幼児期の「遊び込む経験」が「学び」の土台につながることが調査で判明。見直される遊びの大切さ
「園での経験と幼児の成長に関する調査」(ベネッセ教育総合研究所)のデータによると、幼稚園や保育園での「遊び込む」体験を通して、社会生活を営む上で重要な「学びに向かう力」が育まれている可能性が見えてきました。なぜ幼児期に「遊び込む」体験が大切なのか、調査結果から考えてみましょう。
学びに向かう力につながる、遊び込む経験とは?
「園での経験と幼児の成長に関する調査」は、園での活動と「学びに向かう力」の関係を明らかにするために、幼稚園・保育園などの年長クラスに通うお子さんを持つ保護者の方に、園でのお子さんの経験などを聞いたものです。
参考:「学びに向かう力」とは、「よりよい人生を生きるための土台」とも言われ、幼児期だけでなくその後の人生にも大きな影響を与えることが海外の研究から明らかになりつつあります。ベネッセ教育総合研究所の調査(「幼児期から小学生の家庭教育調査・縦断調査」)では、「学びに向かう力」は、好奇心、協調性、自己主張、自己抑制、がんばる力としています。この力は、「文字・数・思考」の力や「学習態度」とも関係していることがわかっています。結果は、下の図の通り、園で「遊び込む経験」※が多かった子どものほうが、「いろいろなことに自信をもって取り組める」「新しいことに好奇心をもてる」などの「学びに向かう力」が高い傾向にあることがわかりました。
※遊び込む経験…本調査では、園での活動について「自由に好きな遊びをする」「好きなことや得意なことをいかして遊ぶ」「遊びに自分なりの工夫を加える」「挑戦的な活動に取り組む」「先生に頼らずに製作する」「見通しをもって、遊びをやり遂げる」としている。
【図】年長児期の、園での「遊び込む」経験×「学びに向かう力」
子どもが園で過ごす時期や時間が増加傾向だからこそ
この結果についてベネッセ教育総合研究所は次のような見解を述べています。
「少子化が進み、幼児の育ちを支える場としての幼稚園や保育園が、以前にも増して重要になってきています。子どもたちは、園での夢中で「遊び込む」経験を通して、思いを実現した手応えや自信、楽しさ、目標に向けてがんばる力や協調性などの「学びに向かう力」を育んでいるようです。
「遊び込む経験」を実現するには、子どもの気持ちをくみ取り、適切なタイミングで援助をする園の先生方の関わりが重要になります。ほかにも、自由に活動を深められる時間や空間、道具などの環境が大切であることも調査から明らかになりました。
もちろん、園だけではなく家庭でも、可能な範囲で子どもの「遊び込む経験」を実現する環境づくりを意識することも重要だと思います。」
改めて幼児期にとって「遊び込む経験」が重要かということに気づかされる調査結果でしたね。
幼児期はめいっぱい経験させるのが我が家流子育て
口コミサイト「ウィメンズパーク」にも、ふだんの生活や遊びの中で、「遊び込む体験」を大切するママたちの様子が伝わってくるコメントがありました。
積極的に博物館や美術館に連れて行き様々な経験をさせたこと
「やってよかったなと思うのは、色々な経験をさせたこと。科学館や美術館、大学の子ども向けセミナーなどに連れて行ったり、山、川、海などの自然の中にも、よく連れて行ったりしました。そんな子どもも今は大学1年生です。合格した時、『やっと自分のやりたかった勉強ができる!』と喜んでいました」
幼児期にしかできない経験を重視
「机上のお勉強だけでは数や図解、科学を肌感覚では得られないと思っています。覚えるだけで応用はききません。たくさんの遊びのなかで、例えば石の数を数えたり、友達と公平に分けたり、だんだんと影の長さが変わるのに疑問を感じたり。宿題もなく、プレッシャーもなく毎日ただただ遊ぶだけの時間は幼児期だけです」
幼児期はひらがなの読み書きや簡単な計算など、学習面ばかりに親の目が向きがちですが、子どもが熱中していることを応援する関わりや、遊び込める環境を整えることも心がけていきたいですね。(文・酒井範子)
出典:「園での経験と幼児の成長に関する調査」(ベネッセ教育総合研究所)
■文中のコメントは『ウィメンズパーク』の投稿を再編集したものです。
■記事の内容は記載当時の情報であり、現在と異なる場合があります。