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おうちでできるモンテッソーリ教育。子どもが自分で学ぶ力、人に優しくする心が育つ【インタビュー】

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春に自宅の庭でおやつを食べる長男と二男。リビングには三男がねんね。

子どもの自主性を育てる教育法として注目されるモンテッソーリ教育。5歳、3歳、1歳の3人の男の子のママで、モンテッソーリ教師の北川真理子さんは、自身の子育てにもモンテッソーリ教育を実践しているそうです。特別な教材がなくても、おうちでトライできるポイントを聞きました。
全2回のインタビューの2回目です。

さまざまな運動の経験で、言葉や数の力が伸びる

大きなバッタの遊具によじ登って遊ぶ長男と二男。

――モンテッソーリ教育をおうちで取り組む際のポイントを教えてください。

北川さん(以下敬称略) モンテッソーリ教育では子どもが0〜6歳の時期には敏感期があると言っています。この時期の子どもは特別に学習をしなくても、生活や遊びの中でさまざまなことを敏感に吸収して学びます。日常生活でごはんを食べる、手を洗う、靴を履く、といった運動から、外を歩く、走る、自転車に乗るなどの運動能力の発達を通して、脳の発達を促すと考えられています。そのため、6歳まではできるだけいろんな動きを取り入れてほしいです。

乳幼児期に、服を着るのにボタンをつまむとか、粘土遊びでねじるといった指先の運動を行うと、それがいずれ鉛筆を持つこと、文字を書くことなど言語の獲得にもつながります。3〜6歳ごろはひらがなを書いたり読んだりを習得できる時期。部屋に五十音表を貼っておくとか、親が文字を書いたり読んだりする姿を見ると、子どもも自然とひらがなを書いたり読んだりできるようになっていきます。この時期には数量の理解も進みます。たとえばおやつを食べるときに「クッキーが10個あって、3個食べたから残りは何個かな? 」と数を意識させてあげるのもいいでしょう。特別な教具がなくても、生活の中での運動や声かけによって、子どもの言葉や数を理解する力が伸びる時期です。

――3歳くらいになると、習いごとをさせたほうがいいのかな、と気になる人も少なくないですが、幅広くいろんな活動をしたほうがいいんでしょうか。

北川 そうですね、いろいろな動きを経験できたほうが可動域が広がるので、いろんな経験ができたほうが将来的に子どもの選択肢が広がると思います。
たとえばサッカークラブに通いながら、普段は公園でいろんな遊具で遊ぶのもいいと思います。水泳などは家庭ではできない運動ですから、子どもが興味を持ってやりたがったらチャレンジするといいでしょう。ピアノなどの楽器演奏も手指の動きにとてもいいと思います。

子どもの意見を尊重した環境づくりが子どもの自信になる

二男と三男の服は箱に入れて、アイテム別にオープン収納にしています。

――モンテッソーリ教育では、子どもが自立するために活動しやすい環境を整えることが大切だそうです。お部屋の環境づくりで北川さんが実践しているのはどんなことですか?

北川 わが家は子どもが自分で下着や服を選んで着替えられるように、二男と三男の服をオープン棚に収納しています。最近三男の衣類が増えたため、二男の服をほかの場所に移動する必要が出てきました。そこで、「二男の服は長男と同じところに変えてもいい?」と聞いたら「いいよ」と言ってくれたので、「一緒に運ぼう」と一緒に移動させました。そうしたら、ほかにも「この置き場所はここにしたほうがいいよね?」と提案してくれるようになったんです。自分の意見で環境を変えられるとわかって、子どもが主体的に動く力が育ち、自信になったんだと思います。

――長男は来年小学校入学だそうですが、入学に向けて準備していることはありますか?

北川 小学校入学に向けて、自分でものの管理ができるように練習しています。長男はものの準備が少し苦手なタイプ。「あれ、かばんに入れた?」と聞くと、「きっと入れたよ、たぶん入れた」と言うけれど、かばんを見ると入っていないことがあります。
そこで、園から帰宅するときに「お弁当ある、水筒ある、体調シートあるね」と入れ忘れたものがないかを親子で一緒に確認することを習慣にしています。忘れるたびに「忘れないように入れようね」と言うよりも、毎日の確認を習慣化したほうが「これがないな」と自分で気づくことができます。

小学校へ入ってから学校からのおたよりの出し忘れがないように、年長の今のうちから、帰宅したらリュックサックの中身を全部出して、必要なものは私に渡すことも習慣にしています。このようにルーティンにすると、親が口うるさく言わなくても子どもが自分でできるようになっていくのです。

決まりごとはルーティンにすると、子どもが自分で動けるように

長男は自分で絵本を読む習慣ができているのだとか。

――そんなふうに習慣化したり、毎日のルーティンを作ることも、子どもの自立につながるんですね。家庭の状況にあったルーティンを作るヒントを教えてください。

北川 私はモンテッソーリ教育のオンラインサロンを運営していますが、「帰宅したら手を洗わずに遊んでしまう」「夕食のあとになかなかパジャマに着替えてくれないで遊んでしまう」といった悩みをよく聞きます。たとえば「帰宅したら手を洗ってかばんを片づけてから遊ぶ」「夕食のあとは着替えてから遊ぶ」をルーティンにしたい場合も、間取りによって子どもの動線が変わるので、環境や動線に合わせてルーティンを考えるといいでしょう。

玄関の近くにかばんを置く棚があるから先にかばんを片づけるのか、それとも近くに洗面所があるからまず手を洗うのかを考えます。ルーティンがうまくいかなかったら、子どもの個性や思考に合わせて変えてみましょう。子どもによって手を洗ったら遊ぶモードに入ってしまってかばんを片づけられないなら、手を洗う前にかばんを片づける、というルーティンにしてみてもいいと思います。

――ルーティンが定着するためのポイントはありますか?

北川 子どものルーティンが定着するまでは、親が一緒にやってあげること。夕食を食べ終わったらパジャマに着替えることをルーティンにするなら、定着するまでは、親は家事などは後回しにしてでも、着替えに付き添ってあげましょう。手助けしてあげてもOK。そうやって子どもにルーティンが身につけば、食べ終わったら自分で着替えてから遊ぶようになっていきます。

子どもが自分で学ぶ意識が育つ

長男が家族全員分の食器を配膳してくれました。

――おうちモンテッソーリ教育を取り入れて、子どもの成長でよかった、うれしいと感じることは?

北川 3人それぞれのよさが伸びているな、と感じるところです。モンテッソーリ教育は、その子がもともと持っているよさを伸ばしてあげようという考え方です。3人きょうだいを育てていると、それぞれ得意不得意があって、長男はこれができたけど、二男は全然やらないな〜、とか、長男は苦手だったことが二男はこんなふうにできるんだな〜とか。それぞれの個性があることが楽しいし、それぞれのよさが育っていると感じます。

たとえば、長男が文字を書けるようになったとき「なんで文字が書けるの!すごいね!」と言うと「自分で見て書けるようになったんだよ」と得意げに話してくれるんです。私が知らないことを教えてくれたとき「なんでそんなこと知ってるの!」と言うと「自分で本を読んだんだよ」と。子どもが、先生や親に教えてもらったのではなく、「自分で学んだよ」という意識が育っていることをとてもうれしく感じます。

それこそがモンテッソーリ教育の特徴でもあるんです。自分で学んだ経験があると、将来的にも、だれかに教えてもらうのではなく自分から学習しようという姿勢になってきます。わが子たちも「自分でやったんだよ」というときは、とっても得意げな顔をしていて、よかったなと思います。

――お手伝いをしてくれることもありますか?

北川 子どもたちは、うれしいことがあったときや気持ちが満たされたときなどに、家族に優しくしてくれます。たとえば、先日二男の誕生日があって、昼食に大好きなパンをたくさん買ってあげて食べたら、「今日はぼくが洗うよ」とみんなの昼食のお皿を洗ってくれたんです。

わが家には子どもの高さのキッチンがあるので、そこで洗ってくれました。床も洋服もびしょびしょにしながら一生懸命洗ってくれて、洗い終わったらぬれた服は自分で着替えていました。そんな子どもたちの姿を見て、優しさは教えるものではなくて、子どもの中から自然に生まれるものなんだと感じています。

お話・写真提供/北川真理子 取材・文/早川奈緒子、たまひよONLINE編集部

モンテッソーリ教育の環境づくりや声かけなどは、子どもの自立を促すほかにも、親自身も子育てがしやすくなり、親子が笑顔で過ごせるヒントがたくさんあるようです。

北川真理子さん(きたがわまりこ)

PROFILE
合同会社コソダチ代表、国際モンテッソーリ協会0-3歳/3-6歳ディプロマ、国際モンテッソーリ協会認知症ケアワーカー、幼稚園教諭、保育士。モンテッソーリの幼稚園や保育園などで10年以上にわたって勤務した後、第1子妊娠中にInstagramで「モンテッソーリアンまりこ」としてモンテッソーリ教育に関する情報発信をスタート。現在はモンテッソーリ教育を学べるオンラインサロン「子育ての学校」の運営も行う。著書に『いちばんていねいな はじめてのおうちモンテッソーリ』(KADOKAWA)などがある。 3 児の母。

北川真理子さんのInstagram

北川真理子さんのX(旧Twitter)

●この記事は個人の体験を取材し、編集したものです。
●記事の内容は2024年7月当時の情報であり、現在と異なる場合があります。

『子どもが自分でぐんぐん伸びる まいにちのおうちモンテッソーリ』

モンテッソーリ教育の原則である「子どもの自主性を伸ばし、ひいては知能を伸ばす」ために、日々おうちでできることを写真つきでわかりやすく紹介。3人の乳幼児を育てる著者が、実際に日常生活で取り入れているポイントが満載! 北川真理子著/1705円(KADOKAWA)

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