SHOP

内祝い

  1. トップ
  2. 赤ちゃん・育児
  3. 赤ちゃんの病気・トラブル
  4. 親は子どもの充電器であるべき。充電できないとわかると、子どもは親から離れていく・・・【子どものこころ専門医】

親は子どもの充電器であるべき。充電できないとわかると、子どもは親から離れていく・・・【子どものこころ専門医】

更新

真剣に窓の外を見てアジアの少年
●写真はイメージです
junce/gettyimages

児童精神科医で『ケーキの切れない非行少年たち』の著者である宮口幸治先生。宮口先生は、発達障害や知的障害と診断はされていないけれど、学習や学校生活に困りごとを抱えている境界知能やグレーゾーンと呼ばれる子どもたちの研究をしています。また15年以上にわたり教育相談を担当しています。宮口先生に、乳幼児をもつママ・パパたちだからこそ知っておいてほしい、良好な親子関係を築くポイントなどを聞きました。
全2回インタビューの2回目です。

発達や学習の遅れ、いじめ、不登校など子どもを取り巻く問題は年々深刻に

宮口先生は、15年以上教育相談を行い、さまざまな親子の問題を見てきました。

――宮口先生が担当している、教育相談について教えてください。

宮口先生(以下敬称略) 子どもを取り巻く問題は、発達や学習の遅れ、粗暴行為、不登校、いじめ、非行、親の不適切養育などさまざまで、年々深刻化しています。
乳幼児をもつママ・パパは「うちの子には、まだ関係ない」と思うかもしれませんが、教育相談でママ・パパから話を聞くと、幼児期から親子のボタンがかけ違っていることもあります。

1つのたとえですが、子どもは電気自動車、ママ・パパは充電器だと考えてみてください。
子どもが電気をたくさん使って家に帰ってきたら、いつもちゃんと充電ができれば、子どもは安心して過ごせます。翌日には、また元気いっぱいに活動ができます。
しかし帰ってきたら、充電器がなかったり、充電の電圧が変わっていて充電ができないなんてことが続くと、子どもは「今日は充電できないかも・・・」と不安になりますし、充電できなかったらパワーも出ません。不安やエネルギー切れで、家から外に出られなくなる子もいます。

また充電器がよく壊れても不安になります。「大丈夫かな? 壊れていないかな?」と、ママ・パパを試すような行動をするようになるでしょう。
親の充電器がしっかりしていないと、ほかの充電器を探すようになる子もいます。ほかの充電器を探すというのは、ママ・パパ以外で頼れる人を探すことです。悪い大人に付いて行く子もいます。

そうしたことを繰り返すうちに「充電器(ママ・パパ)なんてこんなもの。当てにならない」とあきらめてしまうかもしれません。

乳幼児期から、子どもが困っていることをキャッチして改善策を考える習慣を

宮口先生は、子どもの問題を防ぐには、乳幼児期からのママ・パパのかかわり方が大切だと言います。

――子どもが不安にならないためには、乳幼児期からどのようなかかわり方をするといいのでしょうか。

宮口 乳幼児期から子どものことをよく見て、子どもが困っていることをキャッチして、改善策を考える習慣を親がつけることが大切です。

乳幼児期は“子どもが困っていること”といってもピンとこないママ・パパもいるかもしれませんが、たとえば好き嫌いが多かったり、食べ残しが多いのも、実は子どもが困っているサインだったりします。

「トマトやピーマンは食べられないよ・・・。でもママ・パパは、食べなさいって怒るし。どうしたらいいんだろう?」
「残しちゃダメ!って怒るけど、おなかがいっぱいで食べられないよ。もっと量を減らしてほしいな」
と子どもは考えているかもしれません。日々のお世話から、子どもの気持ちに気づき、どうしたらいいのか改善策を考える習慣をつけて行ってほしいと思います。こうした習慣が身につくと、子育てにつまずきにくくなります。
とくに食事は毎日のことなので、子どもの困りごとのサインに気づけるいい機会だと思ってください。

子どもの困りごとをキャッチしないと、小学2年生ごろから勉強につまずく子も

ママ・パパが、子どもの困りごとをキャッチして、改善策を考える習慣が身についていないと、小学生になってから壁にぶつかることも。

――ママ・パパに、子どもの困りごとをキャッチして、改善策を考える習慣が身についていないと、どのような問題が生じやすくなりますか。

宮口 1つは学習面に問題が生じるケースです。早い子だと小学2年生から、九九が覚えられない、漢字が正しく書けないなど勉強についていけなくなり、「学校が楽しくない」と思うようになります。自己肯定感が低くなったり、不登校になる子もいるでしょう。

小学校低学年だとテストの点数が悪くても、なかには「まだ低学年だから・・・。元気ならいい!」と考えるママ・パパもいるかもしれませんが、子どもは内心そんなふうには思っていません。「友だちみたいに勉強ができるようになりたい」と思っています。
年長児や小学1年生のころから「ひらがなが書けない」「たし算、ひき算が苦手」などサインが見られるので、そうしたサインをキャッチして、早めに対策をとりましょう。

――ほめる子育ては、良好な親子関係を築くのに有効でしょうか。

宮口 子どもは自分の好きな人や大切な人にほめられるとうれしいものですが、それ以外の人にほめられても心には響かないでしょう。親でも同じです。
前述のように「ママ・パパは自分のことを、よく見てわかってくれている!」と思うと、ママ・パパにほめられることを素直に受け入れます。
また子どもは、ママ・パパのことをよく見ています。「ママ・パパのようになりたい!」と思うと、いい親子関係が築けます。子どもの手本となれるような親をめざしましょう。

お話・監修/宮口幸治先生 取材・文/麻生珠恵 たまひよONLINE編集部

宮口先生は「乳幼児期の親子関係が、その先の子育てにつながっています。だからこそ、乳幼児期の子どもとのかかわりを大切にしてほしい」と言います。

宮口幸治(みやぐちこうじ)先生

PROFILE
医学博士。子どものこころ専門医。立命館大学総合心理学部・大学院人間科学研究科教授。児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務。2016年より現職。一般社団法人日本COG-TR学会代表理事。著書に『ケーキの切れない非行少年たち』『歪んだ幸せを求める人たち』(ともに新潮新書)ほか。

『こころが育つ! 子どもの食事』

食べしぶり、偏食、好き嫌い、孤食、欠食、過食など、子どもたちの食の問題をひも解き、その背景にあるものや対策についてわかりやすく解説。宮口幸治著/1760円(CCCメディアハウス)

●記事の内容は2024年8月の情報であり、現在と異なる場合があります。

赤ちゃん・育児の人気記事ランキング
関連記事
赤ちゃん・育児の人気テーマ
新着記事
ABJマーク 11091000

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 第11091000号)です。 ABJマークの詳細、ABJマークを掲示しているサービスの一覧はこちら→ https://aebs.or.jp/

本サイトに掲載されている記事・写真・イラスト等のコンテンツの無断転載を禁じます。