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おたふくで、子ども&親のムンプス難聴が増加、回復は見込めず。ワクチンは2回接種を

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少年の耳に彼の手を握って
zdravinjo/gettyimages

おたふくかぜ(流行性耳下腺(じかせん)炎、ムンプス)の合併症である「ムンプス難聴」を知っていますか?日本耳鼻咽喉(いんこう)科学会が、おたふくかぜ流行時に発症したムンプス難聴症例の全国調査を行ったところ、幼児・学童期と子育て世代の発症が飛び抜けて多いことがわかりました。たまひよONLINEでは子育て中のママ・パパには、無視できない結果と考え、この調査を担当した、国立成育医療センター耳鼻咽喉科診療部長の守本倫子先生に、ムンプス難聴発症の実態について聞きました。

ムンプス難聴は急激に悪化し、回復はほぼ見込めない難聴

まず、ムンプス難聴とはどんな難聴なのかを知っておきましょう。

おたふくかぜに自然感染した際、原因ウイルスのムンプスウイルスが内耳まで侵入し、内耳に激しい炎症を起こして発症します。急激に高度難聴(会話レベルの音が聞き取れない難聴)を起こすのが特徴で、治療効果は低く、回復はほぼ望めない難聴です。

言葉が遅れたり、学生生活で苦労することに…

ムンプス難聴で片方の耳だけ聞こえなくなってしまっても、子どもは自覚しにくく、訴えがほとんどありません。そのため、周囲の大人が気づかずに発見が遅れ、小学校の就学前健診で指摘されることが多いそう。

「片耳は正常に聞こえるのなら、生活に支障はないだろうと思われがちですが、言葉を獲得している途中でムンプス難聴になると、言葉の発達が遅れやすくなります」(守本先生)

また、幼少期にムンプス難聴になった中高生に「どんな場面で困るか」を聞いてみると

・集団での会話が厳しいので、「1人でいるのが好きらしい」と思われがち
・声をかけられたとき、どこから声がかかったのかわからず「無視した」と言われる
・休み時間、教室の移動中、課外授業など雑音が多い場面では、大切な話を聞き取れない

といったことが挙げられ、学生生活で苦労していることがうかがわれました。

2015~2016年に発症したムンプス難聴を全国的に調査

(作成/日本耳鼻咽喉科学会 図版提供/守本倫子先生)

ムンプス難聴は、子どもの一生を左右する怖い病気であることをご理解いただけだと思います。しかしこれまで、おたふくかぜの流行時期にどの程度ムンプス難聴が発症するのか、きちんとした調査はされていませんでした。
そこで、守本先生をはじめとする日本耳鼻咽喉科学会の医師が、「2015~2016年のムンプス流行時に発症したムンプス難聴症例の全国調査」を実施したのです。

「全国の耳鼻咽喉科5565施設にアンケート調査を行い、3906施設から回答を得た結果、少なくとも359人がムンプス難聴を発症していました。そのうち詳細が明らかな335人について検討したところ、発症年齢は、3、4才~小学生と、30才代の子育て世代の発症が顕著に多いことがわかりました」(守本先生)。

子どもだけでなく子育て世代にも多いのは、おたふくかぜになった子どもと一緒に暮らすママ・パパが、二次感染を起こすからです。

「ムンプス難聴になった人のうち、一側(いっそく)難聴(片方の耳だけの難聴)は320人(95.5%)、両側(りょうそく)難聴(両耳の難聴)は15人(4.5%)でした。一側難聴では290人(91%)が高度(会話レベルの音が聞き取れない難聴)以上の難聴で、両側難聴のうちの12人(80%)は、症状が軽いほうの耳でも高度以上の難聴がありました」(守本先生)

初診時と最終聴力の経過を追えた203人中55人は、経過中に聴力が悪化し、そのうち52人(95%)は重度難聴(耳元で話されても聞き取れない)になっていたとか。反対に改善が認められたのは11人(5.0%)だったそうです。
ムンプス難聴は急激に高度難聴を起こし、経過中に治療を行ったにもかかわらず聴力が悪化していくことが、これらの結果からわかります。

ムンプス難聴を予防する唯一の方法は、ワクチン接種!

「おたふくかぜはかかったほうが免疫がつきやすいから、ワクチン接種を受けるより感染した子からうつされたほうがいい」といった情報が、インターネットなどで見られることがあります。さらに、おたふくかぜワクチンは任意接種なため、現在の接種率は4割程度と低くなっています。
「これはとても危険な状況」だと守本先生は警鐘を鳴らします。

「おたふくかぜに自然感染すると、感染した本人だけでなく、二次感染によって家族もムンプス難聴のリスクを負うことになります。
上の子が幼稚園でおたふくかぜに感染した家庭で、ママが二次感染し、さらに0才の下の子も感染し、下の子は0才でムンプス難聴になった例もあります。
ムンプス難聴からわが子と自分自身を守るには、おたふくかぜワクチンを接種して、家庭内におたふくかぜを持ち込まないようにするのがいちばんなのです」(守本先生)

ワクチン接種を受けていてもおたふくかぜに感染することがありますが、症状が軽く済むので、ムンプス難聴を合併するリスクをかなり減らせるといいます。

「おたふくかぜは、とくに、就園・就学前後の子どもの間で流行します。そのため日本小児科学会では、おたふくかぜワクチンは1才と就学前の2回の接種を奨励しています。1才以上のお子さんがワクチン接種を受けていない場合は、できるだけ早く受けるようにしてださい」(守本先生)

ムンプス難聴は発症すると回復する見込みが極めて低い難聴です。「あのときワクチンを接種させていたら、うちの子がムンプス難聴になるのを防げたのに…」と後悔することにならないよう、接種できる時期になったら、おたふくかぜワクチンをしっかり受けることを検討しましょう。(取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部)

■監修/守本倫子先生
(国立成育医療センター耳鼻咽喉科診療部長)
新潟大学医学部卒業。医学博士。日本耳鼻咽喉科専門医、日本気道食道科専門医。臨床遺伝専門医。専門分野は小児耳鼻咽喉科、小児喉頭疾患、小児難聴。

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