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低出生体重児や早産児の成長に伴って現れることのある、気になる病気や障害

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Casanowe/gettyimages

最近の研究によれば、低出生体重児や早産児は、正期産児で生まれた場合と比べて、年齢が大きくなるにつれて感染症以外の病気や障害のリスクが高くなるともいわれています。しかし日本では大規模な調査は行われていません。むやみに心配することはありませんが、疑われる場合に早めに専門医に相談できるので、知っておくと安心です。

幼児期に診断がつきやすい病気

Lacheev/gettyimages

小学校に上がるまでに診断がつきやすい病気を解説します。発達の遅れや脳性麻痺も乳児期や幼児期早期に診断されることが多いのですが、ここではこれらを除く問題について解説します。

歯の病気

●エナメル質形成不全(えなめるしつけいせいふぜん)
【原因は?】
歯がつくられる時期に、ビタミン不足、栄養障害、ホルモン異常、遺伝などで歯の成長が一時的に妨げられることによって起こります。低出生体重児では、ママからの栄養が十分に行きわたりにくく、乳歯がエナメル質形成不全になる確率が高いと言われています。
【症状は?】
歯は、セメント質、象牙質、エナメル質という3つの異なる材質からつくられています。いちばんかたい材質で、歯の表面を形成するエナメル質が何らかの原因により正常につくられずに生えてくる状態を、エナメル質形成不全といいます。生えたばかりの状態で歯が濃い白色、黄色、茶色だったり、形がでこぼこしている、欠けていたり穴が空いている、不自然なくぼみがある場合は、この病気の可能性があります。
【治療は?】
エナメル質形成不全の歯は、むし歯になりやすいので、歯科で定期的にフッ素を塗ってもらい、むし歯を防ぎます。重度のエナメル質形成不全で、歯がでこぼこしていたり穴が空いている場合は、プラスチック樹脂などで補強や修復をします。また色や形が気になる場合は、歯を削って表面や全体をセラミックなどで覆う治療を行うこともあります。
乳歯エナメル質形成不全の場合は、最初に生える前歯や6才臼歯などの永久歯もエナメル質形成不全になることがありますが、乳歯ほどでないことが多いです。心配なときは小児歯科医に相談してみてください。

発達障害

●自閉症スペクトラム障害(じへいしょうスペクトラム障害・ASD)
【原因は?】
低出生体重児や早産児は、自閉症スペクトラムが正期産出身に比べて多いというデータがあります。在胎週数が短いほど、胎児発育不全が高度なほどリスクが高いようです。自閉症は脳の機能障害で、育て方とは関係がありません。
【特徴は?】
自閉症スペクトラムの特徴には、3つのことが挙げられます。
1. 人との関係を結ぶことが苦手
視線を合わせたり、身ぶり手ぶりで表現したり、一人遊びが多い
1. 言葉の発達が遅れる
ひとり言が多く、聞いたことをオウム返しのように唱える、指示が理解できない
1. 興味の範囲が狭く、同じことを繰り返す
繰り返し積み木を積み上げる、同じ場所を何度も往復する、手を洗い続ける、くるくる回り続ける

3才ぐらいまでにこれらの症状が現れることが多く、さらに活発に動き回って多動の傾向もみられます。また高い木に登ったり、川を飛び越えたりと危ないことを平気ですることもあります。知的発達には問題がなく、むしろ知的発達が進んでいる子もいます。
【対応は?】
ママが診断をするのではなく、専門家の診察を受けてください。診断に応じて、その子にあった支援プログラムを受けていきます。

●注意欠陥・多動性障害(ちゅういけっかん・たどうせいしょうがい・ADHD)
【原因は?】
低出生体重児や早産児は、ADHDの発症リスクが高いという報告があります。ADHDは脳の機能障害で、育て方とは関係がありません。
【特徴は?】
落ち着きのなさ、不注意、衝動的な行動の3つが特徴です。ある程度の時間座っていられなかったり、座っていても貧乏ゆすりをしたり、おしゃべりを続けたりします。人の話をさえぎる、順番を待てないというのもよく見られる行動です。また、話し声や物音などで気が散りがちで、物事に集中できず、忘れ物やうっかりミスが多いため、勉強がうまくできないことがあります。時には文字や数字の視覚的聴覚的な認知に障害が出るために、学習障害(LD)を合併することもあります。
【対応は?】
通常7才ぐらいまでに発症するとされ、男の子が女の子の5倍以上の割合で多いと言われています。気になる場合は、小児神経や児童精神の専門家を受診しましょう。診断された場合、重症例を除いて薬などでは治療は行いません。家族がしかりすぎず、いつも一貫した態度で接しながら、学校と相談して勉強に集中できる環境をつくるといったサポートで、自信を失うことなく日常生活を送れる子もたくさんいます。

●SGA性低身長症(えすじーえーせいていしんちょうしょう)
【特徴は?】
胎児発育不全によって生まれたときの体重や身長が同じ在胎週数相当の赤ちゃんに比べて極端に小さい赤ちゃん(SGA児)が3才になっても身長がかなり低い場合、成長ホルモン不足がないことが明らかであればSGA性低身長症と診断されます。在胎32週未満では約25%、34週以上では10%が該当します。
【対応は?】
SGA性低身長症と診断されれば、成長ホルモン不足による低身長症より多い量の成長ホルモンを用いて治療が行われます。早く治療を開始したほうが治療の効果が得られやすいといわれていますので、3才を過ぎたあたりで可能性があるようなら、小児内分泌専門医を紹介してもらい治療の適応などについて相談することをおすすめします。

学童期以降に症状がでることが多い病気

欧米を中心とした研究によって、小さく生まれた赤ちゃんが生活習慣病や腎障害などのリスクが高くなる可能性が指摘されるようになってきました。小学校入学以降に症状があきらかになることが多い問題を解説します。


●生活習慣病(せいかつしゅうかんびょう)
【原因は?】
胎児期や出生後の発達過程にある時期に低栄養や強いストレスにさらされた赤ちゃんは、その環境に適応するために、環境に見合うように本来持っていた内分泌機能や代謝機能を変化させます。また、このような変化は生まれたあとも続くので、その後の環境が発達期の環境と大きく異なる(ミスマッチ)と、かえってさまざまな問題が生じてきます。早産児や低出生体重児はミスマッチとなりやすい状況にあると考えられています。実際、過体重や糖尿病、高脂血症、高血圧、骨粗しょう症などの生活習慣病のリスクが高くなるのではないかという報告が増えています。なお、すべての早産児や低出生体重児が生活習慣病になるわけではなく、くわしいメカニズムは明らかになっていない部分もあります。早産児や低出生体重児のうち、どのようなお子さんが将来生活習慣病へと発展するのかについて現時点では有効な予測手段がありません。

【症状は?】
とくに症状は認められません。積極的に検査を行わない限りわかりませんが、小児期のどの時期に検査をするのがよいのか、どのような検査が適しているのかもまだ明らかでありません。心配しすぎることはありませんが、発見のチャンスを逃さないように学校健診をきちんと受けることが重要です。

【対策は?】
特別な対策はいりませんが、心身とも健康な生活を送ること。とりわけ適切な食事と運動が重要です。

●慢性腎臓病
【原因は?】
腎臓の機能の重要な役割を担う「ネフロン」(腎臓を構成している最小単位の組織で、血液をろ過して尿を作る)は、妊娠34~36週までには数が決まってしまいます。これより早い段階で胎児発育不全となった低出生体重児や、早産児の赤ちゃんでは、出生後の状況次第では必要なネフロンの数を獲得できない可能性があります。ネフロンが少ない状態では、十分な数がある場合に比べると、1つのネフロンの仕事量が増えてしまい、しだいにネフロンを構成している糸球体(血液をろ過する細い血管のかたまり)が機能を果たせなくなって脱落するようになります。体が小さい時期はまだいいのですが、思春期に入って急速に体格が大きくなると、ネフロンが少ないことの影響が出るようになり、高血圧やたんぱく尿が現れるようになります。
【症状は?】
初期には明らかな症状はありません。学校健診で高血圧やたんぱく尿が指摘されることがあります。在胎28週未満で生まれ、出生後もさまざまな合併症のために重症となり、長期間栄養状態が不良であったお子さんにリスクが高いと推測されます。
【対策は?】
学校健診で高血圧やたんぱく尿が指摘された場合には、小児科医や小児腎臓病専門医に相談してください。また、学校健診は必ず受診してください。

「先々生活習慣病にならないようにしていること」体験談

早産児や低出生体重児で生まれた赤ちゃんは、将来生活習慣病にかかるリスクが高くなるかも…という話を受けて、赤ちゃんがNICUの入院を経験したママやパパは、どう感じているでしょうか? 今からなにか気にしていること、行っていることがあるか、コメントをいただきました。


●先々はミルクやごはんのあげ過ぎに注意するつもり
ミルクやごはんをあげ過ぎないようにしようと思っています。ただ、今はむしろ体重を増やすべき状態なので、欲しがるだけ上げていますが…。(1才2カ月男の子、出生体重:902g、在胎週数:27週2日)

●規則正しい生活を心がけています
規則正しい食事、生活を心がけています。できるだけ厚着をさせないようにもしています。(1才8カ月女の子、出生体重:1587g、在胎週数:35週 日)

●とくになにもしていません
今はとくになにもしていません。好きなものを食べさせ、好きなものを飲ませています。小さいときにほかの子よりたくさん我慢させたので、とことん甘やかしちゃっています。(2才2カ月男の子、出生体重:1638g、在胎週数:30週5日)

●濃い味や甘いもののとりすぎに注意しています
味つけは濃くなり過ぎないようにする、甘いおやつのときの飲み物はお茶か水にする、肥満はよくないと教える、の3つを行っています。最近では、親が食べ過ぎると、「デブはいや!」と注意してくれるようになりました。(3才10カ月女の子、出生体重:2148g、在胎週数:35週5日)

低出生体重児や早産児は、たいへんな状況をくぐりぬけて成長した分、先々までリスクを追ってしまうところがあるようです。けれども今は、医療の進歩のおかげで、早めに対処をすることで健康に過ごしやすくなっています。心配し過ぎず、気になることがあれば、かかりつけ医に相談するといいですね。(取材・文/東 裕美、ひよこクラブ編集部)

監修/板橋家頭夫先生
昭和大学病院病院長。専門は、小児科学、新生児学。極低出生体重児の成長・栄養管理に詳しく、低出生体重児・早産児の生活習慣病リスクを研究。赤ちゃんや家族の幸せをモットーに診療をされています。

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