ただの「虫刺され」「夏風邪」と思っていたら…赤ちゃんの夏の病気、重症化に注意
冬にはインフルエンザ、梅雨時には食中毒と、季節ごとに赤ちゃんには気をつけたいことがあります。ここではとくに夏に注意したいことをまとめました。重症化することもあるので、まずは知っておくことが大切です。峯小児科理事長の峯眞人先生にお話をうかがいました。
虫刺されだと思っていたら、真っ赤にただれて…
公園で足を虫に刺された赤ちゃん。赤くなっていたのでママが市販薬をつけたけれど、気づくと赤ちゃんが足などをかいている。市販薬でのケアを続け、様子を見ていたら、そのうち顔も体も真っ赤に。赤ちゃんは痛がって激しく泣き…。
【病名と症状】
これは、「ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(ぶどうきゅうきんせいねっしょうようひふしょうこうぐん)」かもしれません。皮膚や鼻の穴などのひっかき傷やすり傷に「黄色(おうしょく)ブドウ球菌」が感染することで発症するもの。ブドウ球菌の中にある「皮膚剥脱毒素(ひふはくだつどくそ)」が血中から全身に回り、皮膚が赤くなってやけどのようにむけてきます。首やわきのした、もものつけ根から、顔やおなか、背中まで真っ赤になることも。ただれた皮膚に触れられると痛いので、赤ちゃんは激しく泣きます。
【治療と予防】
「ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群」かどうかは小児科での診察や検査などで診断されます。患部を消毒し抗生物質で治療します。入院がすすめられる場合も。大切なのは、虫に刺されたところやあせもがひどくなったら早めに病院に行くこと。予防には、虫になるべく刺されない、刺されても(あせもの場合も)赤ちゃんがかきむしって傷にならないよう、赤ちゃんのつめを短く切って清潔にしておく、傷ができたら生理食塩水で消毒するなどが必要です。
鼻水に軽いせき、発熱…夏風邪だと思っていたら、まさかの入院!?
鼻水と軽いせきに熱が出た赤ちゃん。ママが夏風邪かなと思っていたら、せきがひどくなり、ゼーゼーと苦しそうな呼吸に。病院に行ったら、「RSウイルス感染症(あーるえすういるすかんせんしょう)」と診断され…。
【病名と症状】
「RSウイルス感染症」とは、風邪症候群を起こすウイルスの一つ「RSウイルス」に感染し、とくに呼吸器に炎症を起こす病気です。なぜかあまり知られていない感染症ですが、実は、1才までに50%以上、2才までにほとんどの赤ちゃんがかかり、月齢が低いほど重い症状を引き起こしやすいといわれています。以前は冬の感染症とされていましたが、最近は流行の始まりが早まり、夏での流行も認められる感染症です。
【治療と予防】
RSウイルス感染症には残念ながら、予防ワクチンも特効薬もありません。症状を和らげる対症療法で回復を待ちます。早めの診断、治療が必要です。
赤ちゃんの病気を完全に予防するのは難しいこと。でも、病気について知っていれば、早めの対処ができ、重症化を防ぐことにつながります。もしかして…と思ったら早めに受診をしてください。
監修:峯 眞人先生
峯小児科理事長
日本大学医学部卒業後、同大学医学部小児科学教室入局。同大学院にて医学博士号取得。埼玉県立小児医療センター未熟児新生児科を経て、現職。
文/たまひよONLINE編集部