子どもが園で「叩かれた!」「いじめられた!」こんな時、どうする?
園から帰ってきた子どもから、「○○ちゃんに叩かれた!」「△△ちゃんにいじめられた!」などと聞くと、ドキッとしますよね。こんな時、親は子どもとどのように関わればよいのでしょうか。OK対応とNG対応、親としての心構えについて子育てアドバイザーの長島ともこさんが解説します。
「友達に叩かれた!」と子どもが言ってきたら、最初にすること
3歳から5歳くらいの幼児期は、友達同士で言葉によるコミュニケーションができるようになり、遊びもどんどん広がる時期。だからこそ、ちょっとした言葉の行き違いなどから、園で「叩いた」「叩かれた」といったトラブルが起こることもあります。
「今日、○○ちゃんに叩かれた!」と聞くと、親は心配するあまり「いつ叩かれたの?」「どんな風に叩かれたの?」など、つい詰問のようにしてしまいがち。
しかし、この時期の子どもはまだまだ自分中心に物事を考えるもの。
友達が何かをとろうとして手をのばしたはずみにわが子にぶつかり、“叩かれた”ように感じたのかもしれませんし、もしかしたらわが子が最初に友達に手を出しその仕返しで叩かれたのかもしれません。
「友達に叩かれた!」と子どもが言ってきたら、親が最初にすること。それは「その場で詳細を問いただす」ことではなく、「子どもに共感する」ことだと思います。
「そうなんだ。叩かれたのね。イヤだったね」「叩かれると、悲しいよね」など、子どもの気持ちを受け止めてあげるとよいと思います。
その上で、子どもの気持ちが落ち着いてきた頃に「その時のこと、ママに教えてくれる?」「近くに先生はいた?」など、じっくり子どもの話を聞きその様子をイメージしましょう。
大好きなママが自分の気持ちをわかって、話を聞いてくれる。それだけで子どもは安心し、心の元気を取り戻すことができると思います。
子どもの心がゆれてしまうNG対応
子どもが園で「叩かれた!」「いじめられた!」と言ってきた時の、親のNG対応を紹介します。
話をくわしく聞かず、「そんな子と遊ぶのは、もうやめなさい!」と決めつける
子ども本人と同様に、子どもの友達を否定するのはNGです。子どもの話をじっくり聞かずに相手を“悪者”を決めつけてしまうことは、心の整理にはつながりません。
⚫「ママが何とかするから!」と、相手の親にクレームの連絡をする
子どもには、目の前で起こったことを客観的に判断する力はまだありません。子どもの言うことを鵜呑みにし、相手の親にクレームの連絡をするのは時期尚早。子ども同士だけでなく、親同士の関係がこじれてしまうことにもつながりかねません。
⚫「本当に叩かれたの? あなたが先に悪いことをしたんじゃないの?」など、子どもを疑う
悲しい気持ちをママにわかってほしいのに疑われてしまうと、子どもの心は傷ついてしまいます。「ママは、僕(私)のことを信じてくれないんだな」と、自信をなくしてしまいます。
⚫「あなたがぼーっとしていたから、叩かれたんじゃないの?」など、子どもを責める
子どもは傷ついているのに、それに追い打ちをかけるような言葉は子どもをさらに追い込んでしまいます。「もうママには話したくない!」と、心を閉ざしてしまうことも。
「友達に叩かれた」などの経験は、子どもが成長していくうえで、避けては通れないものだと思います。親が感情に振り回され、子どもを疑ったり責めたりするのはNGです。
園の先生にさりげなく相談するのがいちばんの近道
子どもが園で「叩かれた」「いじめられた!」と言ってきたら、まずはその気持ちに寄り添い、共感した上で状況を把握します。
そして、園の担任の先生に相談を。できれば電話よりも、直接会ってお話しさせてもらうのがよいと思います。
相談する際は、「いつも○○がお世話になっています」と、お礼のあいさつから。続いて、「最近、うちの子の様子はどうですか?」「お友達に叩かれたと言ってきたのですが、何かご存知のことがあれば、教えていただけますか?」など、さりげなく聞いてみましょう。
先生が知っていたら、その時の様子を教えてもらいます。把握していないようだったら、注意深く観察してもらうことをお願いし、少し様子を見ます。
その後、親はしばらく子どもに「今日は○○ちゃんにいじめられなかった?」などと聞かず、いつもと同じように接しながら子どもの様子を見守っていきましょう。
慌てず、子どもから決して目をそらさず、先生とうまく連携をとりながら見守っていくことで、解決に結びつくことが多いものです。
いじめが社会問題として取りざたされている昨今、親は、子どもから聞かれる「叩かれた!」などの言葉に敏感に反応していまいます。しかし、そこから学べることもたくさんあります。まずは子どもの気持ちに寄り添い、共感を。園の先生にさりげなく相談しながら、そっと見守っていきましょう。
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