1歳2歳3歳 イヤイヤ期 親が「言ってはいけない」NGパターン5
子どもの成長につれて増えるイヤイヤとともに、しかるシーンも増えるもの。1日に1〜2回しかっているママやパパが約26%、1日に3〜4回は約18%というデータ(※)もあります。そんなとき「このしかり方でいいのかな?」「また同じことでしかっているかも」と、モヤモヤすることはありませんか。そこで、しかり方と同じくらいコツが必要なほめ方と、いちばん気になるしかり方について、乳幼児期の親子関係に詳しい塩﨑尚美先生に年齢別でアドバイスをいただきました。毎日の子育てのヒントを見つけてくださいね。
※このデータは0カ月~1才11カ月の赤ちゃんを持つ、たまひよモニター会員412人のアンケート結果をまとめたものです(2019年2月実施)
ほめる・しかるのキホンはコレ!
ほめる=「すごい!」、しかる=「ダメよ!」となりがちではありませんか。知っているようで意外と知らないのが「ほめる」と「しかる」の基本です。子どもの気持ちや行動に合わせてかかわることが大切です。
ほめるとは「子どもの気持ちや行動に共感し、それを伝えること」
ほめるとは、ただ「すごい!」というだけでなく、子どもの気持ちや行動に共感し、それを伝えることです。共感してもらえると、子どもは「自分は大切にされている」と 感じ、心の安定につながるとともに自分に自信が持てるようになります。
しかるとは「基本的には危ない行動を止め、危険を伝えること」
子どもに「ダメ!」と言うのは、子ども自身や周囲の人を傷つけてしまうような、危険な行動を止めるときだけに使うのが基本です。「ダメ!」の多用は子どものやる気や好奇心を妨げることもあるので、なるべく避け、危険なものや触ってほしくないものは、子どもの目につかない 場所や手の届かない場所に片づけます。
ほめる・しかるの「言ってはいけない」NGパターン5
子どもをほめるときやしかるとき、言ってはいけない例を紹介します。このうち一つくらいは、してしまったこともあるかもしれませんが、繰り返さないことが大切です。つい言ってしまいそうなときに思い出してくださいね。
【1】子どもの人格を否定する
「◯◯はダメな子」「◯◯なんて嫌い」といった、子どもの人格を否定するような言葉やしかり方はNGです。あくまでも、行動の内容に対して「ダメだよ」としかりましょう。
【2】だれかと比べる
「◯◯より上手!」「◯◯はできるのに」など、だれかと比較してほめられたり、しかられたりするのはNGです。「自分はありのままを受け止めてもらえている」という気持ちにつながらないので避けましょう。
【3】形式的にほめる
口先だけで「上手上手ー」「すごいすごい」と言ったり、子どもの目を見ないでほめたりするのは逆効果です。きちんと子どもと向き合って、心を込めてほめることが大切です。
【4】あらゆる言動・行動を否定する
「◯◯しちゃダメ! ◯◯もダメ!」と、「ダメ」の多用は子どものやる気を失わせてしまう恐れがあります。具体的にどうすればいいのか、適切な振る舞い方を伝えることが大切です。
【5】感情的に怒る
「なにやっているの!」「なんでできないの!」など、感情的になると、伝えたい肝心なことが伝わりません。子どもにとっては「ママ(パパ)が怒って怖かった」という印象しか残りません。
1才・2才・3才 年齢で変わるイヤイヤには、こうかかわる!
1才を過ぎると少しずつ増えるのが、この時期特有のイヤイヤシーンです。イヤイヤにはその子なりの理由があるとともに、年齢によっても特徴があります。年齢別に多い原因や理由を知っておくと適切な対応をしやすいですよ。
そもそもイヤイヤするのは、自分の欲求や気持ちに気づき始めた成長の証し
「自分とママは一心同体」と思っていたのに、1才ごろから「ママ=自分ではない」という欲求がわき上がり、なんとかして伝えようとします。その表現方法のひとつがイヤイヤです。子どもが自分の中の欲求や気持ちに気づき、自立に向けて一歩踏み出したという、大きな成長の証しなのです。
イヤイヤを通して自分を表現する力やコントロールする力を身につけていきます
イヤイヤしてなだめられ、気持ちを立て直す経験を繰り返すことで、自分の欲求や気持ちの表現のしかた、コントロールする方法を学んでいきます。でも、イヤイヤにすべて向き合うのはとても大変です。大切なのは、イヤイヤを無視せずに、理解しようとする姿を見せることです。理解しようとする親の姿勢が子どもの心を成長させます。
「1才代」のイヤイヤには、言葉より雰囲気でなだめる!
「自分で◯◯したい、したくない」という意思がはっきりしてきて、思いどおりにならないとイヤイヤすることがあります。自分の思いが伝わらないことがもどかしくて、思いどおりになるまで激しくイヤイヤするときも。
「◯◯だからダメ」など、因果関係を理解することはまだできません。明確なイヤイヤの理由がなく、「何か嫌」など瞬間的なのが特徴です。言葉よりも楽しい雰囲気でなだめるほうが効果的です。
「2才代」のイヤイヤにはシンプルな言葉で簡潔に伝えて
「自分でなんでもできる」という万能感やプライドが芽生える一方で、親に甘えたい気持ちもあるために、対応が難しくなります。イヤイヤの表現も複雑化し、言葉と気持ちが一致しない場合もあるので、理解できないこともあるでしょう。
そんな難しさを抱える2才代ですが、言葉に対する理解度はかなり深まっています。「どうせ言ってもわからない」とあきらめずに、シンプルな言葉で簡潔に理由を伝えてみましょう。
「3才代」のイヤイヤには、納得できる理由を示しながら伝える
言葉の理解が進み「なぜ嫌なのか」を説明できたり、納得すれば我慢ができるようになったり。言葉はもちろん心にも大きな成長が見られます。理由がわからないイヤイヤは減りますが、自己主張が激しくなることがあります。
また、3才代になると、複合的に物事を考えられるようになります。過去の経験の記憶もあるので、お出かけの準備などもできるように。納得できる理由をきちんと伝えれば、我慢ができることもあるので根気よくかかわっていきましょう。
いかがでしたか? イヤイヤ期は大変ですが、成長の証しであり、かかわり方によってはさらに成長できるチャンスととらえてみるとよさそうです。子どもの気持ちを理解しようとする姿勢が大切なのですね。(文/ひよこクラブ編集部)
■監修/
塩﨑尚美先生
日本女子大学人間社会学部心理学科・教授。専門は乳幼児期からの親子関係。臨床心理士、公認心理師でもあり、育児の悩みや思春期の子どもを持つ親のカウンセリングも行っています。
■参考
『1才2才のひよこクラブ』2019年夏秋号「イヤイヤキッズの心に届くほめ方・しかり方」