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300年前の日本はイクメン大国!?父親がリーダーだった江戸時代の子育て

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ワンオペ育児や、父親との育児シェアが課題になっていますが、実は300年前の日本は、イクメンパパでいっぱいでした! 父親がリーダーだった江戸時代の育児について、和光大学の太田素子先生に伺いました。

江戸時代は父親が育児のリーダーだった

――江戸時代の子育ては、母親より父親が主体となっていたというのは本当ですか?

「江戸時代も、日々のお世話を担うのは母親や祖母、子守女など女性が多かったと思いますが、育児のリーダーは父親でした。江戸時代は『家』の存続が何より大切で、『家』の継承を価値と考える社会だったからです。女をよく教育して、よき子育てをさせることが、家の最高責任者である男の責任と考えられていたんです。

江戸時代は、親の家職を継ぐことが一般的でした。父親が武士なら武士、農民なら農民というように。『いかに自分の後継者を立派に育てるか』ということが一家の存続を左右していた。だから、自分の職業体験をそのまま息子に引き継ぐことが最良の教育だと、自信を持ちやすかったという面もあります。イクメンといわれるような現代のパパの感覚とは、ちょっと違ったように思います」

――なるほど。どちらかというと、「部下を育てる」感覚に近いのかもしれませんね。

「そうだと思います。そういう意味では、父親が子育てに参加する動機づけがしやすかった。子育てを頑張ることで、『立派な父親』として社会的な評価も得られますし」

――現代だと、父親が子育てを頑張ることで妻からは感謝されるかもしれませんが、仕事の評価につながる…といったことはほとんどないですよね。むしろ、まだまだ昭和の「家庭をかえりみず仕事にまい進する」みたいな人が評価されたりします。変わってほしいですけれど…。

職場と家が近いと育児がしやすい!

「江戸時代は『職・住』の距離が近かったというのも、父親が子育てしていた理由の一つだと思います。江戸時代は、9割の家庭は農業や漁業で生計を立てていました。子どもは父親が働いている姿を日ごろから見る機会があり、遊びながら、縄をなったり、草を干したり、父親の手伝いをしながら仕事を覚えていったのでしょう。自然と父親を尊敬し、“父親の背中を見て育つ”ことができた。父親が子どもにかかわる時間も、今に比べて圧倒的に長かったのだと思います」

――たしかに、現代の父親は子育てにかかわりたくても、時間が限られています。必然的にかかわる時間の長い母親が子育ての中心になり、きずなが強くなりますね…。でも、現代でも、かかわる時間を増やすこと、「職・住」を近づけることは、育児のヒントになりそうですね。父親の働いている現場を見せるというのも効果的かもしれません。ところで、江戸時代の母親は、どのように子育てにかかわっていたのでしょうか。

「子育てのリーダーは父親でしたが、おっぱいをあげたり、おむつを替えたりなど、日々のお世話は母親が担っていました。ただ、この時代、母親も家業を手伝って働いていましたし、父親や祖父母、親せきなど、人の手がたくさんありました。だから今みたいに母親が全部やる、やらなきゃ、というプレッシャーはなかったと思います。

当時の日本を訪れた外国人の絵を見ると、子どもたちの絵がよく描かれているんです。江戸時代の子どもたちって近所を駆け回っていて、のびのびしていて本当に楽しそうなんですよ。外国人の日記にも、『江戸の子どもたちはむちでたたかれたり、怒られることがなく笑っていて、みんなに大切にされている』といったような記述もあるくらい、おおらかな育児をしていたようですね」

――日本にもおおらかに子育てしていた時代があったんですね…。

「江戸時代は、内乱も起きず安定した世の中で、なおかつ鎖国していたので世界との競争にも巻き込まれていなかった。社会全体がおおらかだったのだと思います。明治維新で、世界に追いつけ、追い越せで、日本人は頑張りすぎてしまった。これは子育てにもいますが、他人と競争したり、比べ始めるとあまりいいことがない。勝った、負けたばかりやっていると、息苦しくなってしまう。社会の雰囲気がおおらかになると、育児もおおらかにできるようになると思います」

300年前の日本の子育て事情、いかがでしたか? 「欧米より早く、日本は16~17世紀ごろには、幼少期の育て方を大切に考えていた」と太田先生。かつての日本は子育て先進国だったのですね。また、子どもとかかわる時間を増やす、住まいと職場を近い場所にする、働いている姿を見せるなど、現代の育児のヒントになることもたくさん。ぜひ育児シェアの参考にしてみてくださいね。(取材・文/ひよこクラブ編集部)

Profile●太田素子先生
和光大学現代人間学部心理教育学科 教授。お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了後、湘北短期大学、埼玉県立大学などを経て現職。主な担当科目は、保育原理や幼児教育学演習など。近世日本の子育て文化研究も行う。著書に『江戸の親子 父親が子どもを育てた時代』(吉川弘文館)など。

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