【専業ママの再就職】履歴書・職務経歴書には何をどう書けばいい?
結婚や出産などで一度仕事を辞めたママが再就職を考えたときの最初のハードルは、履歴書や職務経歴書の作成かもしれません。
今回は、知っておくと得する“再就職ママならではの履歴書・職務経歴書の書き方”をキャリアコンサルタントの上田晶美さんに教えてもらいます。
履歴書に不利なことを書いてはダメ
よほどの大企業でないかぎり、採用担当者は新卒採用も中途採用も同じ人がなることが多いそう。書類審査から面接へ辿り着くためには、様々な履歴書の中から「この人に会ってみたい」と思わせる必要があるでしょう。
そのカギは、「採用担当者の心に刺さる何かを伝えること」だと上田さんは説明します。
「履歴書は市販のものでもいいですし、ハローワークのサイトからダウンロードしたものでもいいです。履歴書作成で特にお伝えしたいのは、職歴と志望動機の書き方です」
「履歴書」と一緒に「職務経歴書」を送るケースがほとんどですが、採用担当者がまず見るのは履歴書だそう。この段階で不採用と判断されてしまうような事態は避けたいですね。
「氏名や住所などの基本情報とともに、職歴も嘘偽りのない内容を書くのがルールですが、自分に不利になることをわざわざ書く必要はありません。
たとえば、退職についても『出産を機に退職』と書かずに、『一身上の都合により退職』と書きましょう」
では、子どもがいることはどこに書けばいいのでしょうか。
「履歴書にわざわざ書く必要はありません。書類はあくまでも自分のスペックを見てもらうものなので、自分のできることややりたいことをアピールしてください。
新卒の志望動機では、よく『志望する企業の理念に賛同する』とか、メーカーの場合、『御社の商品が好きで〜』などと指導しているのを見かけますが、新卒の志望動機とママの再就職の志望動機はあきらかに違うものです。
なぜなら中途採用の場合、企業側はパズルの中の足りないピースを探しており、そのピースを補ってくれることを望んでいます。そのため、『私なら、〇〇の経験があるので、△△として貢献することができます』というようなことを伝えるべきなのです。新卒のようにふわふわとした実態のない志望動機を書いてはいけません。
先日、履歴書の添削をした際に、あるママから『そんなに強い口調で自分の実績を書いて、出過ぎた人に思われませんか』と質問されました。
でも出過ぎた人でいいんです。もしろ、出過ぎた人であるべきなんです。
主婦感覚だと、周りからはみ出ないことが美徳という場合も多いと思います。ですが、仕事では『私はこれとこれとこれができます』ということをアピールしないと、採用担当の心には届かないのです」
職務経歴書では「自分なら何ができるか」をしっかりとアピール
次に、職務経歴書について。職務経歴書とは、自分にはこんな実務能力や長所、武器などがあるとアピールするもの。でも履歴書と違って、定まった書式がないので、作る人の個性や工夫で差がつきそうです。
再就職ママの職務経歴書は、ほかの人とどんな点を変えたらいいのでしょうか。
「まず、長くても短くてもダメです。熱意を伝えるために長々と書く人もいますが、A4サイズ2枚、またはA3見開きで1枚が目安です。市販の履歴書にも職務経歴書がついています。また、オリジナルで作ってもいいですし、ハローワークのサイトからダウンロードするのもおすすめです。
仕事の実績がたくさんある人は書きやすいでしょう。ただ、長々と記載すると読みにくいし、焦点がどこかわかりにくくなりがちです。採用担当が見たときに、アピールポイントがどこかわかりやすい表現やレイアウトにするといいですね。 アピールポイントを分類して箇条書きにしたり、マーカーで目立たせたり、番号をふったりしてみるとわかりやすいと思います。記載スタイルは、時系列でも、職務ごとにまとめても、かまいません。
逆に、職務経歴書を2枚も書くことがないという方の相談もよく受けます。職歴が短いとそうなるかもしれませんね。けれども、そういう人こそ、職務経歴書でアピールをする必要があります。
職務経歴書は『自分が何をできるか』『どんな武器があるか』を書くものなので、仕事以外のことを書いてはいけないわけではないのです。
だから、キャリアブランク中に地域のボランティアをしたとか、資格を取ったとか、自治体などの再就職支援講座や大学による女性向け再就職講座を受けたなど、自分はどんな経験をして、どんな能力を身につけたかなどを書くといいでしょう。
ただし、小中学校のPTA活動については触れないほうがいいと私は思います。PTA活動に対しては、まだ偏見が多く、『集まってお茶を飲んでるだけじゃないか』などと考える人が少なくないのが実情です」
これらの注意点をクリアすれば、採用担当にアピールできる履歴書と職務経歴書ができそうですね。
履歴書の写真は満面の笑みで
あとは誤字脱字がないか、文体が統一されているかなどをチェックしたら仕上げです。
「最後に、写真にも気を配りましょう。ママたちが新卒で就職したときはまじめな表情で写真を撮っていたのではないでしょうか。でも今は笑顔の写真が主流となっています。歯が見えるくらい笑って、姿勢よく撮りましょう。しかめっ面をしているよりも、採用担当の印象がグッとあがります。
立派な写真店などで撮る必要はありませんが、ボックス型の証明写真機の中でも数百円高い、肌色補正や美肌加工をしてくれるところを利用するといいですね」
写真は履歴書の中でもパッと目につくだけに、採用担当から好印象を与えるものにしたいですね。いい姿勢と笑顔で、明るく前向きな印象をアピールしましょう。
新卒の就活知識そのままに履歴書や職務経歴書を作っていては、再就職戦線は突破できないということのようです。
こうした書類準備を通じて自分と向き合い、就活をぜひ成功させてください。
上田晶美さん
株式会社ハナマルキャリアコンサルタント総合研究所代表。財団法人女性労働協会理事。日本初のキャリアコンサルタントとして、1993年から就職、転職、再就職など多くの女性の仕事の相談にのってきた。現在は、大妻女子大学、日本女子大学の非常勤講師を務めながら、全国の大学や自治体で年間に100講演。また、自身のサイトやYouTube#ハナマルチャンネルで面接指導などを行う。著書21冊。日本経済新聞夕刊に「就活のリアル」を連載中。http://hanamaru-souken.com
(橋本真理子/bizmom編集部)
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