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大雨災害に対する「避難情報」の知識と現状の課題とは

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雨が傘
BrianAJackson/gettyimages

今年(2019年)も梅雨どきの7月上旬に「九州南部(鹿児島県・宮崎県・熊本県)」を中心として、大雨による災害が発生しました。
実は近年、毎年恒例の自然現象といった形で梅雨後半の7月に大雨災害が発生、多くの命が失われています。
今回は、そんな大雨(豪雨)に対する「避難」に関連した知識情報を防災アドバイザーの榑林宏之さんにご紹介いただきました。

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榑林 宏之
一級建築士・防災アドバイザー

一級建築士として活動。「都市環境・住宅環境と防災」「都市環境・ランドスケープ計画における、人の行動・動線設計と危機管理」などに携わっています。
BAUMPLANNING一級建築士事務所

大雨に対する「避難情報」の知識と現状

日本において、自然災害というと
・地震
・津波
・台風
を思い浮かべる人が多いと思いますが、近年大きな被害を生じているのが「大雨(豪雨)災害」です。

時間当たりの雨量がとても多く、通常であれば「一カ月間」に相当する雨量がたった一日
で降ってしまうことがあります。
しかも、そんな豪雨が数日間にわたって継続するケースが、主に梅雨の後半(7月初旬)に発生するようになってきました。

3年連続で発生している大雨(豪雨)災害の現状

まずは、大雨(豪雨)災害の現状について、お話してみたいと思います。
近年、記録的な大雨にともなう「洪水(河川の氾濫)」「土砂崩れ」「家屋浸水」が広範囲の地域で発生するケースが目立つようになりました。
特に大きな被害を生じた大雨災害の起点となったのが、平成29年(2017年)7月に発生した「平成29年7月九州北部豪雨」です。
その後、平成30年(2018年)7月には、西日本の広範囲エリアを対象とした「平成30年7月豪雨」が発生。各地で記録的な雨量を観測し、大規模・広範囲での被害が生じています。
そして今年、令和元年(2019年)7月にも「九州南部を中心とした豪雨」が発生、各地で被害(洪水、土砂崩れ)が生じています。
・「平成29年7月九州北部豪雨」
・「平成30年7月豪雨」
・令和元年7月の九州地方の大雨
大雨(豪雨)災害は、珍しい出来事ではないということです。
毎年発生する可能性の高い自然災害となってきているのです。

大雨災害をもたらす「線状降水帯」とは!?

前項で紹介した大雨(豪雨)は、「線状降水帯」と呼ばれる特徴的な自然現象によってもたらされています。

「線状降水帯」とは、気象庁が名付けた天気予報などで用いられている予報用語のひとつです。
「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域」を意味しています。

次々と途切れることなく、同じエリアで積乱雲が発生することから、大雨が数日間にわたって降り続いてしまうのです。

出典:気象庁HP気象庁「天気予報等で用いる用語 降水」

2019年から変わった避難勧告に関する情報発信方法「警戒レベル」

このように特徴的な大雨(豪雨)被害が毎年発生するようになったことを踏まえ、今年(2019年)3月に「避難勧告等に関するガイドライン」が改定されることとなりました。
改定の一番のポイントとなるのが「警戒レベルの設定(5段階)」です。

すでに、今年(2019年)の7月に生じた「九州南部での豪雨」のときに、新しい警戒レベルを活用した情報発信(避難情報)が行われています。
ニュースなどを通じて警戒レベルという言葉を知った方も少なくないのではと思います。
従来の防災気象情報の伝え方とは大きく異なり、「避難をすること」「命を守ること」が強調された伝え方となっています。
今回は「5段階の警戒レベル」の要点をご紹介しますが、警戒レベルの表記内容に関する詳しい内容は気象庁HP(警戒レベル)を参照していただければと思います。

出典:内閣府「避難勧告等に関するガイドラインの改定

出典:気象庁ホームページ「防災気象情報と警戒レベルとの対応について

警戒レベル1:最新情報に注意する

警戒レベル1の対象地域では、気象庁により発信される「早期注意情報(今後、数日先までに気象警報が出る可能性を示した情報)」及び「大雨に関する最新気象情報」に注意することが求められます。

警戒レベル2:避難方法などの確認

警戒レベル2の対象地域となったときには、「大雨・洪水注意報」がいつ発表されてもおかしくない状態であることを認識しましょう。「避難場所の確認」「避難ルートの確認」など具体的な避難計画を確認することが求められます。

警戒レベル3:高齢者などの避難

警戒レベル3の対象地域となったときは、各自治体から「大雨・洪水警報」「氾濫警戒情報」などがすでに発表されている段階を意味しています。高齢者など避難行動に時間を要する人に対して、実際に「避難をすること」が求められます。
※小さな子どものいるご家庭では、この段階で具体的な避難行動をとることが望まれます。

警戒レベル4:対象地域の全員避難

警戒レベル4の対象地域となったときは、災害発生が目前の段階。「土砂災害警報」「氾濫危険情報」などが発表されている状況で、各自治体から「避難勧告」が出されます。
対象地域の全員が避難場所もしくは安全な場所に避難をすること(避難行動)が求められます。

警戒レベル5:災害発生中&命を守る

警戒レベル5の対象地域となったときは、すでに“災害発生している状況”と認識すべき段階です。「浸水エリア」「土砂崩れによる道路の遮断」が存在し、通常の避難行動が困難となっている可能性があります。
個別の状況をしっかり確認。自分や家族の命を守るための最善の行動を即決することが求められます。

大雨災害に対する「避難の課題」

近年、あらためて注目されるようになってきた大雨災害。法的な整備・改定も行われたばかりということもあり、避難行動・避難計画に関してさまざまな課題が存在しています。
中でも現時点で大きな2つの課題についてお話しておきたいと思います。

避難が苦手な日本人

自然災害研究・防災検証を通じて、大きな課題と考えられるようになってきたのが“避難行動が苦手な日本人の特性“という要素です。
心理学的にも、「日本人(主に男性)は逃げることを嫌う傾向がある」と言われていて、このような要素も避難行動を遅らせる要因のひとつと考えられています。
実際、今年7月初旬の「九州南部の豪雨」で、警戒レベル4となり避難が求められた対象地域(鹿児島市)での調査(報道発表情報)関して、実際に避難行動(避難所への避難)を行った人の割合がたったの0.3%ほどだったとのこと。
新しい警戒レベルの内容が多くの人に伝わっていなかったこともあるかと思いますが、だとしても、“避難行動の少なさ”が目立つ結果となっています。
このことは、今後大きな課題(大規模な被害に繋がる)となります。

避難所不足など物理的な避難対応の遅れ

警戒レベルが設定され、実施されるようになったわけですが、実は物理的な現実が追い付いていないのです。“避難所不足”なのです。
警戒レベル4の情報発信で対象地域の全員避難を求めたとしても、現実にはすべての対象者を受け入れられる避難所数がそろっていません。
地域によって、避難所の大きさや数にも大きな格差が存在します。
「避難所に行ってみたが、その避難所は満員で入れなかった」というケースがあったとき、想定していた避難計画が実行不能になってしまいます。
新たな避難所探しは、混乱が生じる災害時にとても困難なものとなってしまいます。
各自、地域状況に応じて、複数の避難計画を立てておきましょう。

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現時点では、梅雨季節の7月に大雨災害が集中していますが、今後は秋雨前線が存在し、台風も訪れる秋時期にも、同様の大雨災害が生じる可能性があるものと考えられます。
特に、小さな子どものいるご家庭では、大雨による被害を生じやすい状況となりますので、大雨も台風などと同様な注意対象として認識するようにしていただければと思います。

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