「梅雨の晴れ間」や「梅雨明け直後」は危険! 気象情報でわかる熱中症になりやすい日とは?
今こそ気をつけたいのが「熱中症」。
熱中症は、真夏だけでなく、梅雨や秋にも起こります。
小さい子にはとくに危険な熱中症。今回は、熱中症になりやすい気象条件や熱中症対策に活用したい気象情報を気象予報士の田頭孝志さんに紹介いただきました。
田頭 孝志
気象予報士・防災アドバイザー
田頭気象予報士事務所
愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数 ・防災マニュアルの作成に参画。
熱中症と気象の関係
熱中症が起こりやすい気象条件は、“夏の高気圧に覆われて猛烈な暑さが続くタイミング”や、“低気圧や前線の通過で気候が大きく変わるタイミング”です。
一般的に最高気温が25℃を超えると、熱中症患者が発生すると言われているので、5月や10月でも熱中症になる可能性は十分にあります。
同じ気温でも、
・湿度が高い
・日差しが強い
と、熱中症にかかりやすくなります。
[月別]熱中症になりやすい気象条件
熱中症に特に注意が必要なのは7月~9月ですが、月によって熱中症になりやすい気象条件は異なります。
ここでは、それぞれの月で熱中症に注意すべき気象条件を紹介します。
7月 梅雨の晴れ間や梅雨明け直後
7月の熱中症は、梅雨前線の動きと深い関係があります。
梅雨前線の北側は比較的涼しく、南側は真夏の暑い空気に覆われています。
(C)田頭 孝志
7月は梅雨前線が本州付近をうろうろしているので、前線が北上して急に暑くなったと思えば、前線が南下して急に涼しくなることもあります。
この気温差も熱中症を引き起こす原因です。
特に、前線が北上して晴れて真夏の暑さになる「梅雨の晴れ間」や、前線が消滅して真夏の暑さになる「梅雨明け」は、一気に“涼しい空気→真夏の空気”に移行するため、要注意です。
8月 35℃以上の猛暑日が連日続く
夏の高気圧に覆われる8月は暑いですが、気温のアップダウンは少なく安定しています。
しかし、近年は最高気温が35℃を超えるような猛暑日も珍しくなく、異常な暑さが原因で熱中症になることもあります。
連日のように暑い日が続くと、夏バテして熱中症にかかりやすくなるので注意が必要です。
9月 残暑厳しく朝晩の気温差が大きい
9月は、晴れて朝晩の気温差が大きい気象条件に要注意です。
秋は空気が乾燥しているので、カラっと晴れます。空気が乾燥して晴れると、朝晩の気温差は大きくなる特徴があります。9月なら、朝は気温が15~20℃くらいまで下がり、昼間は30℃~35℃まで上がることも珍しくありません。
秋でも、晴れていると昼間の日差しは想像以上に強烈です。秋は、夏が終わって朝の涼しさに油断し、昼間の熱中症対策を怠りがちになります。昔のことですが、私自身も10月の秋祭りで当時3歳の息子が軽い熱中症になったことがありました。
私の息子は、まさにこのパターンにあてはまったと言えます。
熱中症対策に使える気象情報と見るポイント
・高温注意情報
高温注意情報は、当日や翌日の気温がおおむね35℃を超えそうなときに発表されます。高温注意情報が発表されているときは、不要な外出を控え暑さ対策をしっかりしてください。
参考:気象庁「高温注意情報」
・2週間気温予報
情報発表日の8日後から12日後を対象とした5日間の平均気温に関する情報です。
“高い”や“かなり高い”になっている場合、大幅に気温が上がることが予想されるため、熱中症対策の準備をしましょう。
参考:気象庁「2週間気温予報」
・週間天気予報
週間天気予報では、日々の最高気温や天気の予想だけでなく、“前日、前々日の気温と天気”もチェックしましょう。以下の週間天気予報を例に、注意すべきポイントを見ていきましょう。
(C)田頭 孝志
火曜日と土曜日は同じ天気予報で、“晴れ・最高気温30℃”です。
しかし、前日の天気が“晴れ・最高気温31℃”の火曜日と、前日の天気が“雨・最高気温27℃”の土曜日では、前日の天気が“雨・最高気温27℃”の土曜日の方が体感は大きく変わり、熱中症のリスクは高まります。
週間天気予報で、前日よりも気温が急激に上がる日や、雨・曇りが続いた後の晴れになるは要注意です。
参考:気象庁「週間天気予報」
・気象会社の熱中症予報・暑さ指数
各気象会社が発表している熱中症予報も、熱中症対策に効果的な気象情報です。ちなみに、気象会社が発表している熱中症予報は、“暑さ指数(WBGT)”を参考にしています。
暑さ指数は、
・湿度
・日射、輻射
・気温
の3要素から計算され、暑さ指数が25℃を超えると熱中症に対する警戒が必要です。ただし、前日の天気や体感の変化などは考慮されていないので、暑さ指数が低くても前日より大きな気温・気候の変化があるときは注意してください。
参考:日本気象協会「週間熱中症情報」
子どもの熱中症対策で注意するポイント
私自身、息子が熱中症になって反省したのは、“秋だから大丈夫という先入観”と“子どもの様子を注意深く見なかった”ことです。
後から考えると、いつもより口数が少ないという前兆がありましたが、自分自身が暑く感じてなかったので「退屈しているのかな」と思っていました。しかし、10月でも晴れて日射は厳しく、祭りで人が多く、子どもは大人以上に暑さを感じていたのです。
お祭りやイベントなど人が多い場所だと、大人が壁になって風通しが悪くなり、熱はさらにこもります。
熱中症対策は、気象情報だけではカバーできない部分もあります。もちろん、情報を見て熱中症に備えるのは大切ですが、予報や数値だけで“熱中症はない”と思い込まないよう注意しましょう。
熱中症は気象条件が深く関係しています。真夏の暑い時期に注意するのはもちろんのこと、夏の終わりや秋になると、熱中症に対する警戒が薄れてくるので要注意です。
特に地面からの距離が近い子どもは、大人以上に暑く感じているので、こまめに様子を見てあげてください。