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専業ママの再就職「15時退社希望でも、16時退社の求人しかない」場合、あなたはどうしますか?

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会議室で実業家のグループ。
metamorworks/gettyimages

一度、妊娠や子育てなどを理由に仕事を辞めたけど、やっぱり働きたいーー。取材をしていて、子どもが新しいフェーズになる時に再就職を望むママが多く、でもいろいろと躊躇していることに気づきます。
ママたちは何に引っかかっているのでしょうか。そして、今後の仕事についてどう考えればいいのでしょうか。
ママたちの声とともに、女性の働き方にくわしい相模女子大学客員教授、白河桃子さんのアドバイスを紹介します。

専業ママの「再就職」への不安

子どもの小学校入学や幼稚園入園は、結婚や出産を機に仕事を辞めた人にとって再就職を考えるタイミングでもありますね。
口コミサイト「ウィメンズパーク」にも、再就職についての悩みが寄せられています。

「子どもの急病や行事に対応しながら働けるでしょうか…」

「現在、年長と年少の子どもがいます。もともと下の子の幼稚園が決まったら、働こうと思っていました。
でも実際には家事と子どもに追われて余裕がなく、そんな状況で仕事を始めたら、イライラした毎日にならないか心配です。
また、近くには親族がいないので、行事や子どもの急病などでのお迎えの要請に対応できるか不安です。
働けば家計も潤うし…」

再就職を希望するママはブランクに加え、生活スタイルがガラリと変わるということもあり、様々な不安がありそうです。

女性の働き方にくわしく、国の「働き方改革実現会議」有識者議員でもある白河桃子さんに、専業ママの再就職についてアドバイスをもらいました。

夫の年収を+100万円にするのはきつくても2馬力なら可能

「世帯年収を増やすためにも、共働きを選ぶのはいい選択です。
夫の年収を年100万円増やすことはなかなか簡単ではありませんが、妻が働けば+100万円、+150万円を見込めます。
特に今の時代、先行きが不透明で、1馬力では何かが起こった時に対処ができません。もしもの時のためにも、2馬力(共働き)での生活を考えることはとても重要です。
これまで専業主婦だった人が仕事を始めるということで、手放すものもあるでしょう。
今までは、育児・家事の主な担当者として、自分の好きなやり方でやってきたことを、2人でやるわけですから。でもそこは、自分のやり方を押しつけないようにしましょう。うまく分担している夫婦は、やり方を相手に任せています。

また再就職をする前に、一度、家の中のタスクを洗い出して、『誰が何をやるのか』『やめてもいいことはないか』を考えましょう。

専業主婦時代の育児・家事のクオリティを維持しながら働くことはまず難しいものです。自分で維持できないこと、手放すことをちゃんと納得してからスタートをきりましょう」(白河桃子さん)

職場探しで大事なのは「自分の希望条件」をきちんと“考える”こと

働き始めようと考えた専業主婦がまず困るのが、職場探し。自分の希望条件に合う職場がなかなか見つけられない、という声が多くあります。
「仕事を探すときは、自分の譲れないところをはっきりさせることが重要です。
働く時間なのか、場所なのか、お給料なのか。女性は往々にして、お給料よりも時間を優先しがちです。そうすると現場での労働集約的な仕事か、誰にもできる仕事になりがちです。非正規で、キャリアアップが見込めない仕事が多い。それでいいのか、まず“考えて”ください。
たとえば子どもの帰宅時刻の都合で『15時までに帰れる仕事』を探していて、なかなか見つからない中、好条件の『16時までの仕事』があったとします。そこをどうするかですね。たった1時間の差で、仕事をあきらめるのはもったいないと私は思います」(白河桃子さん)

ここであきらめないために、白河さんは「自分の時間の使い方」について“考える”ことを勧めています。

「時間の調整は、ひとりで考えてもうまくいきません。でも家族で考えれば、調整できることもあります。
たとえば夫がリモートワークのできる職場ならば、『夫が早く退社して子どものお迎えに行き、妻が帰宅するまで家のことを担当する。妻が仕事から帰宅したら、テレワークで仕事を再開し、妻にバトンタッチする』といった方法もとれるかもしれません。
『上の子が大きくなり、下の子を任せられるようになったので、時間の調整ができて再就職できた』という人もいます。

時間は自分で作るものです。でもそのためには、家族の協力が必須です。ひとりでどうにかしようと思わず、まず家族に相談して、方法がないか一緒に考えてみましょう。
隙間時間や、子どもの帰宅時間にあわせた仕事探しをやめると、賃金の高い仕事に就ける確率があがると思いますよ」(白河桃子さん)

また、ブランクのある人は、『プロボノ』をやるのもオススメだそう。

「働くコミュニティに入らないと、勘も戻らないし、仕事のアンテナが立ちません。
すぐに働くのが不安だという人は、プロボノ(自分のスキルをボランティアに役立てる)をやってはどうでしょうか。とにかく社会に出て、社会とつながることが仕事を見つける近道です。時間をつくる練習にもなりますし、決まった時間に家を空けることは、仕事を始めてからの生活について考えるきっかけになるかもしれません。お給料につながらなくても、その後、履歴書に書くこともできますし、その経験は自分の武器にもなります」(白河桃子さん)

働き方改革はママの追い風にもなる

妊娠中~育児中の女性に「働きやすい職場・働きづらい職場」を聞いたところ、次のような声がありました。(※2019年12月実施、インターネット調査、n=305 )

【働きやすい職場】
「始業・終業時刻が柔軟な職場。例えば、早出して仕事をした日は早く帰れたり、なにかしらの理由で遅れたら、その分、勤務時間をずらして調整できたりするといい」

「私は短時間勤務をしています。同僚にしわ寄せがいってしまうこともあり、申し訳なく感じている毎日です。フルタイムは厳しくても働きたい人、定年退職したけどまだ働きたい人などを雇用して、ペアで仕事ができるような環境があると働きやすいと思います」

【働きづらい職場】
「昔ながらの考えがある職場。上司が子育てをしていた頃は制度も整っていなかったので、大変な思いをされていたのでしょうが、今は制度も変わっています。『私のときはこうだったから、あなたもそうしなさい』と言われるのがつらいです。制度を変えた意味がないと思います」

「子どもの急な病気などで突然休むことに対して、”あからさまに”嫌な顔をする職場。もちろん申し訳ない気持ちがありますし、日頃から急な休みを想定して準備をするようにしていますが、小さな子どもがいる以上、こればっかりは……。働きづらいです」

アンケート結果をピックアップして紹介しましたが、働きやすい職場と働きづらい職場は表裏一体のようです。その他の意見も、就業しているか否かにかかわらず「子育てに理解がある職場は働きやすい」「子どもの都合による休みがとりづらい環境は働きづらい」という内容がほとんどでした。


働く環境は日々変わりつつあります。女性の社会での活躍は求められていますし、そこにママたちのチャンスはあります。

「これまでの働き方を変えて、その先にもっと繁栄する会社になり、社員が幸せになるような会社を目指すのが働き方改革です。
まだまだ働き方改革はまだ途中。企業も、昭和の古い型を総入れ替えするぐらいのことをしないと働き方改革は成功しません。表面上の制度をつくるだけのような、働き方改革自体が目的になっている会社は伸びません。
でも、リモートワークやフレックス制度を採用している会社が増えていたりと企業も変化しています。こうした環境の整備こそ、再就職を目指すママたちには追い風です」(白河桃子さん)

制度を作っても使う人がいないという話も聞きますが、それもまた課題のひとつです。不必要な制度が増えただけなのか、誰も使わないので使いづらいだけなのか。必要な制度であるのなら、使わないと無意味だったと思われてしまいます。必要な制度は実際にみんなが使うようになれば、子育て世代だけでなく、働くすべての人の働きやすさにつながるはずです。
再就職を目指すママへのエールとともに、実際に使われることを考えた制度が整えられていくことに期待します。(文・橋本真理子)

白河桃子さんプロフィール
ジャーナリスト、相模女子大学客員教授。少子化、働き方改革、女性活躍、ワークライフバランス、ダイバーシティなどをテーマに執筆講演活動等を行う 。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員、内閣官房「一億総活躍国民会議」民間議員、内閣府男女局「男女共同参画会議 重点方針専門調査会」委員などを務める。

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