「ママ、一個怒ってください」カワイイ!けどドキッとする、子どものおもしろ迷言集
今回のテーマは「子どもの言い間違い」です。「ドキッ」とすることもあるけれど、「クスリ」と笑ってしまうような子どものおもしろ迷言を、口コミサイト「ウィメンズパーク」に寄せられた投稿からピックアップしました。 言葉の発達に詳しい青山学院女子短期大学子ども学科教授、菅野幸恵先生にもお話を聞きましたので、ぜひお子さんとのコミュニケーションの参考にしてみてください。
言い間違い? それとも… うちの子のおもしろ迷言
言い間違いや勘違い、それとも親の聞き間違い?とカワイらしい子どもたちの迷言を集めました。
お父さんは?「いらない」
「義母から電話があり、息子が出た時のこと。義母『お父さんいる?』息子『いらない』」
一個怒ってください
「子どもが5歳の時に何かで叱ろうとして怒っていたら、『ママ!たくさんのお話はわかりませんから一個怒ってください。』と、言われました。言われた瞬間、笑いが込み上げて怒れませんでした」
ママを独り占めしたくなった時のひと言
「下の子が生まれてから数日後、あれやこれやと思い描いていたお世話ができて満足の娘。『ねぇお母さん◯◯(妹の名前)っていつ帰るの?』だんだんお母さんを独り占めできなくて寂しくなったんでしょうが、発想が面白かったです。どこに帰ると思ったのでしょう(笑)」
大きくなったら、みかんになる?
「『大きくなったら何になるの?』と当時2歳の息子に聞くと、「みかんーみきゃんになるのぉ~」とニコニコ。私が『みかん!? みかんだと食べられてしまうよ』と言うと、息子『大丈夫なの~。甘いんだよーあー早くみきゃんになりたいなー』と。みかんになりたいじゃなくて、みかんを食べたいという意味だったのかな?」
迷言も言い間違いも言葉を獲得する大事な過程
言い間違いや勘違いは子どものためになおした方がいいのでしょうか。発達から見た子どもの言い間違いについて、菅野幸恵先生にアドバイスをもらいました。
「子どものことばにハッとさせられること、たくさんありますよね。実は、子どものことばは鏡のようなもので、子どもが今どのような発達段階にいるのかだけではなく、子どもがどのようなことばの環境にいるのかもあらわします。
今回『みかんになりたい』というお子さんがいましたが、ある時期子どもは『好きなもの』になりたがります。みかんになりたいくらいみかんが好きなのです。
また、普段自分が家族に言っていることを子どもが言うことありませんか? そのような時、子どものことばに自らの姿を重ね、普段の言動を見直すきっかけにもなるのではと思います。
さて、名言(迷言)?のなかでも多くみられる『言い間違い』。大人にとっては『間違い』のように思えても子どもは本気です。子どもは周りで話されていることばをそのままコピーして使うのではなく、手持ちの言葉を自分なりの使い方をして表現します。
『〇〇さんいる?』と聞かれて『いらない』と答えるのは子どもにとっては正解です。その言葉の使い方が大人と違うので大人は『間違い』と思ってしまいますが、自分なりの使い方をしていくことが子どもにとってことばを獲得していくプロセスなのです。つい『間違え』を正したくなるかもしれませんが、自分で気づいていくことが大事なので、正解を教える必要はありません。
そのため、子どものことばを大人がどのように受け止めるかは重要です。子どものことばによって大人の怒りが収まったり、その場が和んだりするのはよしとしても、子どもは本気なのに大笑いされたり、ことばを正されたりするといい気持ちはしません。
大人の価値観で判断しないで、子どもの世界観を尊重していただけたらと思います。例えばみかんのお子さんの場合は、『みかんになんてなれないよ』ではなく、『本当にみかんが好きなんだねー』と返せば、子どもはわかってもらえたと思うはずです。子どもから見える世界を一緒に楽しめたらいいですね」(菅野幸恵先生)
子どもの話すカワイイ迷言や言い間違いも成長している証拠なのですね。間違いとただすよりも、子どもが言葉を自分なりに獲得することを見守ることが大切なようです。(文・酒井範子)
菅野幸恵さん
青山学院女子短期大学子ども学科教授。専門は、発達心理学で研究テーマは、乳幼児期の親子関係、地域コミュニティでの子育てについて。著書に『あたりまえの親子関係に気づくエピソード65』(新曜社)がある。