台風は秋がこわい。豪雨による災害から子どもを守るために常備しておきたいもの
毎年のように起こる気象災害の一つが“台風による豪雨災害”。大雨が長期化しやすい秋台風は早めの対策が必要です。今回は、台風の豪雨に備えるための気象防災学や災害に備えて常備しておきたいものに詳しい、防災アドバイザーで気象予報士の田頭孝志さんに聞きました。
田頭 孝志
防災アドバイザー 気象予報士
田頭気象予報士事務所
愛媛の気象予報士・防災士。不動産会社の会員向けの防災記事、釣り雑誌にコラムの連載・特集記事の執筆、BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数 ・防災マニュアルの作成に参画。
近年の台風災害の特徴
近年の台風災害の特徴は、毎年のように死者を伴う豪雨災害が起こっている点です。
(2013年~2017年の主な台風豪雨災害)
(c)田頭気象予報士事務所
台風の豪雨災害は9月~10月にかけて多く発生しています。また、台風の豪雨災害は、「河川の氾濫」や「土砂災害」などが中心です。
台風の豪雨災害のパターンと活用したい気象情報
秋台風の豪雨災害には、必ずと言っていいほど“秋雨前線”が絡んでいます。
そのため、台風がやってくるかなり前から大雨が始まることも多く、災害対策が遅れがちになります。ここでは、台風の豪雨災害のパターンや活用したい気象情報を紹介します。
台風の豪雨災害が起こりやすいタイミング
秋台風の豪雨災害が起こりやすいタイミングは、
・台風接近数日前
・台風接近時
の2回です。
台風接近数日前に豪雨が起こるのは、台風の温かく湿った空気が日本付近に停滞している秋雨前線を刺激するためです。
そのため、台風から離れていても秋雨前線がある場合は、台風接近の数日前から豪雨災害に備える必要があります。
(c)田頭気象予報士事務所
台風接近時の豪雨は、“アイウォール”がもたらします。
アイウォールは、台風の眼を取り囲む発達した積乱雲です。台風の“眼の壁”のように見えることから、アイウォールと呼ばれています。
(c)田頭気象予報士事務所
アイウォールの怖いところは、普段大雨にならないエリアでも1時間に80mmを超えるような猛烈な雨が降り、短時間で豪雨災害が起こることです。さらに、台風接近時は暴風が吹くため、避難も困難になります。
台風災害の防災に役立つ気象情報
台風豪雨災害に備えるためにも、気象庁が発表する気象情報を活用しましょう。
まずは、「台風情報」で5日先の進路予想をチェックできます。
台風で特に警戒すべきことは、「全般気象情報」を参考にしてください。台風が接近すると、「全般気象情報」では、
・台風の状態と今後の予想
・警戒すべき防災事項
・予想される最大風速
・予想される雨量
・雨の実況
・今後警戒すべきこと
などの情報が、数時間おきに細かく発信されます。
警報が出るタイミングは、「気象警報・注意報」を参考にします。
参考:気象庁「台風情報」
参考:気象庁「全般気象情報」
参考:気象庁「気象警報・注意報」
市町村ごとに、5日先までの警報発令有無の可能性を示す情報も提供しています。どのタイミングで警報が出る可能性があるのか、把握しておきましょう。
引用:気象庁「気象警報・注意報(図表形式) : 松山市」
警報級の可能性が「高」もしくは「中」になっている日は、警報が出て行動が制限される可能性があります。その前までに防災対策を行う必要があります。
台風接近時の行動で注意すること
土砂崩れや洪水の危険性があるエリアでは、台風の豪雨で避難が必要になる場合があります。お子さんを連れて避難するときは、荷物も増えます。家族や友人、知人と連絡を取り合い、可能な限り複数人で手伝ってもらいながら避難しましょう。
「迷惑をかけたくない」「オーバーな人だと思われたくない」「避難して何もなかったら恥ずかしい」など、人に頼れない気持ちや、抱え込んでしまう気持ちも分かります。でも、頼ってください。お子さんのためにも。災害に強い人は、良くも悪くも、人に頼れる人です。
台風災害に備えるための備蓄食料
台風災害が起こったときは、外出を控えて自宅・避難所での生活が基本になります。台風災害は比較的気温の高い時期に起こるため、食料や水の確保ができれば、とりあえず命は守れます。台風災害に備えるためにも、できるだけ早い段階で備蓄食料を用意しましょう。
台風に備えて用意したい備蓄食料は
大人の分は想像がつくかもしれませんが、子どもがいる家庭では下記の分も備蓄しておきたいもの。
・液体ミルク、粉ミルク
・赤ちゃん、子ども用のレトルト食事・離乳食
・チキン、ツナなどの缶詰
・保存の効くベビーフード
・5日分の水
・保存の効くジュース
などです。荷物も多くなるため、お子さんが幼児食を取っているなら、大人の非常食と子どもの非常食を一部兼ねても構いません。
備蓄食料は台風の動きに合わせて3日~5日分を用意
秋台風の災害に巻き込まれないためにも、台風が接近してから過ぎ去るまでは、極力外出しないことです。
雨が弱くても、子どもを連れて屋外で行動するのは予期せぬ危険やトラブルに遭う原因になります。
台風が接近して雨が降り出してから、過ぎ去って雨が止むまでには3日~5日ほどかかります。台風の速度にもよりますが、雨が降り出す前に“3日~5日分”の備蓄食料を用意しておきましょう。
台風の備蓄食料の保管は“温度”と“湿度”に注意
熱帯育ちの台風は、非常に“高温”で“多湿”なので、接近すると気候もガラッと変わります。季節外れの暑さになるのも、秋台風の特徴です。
エアコンで部屋の温度を調整するのが望ましいですが、台風は停電も起こります。開封したミルクやレトルト食品は、食中毒防止のために使い切るようにしましょう。
毎年のように発生する台風災害ですが、いつも同じ場所で起こるわけではありません。豪雨災害に遭った人の多くは、「こんな大雨初めて」と口を揃えます。台風災害を他人事だと思わず、備えをしっかり行い、命を守る行動を取ってください。