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非認知能力の発達に欠かせないアタッチメントとは?

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幸せママの保持、台所で遊んで笑って子供女の子
fizkes/gettyimages

幼児期には、数値で測ることのできる認知能力を高めるよりも、数値では測れない「非認知的な能力(非認知的な心)」をはぐくむことが大切だと言われています。そのために欠かせないのが、「アタッチメント」。日本語では「愛着」「くっつくこと」などを意味する言葉ですが、発達心理学においてはどのような行為をさすのでしょうか。発達心理学・感情心理学が専門の東京大学大学院教育学研究科、遠藤利彦先生にたまひよONLINEが聞きました。

関連:乳幼児教育の世界で注目される「非認知能力」 大切なのは2つの心

アタッチメントって何? 愛情と愛着の違いは?

アタッチメントとは、「愛着」「くっつくこと」を意味します。発達心理学では、乳幼児がママ、パパ、保育園や幼稚園の先生など、誰かにくっつくこと、とりわけ不安なときにくっつこうとすることをいいます。

「Attachment」は時折「愛情」とも訳されますが、発達心理学でいう「アタッチメント」は愛情ではなく「愛着」を指します。愛情は特定の他者とつながる喜びの気持ちをいいますが、愛着は特定の他者にくっつくことをいうのです。子どもがそのくっつきを通して、大人に感情を受け止めてもらい、その感情の意味を知り、自分の感情が調節されるところまでがアタッチメントです。

また、同じように混同されやすい言葉として、「スキンシップ」がありますが、アタッチメントはそれとも違います。アタッチメントは、「いざとなったらその人にくっつけるという感覚を持てること」です。それにより自律性が促されます。「くっつく」という行為は自律性とは対極にあるものと思われるかもしれませんが、「いつでもくっつける」というアタッチメントの関係があるからこそ、子どもは1人でいられるのであり、その経験から自律性を獲得していけるのです。

アタッチメントで非認知的な能力(心)がはぐくまれる

アタッチメントによって、子どもは「自分は愛してもらえているんだ」「それだけの価値がある存在なんだ」という自信を持てるようになります。いつだって、自分を受け止めてくれる場所がある。自分が遊びに出たときも、応援して見てくれる人がいる。そうした安心感の中でさまざまな遊びを経験し、非認知的な能力(心)がはぐくまれていきます。

年齢(月齢)ごとのアタッチメントの発達は?

子どものアタッチメント行動は年齢(月齢)によっても異なります。その発達過程を見てみましょう。

【誕生から12週ごろ】
視覚的にまだ人を識別できないことから、特定の人に対してではなく、近くの人に対して、耳をすませる、泣く、ほほえむ、手をのばすといったアタッチメント行動をします。特定の誰かの声でなくても泣きやむことがあります。

【12週ごろ~6カ月ごろ】
引き続き、だれに対してもアタッチメント行動を取る傾向がありますが、日常的に接触の多い人に対しては、とくにそれを向けるようになります。聴覚、視覚で人を識別するようになり、その人物に応じた反応を示します。

【6カ月ごろ~2、3歳ごろ】
人物の認識がさらに明確になり、相手によって明らかに反応を変えます。はいはいで親を追う「後追い」や、まわりのものを見たり触ったりしてどんなものかを確かめようとする「探索行動」など、反応のレパートリーも増えます。

【3歳ごろ~】
大人の次の行動を予測しながら、自分の行動や目標も修正していきます。それとともにアタッチメント行動の頻度は減っていきます。それは「困ったときはいつでも助けてくれる」という安心感が子どもの中にしっかりと備わっているからです。

アタッチメントの行為には大きな個人差がある

アタッチメント行動は、すべての子どもが同じ状況下で同じ行動を取るとは限りません。アタッチメントには個人差があるのです。そしてその差は、持って生まれたものというよりも、ママやパパなど子どもの近くにいる人のかかわり方で決まることがほとんどです。発達心理学では、「ストレンジ・シチュエーション法」による研究結果をもとに、その個人差を一般的に3つのタイプに分類しています。
その研究は、1歳~1歳半ごろの子どもをママやパパと一緒に初めて訪れる部屋に連れて行き、その後ママ・パパだけがその部屋を出たときの子どもの反応を見るというものでした。


【回避タイプ】
子どもを残してママやパパが部屋を出てしまっても、混乱したり泣いたりしないタイプ。「自立したいい子」のように思われるかもしれませんが、不安な気持ちを抱えているという面では、実はほかのタイプの子どもたちと変わりません。
このタイプの子どものママ・パパたちは、子どもとのかかわりを避けている傾向があると考えられます。子どもが泣いて近づいてきたときに、子どもを遠ざけたり、自分が遠ざかったりすると、子どもが回避タイプになりがちです。
このタイプの子どもは、ママやパパへのくっつきを少しあきらめてしまっている傾向があります。ママやパパは子どもが泣いて近づいてきたりしたら気持ちを受け止めてあげましょう。

【安定タイプ】
ママやパパが部屋を出ていく際に、混乱したり泣いたりするタイプです。ただしママやパパが戻ると、機嫌がもとに戻ります。そこで安心してママやパパに抱きつくなど甘えたあとで、また離れて遊ぶことができます。
このタイプの子どものママやパパたちは、子どもの欲求や状態の変化に敏感でありながらも、過剰な働きかけをせず、子どもと円滑にコミュニケーションが取れていると考えられます。引き続き、子どもを遠くから見守ってあげましょう。

【アンビバレントタイプ】
安定タイプ同様、ママやパパが部屋から出ていく際に混乱したり泣いたりしますが、その不機嫌さはママやパパが戻ってきたあとも続きます。ママやパパをたたくなど、行動は全般的に不安定で、安心感を得られないためにママやパパにしつようにくっつく傾向もあります。
このタイプの子どものママやパパたちは、気まぐれなことが多いようです。あるときは子どもを受け入れるけれども、あるときは受け入れない。子どもとしては見通しが立ちにくいために、激しい行動につながってしまいます。子どもが一人でいられるようになるのは、「いつでもくっつける」、「いつでも助けてくれる」という存在があるからこそ。受け入れる余裕がないこともあるかもしれませんが、受け入れたほうが子どもの自立は早まり、結果的に育児も楽になります。少しずつ、受け入れる頻度を高めましょう。

アタッチメントの前提として、赤ちゃん時代の「ジョイントネス」も大切です

アタッチメントの前提として、赤ちゃん期の「ジョイントネス」にも注目されています。こちらは「Jointness=つながる」という意味で、アタッチメントの「くっつく」とも似ていますが、違うものです。

まず、アタッチメントが誰か特定の人に対する行動であるのに対し、ジョイントネスは特定の誰かではなく不特定の人に対する感応をいいます。
この感応には大きく2つあります。一つは「社会的知覚」。赤ちゃんはもともと人が好きです。そのため、周囲の誰かの行動や声を、好んで見たり聞いたりする社会的知覚を示します。もう一つは「社会的共振」。赤ちゃんはまわりの人たちに、「かわいらしいな」と感じさせます。姿かたちだけでもかわいらしいし、ニコっと笑った顔もかわいらしいですよね。

こうして周囲にいる人に感応し、また周囲の人を感応させることで、赤ちゃんは人との関係性をつくり、さまざまな感情を獲得します。育児というと、「なにか特別なことをしてあげなくちゃ」と考えるママ・パパも多いと思いますが、実は話しかけたりだっこしたりと自然な働きかけをするだけでも、子どもの発達に必要なことができているのです。

関連:将来の収入にも差が!テストでは測れない子どもの「非認知能力」とは

子どもと接する時間が短い共働き夫婦などの場合、子どもとのアタッチメントの機会が少なくなってしまうのではないか。ちょっと気になったので遠藤先生に聞いてみましたが、「そのときどきに安心感に浸れる環境があればいい」のだそうです。つまり、共働き夫婦の子どもでも朝と夜はちゃんと親がいて、昼間は保育士さんがいる。そこできちんとアタッチメントができていれば、子どもの非認知的な心も育っていくそうです。子どもと一緒にいる時間の「量」だけでなく「質」についても考えたいですね。
(取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部)


監修/遠藤利彦先生
東京大学大学院教育学研究科・教授(発達心理学・感情心理学)。子どもの発達メカニズムや育児環境を研究する発達保育実践政策学センター(Cedep)のセンター長も務めている。

参考文献/『赤ちゃんの発達とアタッチメント――乳児保育で大切にしたいこと』(遠藤利彦著・ひとなる書房)、『言葉・非認知的な心・学ぶ力』(小椋たみ子、遠藤利彦、乙部貴幸著・中央法規出版)

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