顔が重要? 0才からのしつけ。子どもの将来につながる「ダメ」の伝え方
危険な行動をしたり、まわりに迷惑がかかることをしてしまったり。赤ちゃんに「ダメ」と伝えなければいけないシーンは毎日のようにありますね。けれど、言葉が通じない0才代の赤ちゃんに、しつけってできるのかな…と迷ってしまうもの。そこで、0才代からのしつけとしてするべきこと、しなくてもいいことを、乳幼児期の親子関係に詳しい塩﨑尚美先生に聞きました。
そもそも、しつけって何?
しつけとは、赤ちゃんが成長して、将来ひとりの大人として自立できるように親が導くことです。まずは人間社会のさまざまなマナーやルールを教えること、そしてトイレや部屋の片づけなど生活スキルを身につけさせることなどを指します。家庭によって、しつけの方針は変わってきます。
3才までは、何より「信頼関係の構築」が最重要課題!
大人から言われたことを理解し、少しずつ行動に移せるようになるのは3才ごろから。このころになると「これはママがダメって言うかも」と、これから起こることを予測し、行動に移せる場面が出てきます。けれど、予測する力はまだまだ未熟なので、大人が「しつけ」をすることが必要になります。
そのとき不可欠なのが、親子の信頼関係。しつけは信頼関係があってこそ成り立つものです。ママやパパが愛してくれている、自分のために行動してくれている、と実感できるからこそ、親の言葉に耳を傾けるようになるのです。
0才代から愛情いっぱいに子どもと向き合い、信頼関係を毎日少しずつ積み重ねていくことで、3才からのしつけをスムーズに進めることができます。
0才代の今から、しつけのためにしておきたいこと3つ
本格的なしつけは3才ごろから、ということですが、日々、赤ちゃんにもダメを伝えたいことはありますね。0才代の今でもできる「プレしつけ」のコツを紹介します。
【1】ダメなことは短く伝える
危険なことをしたときは、たとえ0才代であってもしっかりとダメ、と伝えましょう。「めっ!」など短い言葉で、子どもの行動を止めることが目的です。ダメな理由を伝えても、まだ理解できません。言葉の意味を理解しはじめる1才近くになってからでOKです。
【2】たくさんほめる
赤ちゃんを“ほめる”とは、できたことを評価することではありません。赤ちゃんの気持ちに共感し、それを伝えることを指します。まだ言葉が理解できなくても、ママやパパが共感してくれている、ほめてもらえている、と感じることで心が安定し、信頼関係を築くことができます。
【3】ほめるときも、しかるときも「わかりやすい表情」で!
言葉の概念を理解できない0才代は、相手の表情や雰囲気、声のトーンなどを手がかりにしてコミュニケーションをとっています。ですから「めっ!」と言っているのに、顔はニコニコしていると、ほめられているのか、しかられているのか赤ちゃんは混乱してしまうのです。大げさなくらいわかりやすい表情や声のトーンにすることで、赤ちゃんにもほめたいことやしかりたいことが伝わりやすくなります。
しかるとき
ほめるとき
塩﨑先生よりママへ「感情的にしかってしまったあとはスキンシップを」
赤ちゃんだからわからない、とわかっていても感情的にしかってしまうこともありますよね。塩﨑先生からママへメッセージをいただきました。
「親であればだれしも、感情的に子どもをしかってしまうときがあります。泣き顔を見て後悔することもあるでしょう。けれど、必要以上に自分を責めないでください。しかってしまったあとに、ギュッと抱き締めてあげれば大丈夫です。信頼関係があれば、成長するにつれ、親がなぜ自分に注意をするのか、理由がちゃんとわかってきます」。
みんなはどうやって伝えているの?先輩ママのケース別「ダメ
みんなはどんな風に赤ちゃんに「ダメ」を伝えているのでしょうか?口コミサイト「ウィメンズパーク」の投稿から3つの実例を紹介します。参考にしてみてくださいね。
電車で大泣き
あやし方もいろいろあるとは思いますが、私は外出中ならまわりに迷惑をかけないことを最優先項目として考えます。スマホで撮った写真や動画を見せたり、YouTubeでアンパンマンやトーマスを見せたりしてます。家や子ども歓迎の外出先(支援センターとか)ではスマホはいっさい触らせません。たまにしか触らせないから食いつくこともあり、何かあればこれで大抵は乗り切れます。あとは月並みですがお菓子やジュースですかね。
食事中にウロウロ
ある程度の大人の言葉は一才あたりから理解できてました。わが家では一才未満から始めてましたが、まず食べている間に遊びだしたり歩き回ったりした時点で食事は終了。おなかがすいても次の食事まではいっさい与えませんでした。徐々に理解できていきましたよ。食事を最後まで食べずに歩きだしたり遊んだらなくなってしまうことを。
駐車場や道路ではしゃぐ
私はよく子どもたちに怒ってます。車は危ない。運転席からは小さいあんたたちは見えない。あんたたちも車が動き出すことに気づいていない、と。怒りたくないです。でも、守らないといけないから怒ってます。手つなぎを嫌がるなら痛いくらいに腕をつかむこともあります。大切なかわいい命だからこそ、守るために怒らないといけない時もあります。
0才代からでも、将来のしつけのためにさまざまなことができることがわかっていただけましたか?しつけ、というと親の義務、と責任を感じてしまうこともありますが、愛情がベースになっていることが大切、ということを忘れないでいきたいですね。(文/ひよこクラブ編集部、イラスト/本田佳世)
■監修/塩﨑尚美先生
(日本女子大学人間社会学部心理学科・教授)
専門は乳幼児期からの親子関係。臨床心理士、公認心理師でもあり、育児の悩みや思春期の子どもを持つ親のカウンセリングも行っています。
※このエピソードは口コミサイト「ウイメンズパーク」の投稿からの抜粋です
■参考/「ひよこクラブ」2018年11月号「0才代の赤ちゃんへのダメの伝え方」