寝る子は育つ~夜更かし習慣を変えて早寝習慣に
赤ちゃん期を卒業して幼児期になると、親や兄弟姉妹の生活リズムなどが影響して夜更かしの習慣がついてしまう子がとても多いようです。今回は、早寝をさせるためのポイントを、子育てアドバイザーの雨宮奈月さんに紹介してもらいました。
雨宮 奈月(教育・子育て心理アドバイザー)
総合学習教室HECを主宰。英語やマザリングの講師として延べ8,000人以上の親子に子育てや学習環境を「丸ごと指導」。子どもの運動能力を伸ばすコーディネーショントレーニングや英語劇もプロデュースする。アメリカで幼少期を過ごした帰国子女、3児の母でもある。
HEC Kids Education
どうして眠らないといけないの?
赤ちゃんは1日あたり16時間以上眠りますが、幼児の理想の睡眠時間は9~12時間だそうです。幼児期になると幼稚園や保育園に行く生活のルーティンができていて、朝起きなくてはならない時間や寝る時間が決まってきます。
子どもを寝かせるために声をかけることもあると思いますが、なんとなく「子どもはもう寝る時間だよ!」というフレーズを使っていませんか?
こどもは「なんで寝る時間なの??」なんて疑問に思うかもしれません。なぜ子どもは大人よりも早く眠らないといけないのか。寝ている間にどんなことが起きているのかを教えてあげるのも良いでしょう。
睡眠中、脳は“今日の体験“のすべてを整理しています。いっぱい遊んだり、勉強したり、経験したことを反芻して記憶しています。また、色々な出来事を整理することで情緒を落ち着かせることもできます。
子どもが眠らない理由
寝る時間になったからといってすぐには寝てくれなかったりします。「遊び足りない」「バタバタ忙しくしていて目がさえてしまった」「昼寝を遅い時間にしてしまった」など理由はさまざまありますが、子どもが眠れない一番の理由は「ママと離れたくない」だったりします。
楽しすぎたり疲れすぎたりして興奮してしまうと、交感神経の活動が高まり、なかなか眠れなくなってしまいます。しかし、何がリラックスできるかはその子の成育環境によってそれぞれ違うものです。赤ちゃんの時から静かな場所で寝ていた子、兄や姉がいて騒々しい中で寝ていた子では安心(リラックス)する条件が変わります。
この「ママと離れたくない」と「リラックスができない」状態だと子どもは眠れません。ママの温もりは何かで代替することはできませんが、それでも温かい毛布やブランケットで子どもをくるむのはそれなりに効果的です。
スムーズな入眠方法
子どもはもっと遊びたがったり、バタバタ忙しくなってしまったりし、寝る時間になってもすぐに眠れないこともあるでしょう。子育て中は忙しい毎日だからこそ、スムーズに効率的に入眠できれば、ママにとっても助かります。
子どもにスムーズに寝てもらうためには、まず、寝る前のルーティン(毎日のパターン)を決めるといいでしょう。
例えば、
・トイレに行ったあと、いつものくまさんをもってママとハグして『おやすみ』をいってから寝る
・大好きな絵本を1冊読んだら、それを枕の下に入れてから寝る
・お水を飲んで、コップを流しに下げるお手伝いが完了したら布団にいく。
お決まりの行動パターンを「就寝スイッチ」にします。
これは良い状態の時の記憶と行動をくっつける心理学のアンカリングに似ているのですが、このスイッチの作り方をひとつご紹介します。
1.上の例の様な「おやすみルーティン」の行動をする
2.子どもの顔の周りに何かを置き、おくるみ状態を作る
3.ニコニコと寄り添い安心させてあげる
4.一定のリズムでトントンしてあげて落ち着かせる
初めのうちはとにかく気持ちよく睡眠できるように穏やかにリラックスして寝付かせに臨みます。気持ちよく眠れるようになってきたら、その「就寝スイッチ」だけでも眠れるようになるようにトントンをやめ、添い寝をやめ、スイッチの行動だけ残るようにしていきます。
ポイントは、寝付かせている途中で「ママ絵本もう一冊読んで!」とか「もう一回トイレ行く」とか「あのさーお話しよう!」などとならないように、“トイレは必ず済ませてから”“絵本は1冊だけ”などとあらかじめ約束してお「もうおやすみ言ったらお話しないよー」と事前に言い含めておくと良いでしょう。
何を要求して試されてもニコニコと「寝ましょう」とだけ声をかけ「就寝スイッチ」が定着するまで続けてみてください。早い子は2~3回でスイッチが完成します!
スイッチ発動がうまくいかなかったとしても、恒常的な行動パターン(ルーティン)はリラックスを生むので、それだけでも効果的です。
どうしても夜更かししてしまう子のリフレーミング
早寝早起きが大切なことをわかってはいるけれど、それでもなかなか寝ようとしない夜更かしをしてしまうちょっとお兄さん・お姉さんになってきた子には考え方(フレーム)を変えるようにお話をしてみてください。
リフレーミングとは物事の視点を変えることで、捉え方や考え方を変えることをいいます。
(例)
「9時までには寝なさい!」というと、“9時までしか遊べない”と感じますが、
「9時まで遊んでいいよ!」という言い方に変えると、“9時まであそべる!”と感じます。
どちらも同じ意味なのに、言葉の選び方次第で「得なこと」に変化させることができるのです。
習慣は、毎日の積み重ねによって身につくものです。最初のうちにうまくいかなくてもあきらめず、少しずつ「眠りスイッチ」と「リフレーミング」を利用して、早寝の習慣をつけてあげてください。