今や常識!?生まれてすぐのスキンケアがアトピーを防ぐ
アトピー性皮膚炎の予防のためには「新生児からの継続したスキンケア」が大切です。4回にわたり、赤ちゃんの「秋冬のスキンケアとアレルギー」との関係について特集する第3回は、「赤ちゃんのスキンケア」について。具体的な方法を子どものアレルギーに詳しい、国立病院機構相模原病院の佐藤さくら先生に聞きました。
肌が乾燥してバリア機能が低下する 秋冬はアトピーになりやすい!
赤ちゃんの肌は一見、きめがこまかくてうるおったイメージがありますが、実は大人よりもずーっと乾燥肌。2カ月ごろまではお母さんのおなかの中にいたときのホルモンの影響で脂っぽくなりますが、3カ月を過ぎると皮脂の分泌量が減っていきます。
また、皮膚の厚さは大人の約2分の1で、雑菌など外の刺激から肌を守るバリア機能が弱いのが特徴です。
さらに、赤ちゃんは汗っかきで、暖房によるあたためすぎなどで汗をかいてそのままにしておくと、肌トラブルの原因にもなります。
アトピー性皮膚炎は、肌が乾燥していてバリア機能が低下しているときに引き起こされすい病気。乾燥が厳しい秋冬こそ、注意が必要なのです。
肌のバリア機能アップには 保湿剤での乾燥予防がいちばん
それでは、赤ちゃんの肌のバリア機能を高めるにはどうすればいいのでしょうか。
答えは、毎日ていねいにスキンケアを続けることです。
最低1日1回、おふろなどで全身をきれいに洗って清潔にし、全身に保湿剤を塗ってあげましょう。
具体的な方法を紹介します。
洗い方のポイント3
泡立てた洗浄料でやさしく洗います。お湯は熱すぎると刺激になるので40度を目安に。圧が強いシャワーも刺激になるので弱めにしましょう。耳の後ろや首やひじ、ひざのくびれも広げてていねいに洗うことが大切です。湿疹(しっしん)があるときには1日に2回のスキンケアを行うとより効果的です。
1:よく泡立てた『泡』で洗うこと
よく泡立てた泡は肌への刺激が少なく、肌に必要な成分まで洗い流してしまうことも避けられます。洗浄料はよく泡立てて使いましょう。泡で出るタイプだとラクでしょう。
2:素手でやさしく洗うこと
タオルなどは使わず、ママやパパの素手でやさしく洗います。タオルなどでゴシゴシこするのは肌を傷つけるので避けて。
3:しっかり流すこと
泡でやさしく洗ったあとは、きちんと流すことが大切です。流し残しがあると、肌トラブルの原因になってしまうことも。しわの部分も広げてしっかり流しましょう。
保湿剤の塗り方ポイント2
塗る量の目安は大人の手のひら2枚分の面積に対して、クリーム・軟膏(なんこう)なら人さし指の第一関節くらいです。ローションの場合は1円玉大が目安です。赤ちゃんの肌がテカるぐらいたっぷり塗りましょう。
大人のてのひら2枚分
ひとさし指の第一関節くらい
大人の手のひら2枚分ぐらいの面積に対して、クリームは下の写真ぐらいが量の目安です。
1:肌を清潔にしてから塗ること
保湿剤は、汗や汚れを落とした清潔な肌に塗るのが基本です。汗や汚れが残ったままだと、肌トラブルの原因になって逆効果なので注意しましょう。
2:肌がテカるくらい塗ること
保湿剤は、塗ったあとに肌がテカるくらいたっぷりと塗りましょう。ローションやクリームなど季節や部位で使い分けても。
今はトラブルがないから、とスキンケアをしないでいると、肌は日々乾燥していってしまいます。
おふろ上がりの保湿はマストですが、おむつ替えや離乳食前後、着替えのあとなど、都合のいいタイミングで保湿してあげると、より効果的です。
「スキンケアはまだ」の人は 今すぐ始めよう!
赤ちゃんのスキンケアの大切さが、見直されている今。スタートはなるべく早く、生後すぐからが効果的とされています。アトピー性皮膚炎にかかる前の新生児期からスキンケアを始めたことで、アトピー性皮膚炎の発症率を低下させるという研究結果が発表されたのです。これから出産というママは、新生児のお世話のひとつとして習慣にしましょう。
一方、「うちの子は●カ月なのにまだしていない!」というママも大丈夫。なるべく早いスタートが肝心です!
佐藤先生教えて
ママ・パパたちから寄せられた、ちょっとした気がかり・疑問について、佐藤先生にお聞きしました!
Q:洗浄剤や保湿剤を選ぶポイントは?
A: 浄剤はできれば添加物(防腐剤や着色料など)を含まないほうが安心です。保湿剤はクリームやローションなど種類がいろいろありますが、季節や大人の使用感で選ぶのがいいでしょう。
Q:スキンケアのタイミングは1日1回でいいの?
A: 洗って全身を清潔にして保湿剤を塗るスキンケアは、基本的には1日1回でOKです。さらに秋冬の季節は、空気が乾燥している室外にお散歩にいくときなどに、肌を乾燥から守るために保湿剤を塗りましょう。離乳食などで口まわりが汚れたときは、やさしくふいてあげて保湿剤を塗るケアも大切です。
(取材・文/岩崎緑、ひよこクラブ編集部)
お話/佐藤さくら先生
(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター 病態総合研究部 病因・病態研究室長)
小児科医。日本アレルギー学会代議員。日本小児アレルギー学会評議員。診察と同時に食物アレルギーの現状、原因の研究を重ね、アレルギーに悩む親子に寄り添う。