でSMAの治療薬の製造・販売が承認されたのはわずか数年前からですが、治療には早期発見・早期治療がカギとなります。
5歳と3歳の2人の子がSMAと診断されている西陽子さん(仮名)に、上の子・桜佑(おうすけ)くん(仮名)がSMAと診断されるまでのことについて聞きました。3回シリーズの1回目です。

3048gで誕生。元気な産声が聞こえて、ほっとひと安心

生後6日の桜佑くん。「このころは何も異変を感じなかった」と陽子さん。

西陽子さん(以下陽子さん)は、友人の紹介で夫と出会いました。同郷ということで、すぐに意気投合し交際がスタート。陽子さんが27歳、夫が33歳で結婚しました。

「夫は転勤族で、つき合っていた当時は関東で一人暮らし、私は九州の実家で暮らしていました。遠距離恋愛だったので、結婚したら一緒に住めると思ってワクワクしていました。第1子の桜佑が生まれたのは、2017年5月。九州の実家に里帰りしての出産でした。私が29歳のときのことです」(陽子さん)

妊娠経過は順調でしたが、胎盤が低い位置にある低置胎盤と診断され、妊娠9カ月のときに産科クリニックから総合病院の産科に転院します。

「低置胎盤のため予定帝王切開となりました。桜佑は3048gで誕生し、元気な産声(うぶごえ)も聞こえました。生まれてきたときは『元気に生まれてきてくれてありがとう!』という気持ちでいっぱいでした」(陽子さん)

桜佑くんの名前は、出産前に夫婦で決めていました。

「妊婦健診で男の子とわかっていたし、里帰り出産でしばらく夫と会えなくなるので『一緒にいるうちに名前を決めよう!』と相談しました。夫が名前の候補を3つ考えて紙に書いてくれて、『せ~の』のかけ声でいいなと思う名前を指さす方法で決めました。2人とも指した名前は同じ! もめることなく(笑)、悩むことなく『桜佑』という名前に決まりました」(陽子さん)

子育て支援センターで会った、同じ月齢の子は首を上げるのに、うちの子だけできない

3カ月の桜佑くん。首がすわり始めたころ。

桜佑くんと陽子さんは無事に退院し、しばらく陽子さんの実家で過ごすことに。

「新生児訪問も実家で受けたのですが、桜佑がうつぶせになって首を上げようとしたりする様子を見て、訪問に来てくれた助産師さんに『力が強い子ね~』などと言われたことを覚えています」(陽子さん)

桜佑くんは3カ月ごろに首もすわります。陽子さんは育児に慣れてきた4カ月ごろから、実家近くの子育て支援センターに桜佑くんと2人で通い始めました。

「新型コロナの流行前だったので、子育て支援センターには、赤ちゃんを連れたママたちが何人も来ていました。同じぐらいの月齢の赤ちゃんをもつママたちが集まって育児サークルを作ろうという話になり、ママたちとの交流も盛んになりました。同じぐらいの月齢の赤ちゃんを目にすることが多くなると、だんだん桜佑の様子が気になり始めました。みんなは元気に大きな声で泣くのに、桜佑の泣き声だけが小さくて弱々しいんです。『これって個人差かな?』と悩みました。

子育て支援センターでは、親子でスキンシップをしながら歌遊びをする時間もありました。ママの胸の上でうつぶせになると、みんな首を上げるのですが、桜佑だけ首が上がりません。『首はすわったはずなのに。うちの子だけなぜできないんだろう?』という不安がつのっていきました。

何年か前に、私の姉や兄に赤ちゃんが生まれたとき抱っこしたことがあったのですが、当時のことを思い出しても『やっぱり桜佑、何か違う・・・。ほかの赤ちゃんよりも弱々しい』と感じました。また、3カ月ごろのときは元気に足を上げていたのに、4カ月半になると足を上げることがなくなってきました。月齢が上がるごとにできることが増えていくはずなのに、その逆のようなことが起こっていて、不安はますます強くなっていきました」(陽子さん)

陽子さんが感じた、ほかの子よりも泣き声が小さいことや、発達の遅れ、発達の後退はSMAの特徴です。

6カ月のとき総合病院を受診するも「発達には個人差があるから」と言われ、経過観察に

指しゃぶりをする、6カ月のころの桜佑くん。

桜佑くんが6カ月のとき、陽子さんは地域で最も大きい総合病院で桜佑くんの様子を診てもらうことにしました。桜佑くんは、1カ月健診のときに頭血腫が見つかっていて、定期的に診察を受けていた病院です。頭血腫は、小児科の医師から経過観察と言われ、その後、自然に消失したので治療の必要はないと診断されていました。

「病院では血液検査をして、CK値(筋肉の中にある酵素の値)などを調べたのですが、異常なしとの説明でした。医師には『発達は個人差があるから。寝返りができるようになるかどうか2カ月程度様子を見ましょう。次は2カ月後に来てください』と言われました。

でも私は不安で、帰り際、看護師さんにも『本当に大丈夫でしょうか?』と聞いたのですが、『発達は個人差があるからね~』と言われました。運動発達の様子は気になるけれど、母乳の飲みもよく、あやすと笑うし、目で追ったりもするので経過観察となったのかもしれません」(陽子さん)

8カ月になっても寝返りができず、首すわりも後退。こども病院でSMAと判明

9カ月のとき。自宅に戻るため、育児サークルのメンバーがお別れ会を開催。

予約をした2カ月後、陽子さんは桜佑くんを連れて総合病院を再度受診します。

「桜佑は8カ月になりましたが、寝返りはできず、発達検査では『首すわりが後退している』と言われました。
医師からは『いろいろな検査が必要だから、大きな病院で診てもらったほうがいい。お父さんも一緒に病院に行って話を聞いてください』と言われました。自宅から通えるところにこども病院があったので、こども病院を紹介してくださいとお願いしました」(陽子さん)

陽子さんが紹介状を持ってこども病院を受診したのは、桜佑くんが9カ月になってからのこと。こども病院で検査を受けてSMAと判明します。

【齋藤先生から】発達の遅れが気になり「経過観察」と言われたら、念のため専門医に相談を

できたことが急に目立ってできなくなるのではなく、桜佑くんのように、「泣き声がほかの子より小さい」「弱々しい」「できていたことができなくなった」などのサインがゆっくりと出てくるのもSMAの特徴です。様子を見るより、早くSMAの専門医師に診てもらってください。発病から治療開始までの期間が短いほど、治療の効果は高くなります。原因となる脊髄の神経細胞が少なくなってしまうと、治療の効果は少なくなってしまいます。治療法のなかった時代には、SMAの診断となった場合には、経過観察をしつつ、理学療法を受けていただいていました。しかし治療法が3種類も出てきた現在では、もし「経過観察」と言われたときには、SMAの専門医師のセカンドオピニオンを受けるのがいいと思います。

監修/齋藤加代子先生

お話/西陽子さん 協力/SMA(脊髄性筋萎縮症)家族の会 取材・文/麻生珠恵、たまひよONLINE編集部

SMAは早期発見、早期治療が必要な病気です。陽子さんは、桜佑くんの病気の発見が遅れたことを今でも後悔しています。「当時の私は、発達の遅れが気になっていながらも、医師から『2カ月後にまた来てください』と言われたら、それを真面目に守ったりしていました。もし、わが子の発達に不安があるママ・パパがいたら、早くセカンドオピニオンを受けるなどしてください。不安や心配という親の直感を信じてください」と言います。

SMA(脊髄性筋萎縮症)家族の会の「チームいっちに」のHPには、「もしかしてSMA?チェックリスト」があり、その中にはママやパパでも気づきやすいサインが紹介されています。

「たまひよ 家族を考える」では、すべての赤ちゃんや家族にとって、よりよい社会・環境となることを目指してさまざまな課題を取材し、発信していきます。

チームいっちに

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2023年4月の情報であり、現在と異なる場合があります。

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