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特別養子縁組・ついにわが家に赤ちゃんが! 養親になったふたりが感じた「制度」の主役は?

公園で幸せな家族
kieferpix/gettyimages

「特別養子縁組」について第4回。ワンオペ育児、孤育て、長時間労働、少子化…。長年、妊娠・育児雑誌を制作してきた「たまひよ」ですが、最近取材していると、どうしても日本の子育てが、厳しい問題に直面していると感じてしまいます。

この連載では、赤ちゃんをとりまくさまざまな事象を、できるだけわかりやすくお届けし、少しでも育てやすい社会になるようなヒントを探したいと考えています。

「たまひよ 家族を考える」特別養子縁組について#4

子どもとの初対面。感じたのは「喜び」と「責任感」

連載1回目では特別養子縁組という制度についてや取り巻く環境について、二回目ではわかりやすい書籍などを紹介しました。今回は、前回の「特別養子縁組で子どもを迎えたとある夫婦のケース」(前編)に続き、実際に特別養子縁組をした夫婦の話(後編)をお届けします。

山田祐介(仮名)さん、智子(仮名)さん夫婦は、二人とも30代。祐介さんはフリーランス、智子さんは会社勤めをしています。息子の健太(仮名)くんは1歳1か月。3人が寄り添う姿は、どこにでもいる親子のようです。

でも、山田さん夫婦と健太君にいわゆる血のつながりはありません。夫婦で話し合い、特別養子縁組をして迎えたのが、生後間もない健太くんでした。

健太くんと対面の日。指定された部屋で、二人は朝から数時間、やきもきしながら今か今かと待っていたそうです。待望の瞬間はお昼を過ぎた、13時ごろに訪れました。

「会うまでは実感が湧かなかったのですが、会った瞬間はとにかく『ほんとうに実在した!』という感動がありました。」(智子さん)

対面の様子を映した動画からは、あふれる喜びが伝わってきました。が、同時に二人の緊張も感じられます。インタビューを通して緊張感の原因がわかりました。それは「責任感」。研修を通して心の準備をしてきたとはいえ、実際に健太くんと触れ合うことで命の重みを感じたのだそう。

「当然ですが、特別養子縁組の事前研修で抱いた人形とは全く違う感触。だからこそ、健太を抱っこした瞬間は、『命を預かっている』という責任感がわいてきました」(祐介さん)

二人はしきりに「特別養子縁組の主役は、生みのお母さんと子ども」と言います。生みのお母さんから預かった命を育て上げなければ、という強い責任感を今までの知識としてではなく、心から実感したのではないでしょうか。

出産しなくても子育て自体は変わらない

家に赤ちゃんがいて、赤ちゃん中心の暮らしをする。出産した赤ちゃんを育てることとの違いはどんなことがあるのでしょうか。

「子育て自体は、出産されている方と全く変わらないと思います」(祐介さん)

「ただ“特別養子縁組ならでは”な面はたしかにあります。私は自分で出産していないため、産褥期がありません。母体を回復させながら子育てを行っている他のお母さんと違い、気力も体力も十分な状態で子育てを始められたことが一番大きな違いだと感じました」(智子さん)

自宅で仕事をしていて日中の時間の融通がきく祐介さんが子育てをメインで担うことになり、会社勤めの智子さんは2ヶ月で育休を切り上げ職場に復帰。出産するとたいてい女性は1歳まで育休をとるケースが多いことを考えると、かなり早いタイミングだったため「特別養子縁組で子どもを迎えた」という事情を知らない人には驚かれたそうです。

子ども自身に色々な可能性があることを知ってもらえるように

ほかにも「特別養子縁組だからこそ」必要なこともあります。それが、いわゆる「真実告知」です。真実告知とは、育ての親が子どもに対して、生んでくれた人がほかにいること、生んでくれた人にはいろいろな事情があって育てることができなかったこと、育ての親が心から望んで家族に迎えたという真実を伝えることです。子どものアイデンティティの形成にも関わるからこそ難しいイメージがありますが、山田さん夫婦はすでに始めていると言います。

「まだ1歳ですが、少しずつ伝えています。部屋には、生みのお母さんの写真も飾っています。私たちとはまた別に、生みのお母さんという存在がある――これって、とても深く彼のアイデンティティに関わること。だからこそ今のうちから自然な形で伝えていき、成長の過程の中で、彼自身で組み立てていってほしいと思っているんです」(智子さん)

それでも将来「特別養子縁組で結ばれた親子」ということについて、良からぬことをいう同級生も出てくるのでは…? などの可能性についても考えています。

「健太を国内外問わずいろいろな場所に連れていき、多様な価値観にふれさせていきたいと思っています。たくさんの可能性や文化、考えかたがあることを知ってもらうことで、将来壁にあたったときに、広い視野で物事を考えられるようになって欲しいですね」(祐介さん)

選択肢のひとつ、という考え方

まだまだ認知度が低い特別養子縁組制度を利用して、子育てをしたいという夢を叶えた山田さん夫婦。この記事で特別養子縁組について知った人に伝えたいメッセージを聞いてみました。

「不妊治療を始めたことで、終わりが見えずに苦しんでいる人も多いのではないかと思います。私がそうでした。でももし、出産そのものではなく子育てがしたくて妊活しているのなら、選択肢の一つに入れてみることも検討してみてほしいです」(智子さん)

「この制度は、我々のような養親ではなく、実母さんや子どものための制度ということを身をもって実感しました。だから養親になりたいという側は『この家庭が、子どもにとって幸せになれる環境かどうか』という観点で審査されます。そういった子どもを迎えるまでの過程も含め、制度そのものが広く知ってもらえたらと思います」(祐介さん)

二人のお話をきいていると特別養子縁組は「社会で子どもを育てる」ための一環として養親という役割を担う制度なのだなと感じました。

新しい家族のかたちとして、日本ではまだまだ知名度の少ない特別養子縁組。山田さん夫妻が言うようにまずは多くの人が制度自身を知り、より良いものとなるよう議論できる世の中になればと思いました。

取材協力/認定NPO法人フローレンス

書き手 箕島宇江
ライター 10代から持病があったため、婦人科の勧めで入籍直後から不妊治療を始めるも、持病悪化で体外受精は2回目で断念。諦めきれずに調べていく中で、特別養子縁組を知る。最終的には夫婦二人での人生を選択した。

フローレンス「赤ちゃん縁組」はこちら

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