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誰かに「おめでとう!」と言いたくなる絵本3選

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本と桜
kaorinne/gettyimages

入園や入学、新生活など、春はお祝いごとが多い季節。「おめでとう」の嬉しい気持ちを絵本でも感じてみませんか?お祝いのプレゼントとしてもおすすめの、誰かにおもわず「おめでとう!」と言いたくなるような絵本を、えほん教室主宰の中川たかこさんに聞きました。

中川たかこ
なかがわ創作えほん教室主宰
メリーゴーランド増田喜昭氏に師事。
個人の創作えほん教室主宰19年目。高校、中学、専門学校などでえほんの読み解き方、えほんの創り方の講師として活動中。

おめでとうの瞬間は、日常の中にたくさんあった!

おめでとう!と言うのも言われるのもとても嬉しいものですね。どんな時におめでとう!と言いますか?入学式やお誕生日はもちろんですが、あたりまえの日々の中にも「おめでとう」はたくさんあるのです。

ぴったりの役割が見つかったよ、おめでとう!

まめざらちゃん (MOEのえほん)

デパートからダダさんのおうちにやってきた、お花のかたちのかわいいまめざらちゃん。他のお皿たちは、ラーメンを入れてもらったり、ナポリタンスパゲッティを載せてもらったり、とっても美味しそうで嬉しそう。それを見ていたまめざらちゃんは「わたしのでばんは いつかしら。たのしみ!」とわくわくしています。

そして、ついにまめざらちゃんの出番が来ました。テーブルに並ぶお寿司を見て、お寿司をのせてもらえると思っていたまめざらちゃんですが…なんとのせられたのは、お醤油とわさび!
「か、か、からーい!!」
まめざらちゃんはがっかりします。それからも何度も出番はやってくるのですが、ソースとからし、焼き肉のたれやラー油など辛い調味料ばかりで、ちっとも嬉しいお料理を載せてもらえません。

まめざらちゃんの気持ちがわかりますか?期待しても、思い通りにならないくやしさ、悲しさ…。
でもわたしはまめざらちゃんは可哀想だとは思いませんでした。
ダダさんにとって、お醤油もソースもラー油も、美味しくお料理を食べるために必要なんです。まめざらちゃんはそのおともに選ばれたのですから、可哀想ではなく、むしろ彼女しかできないたいせつな役割だったのではないでしょうか。

そんなある日、ダダさんのおうちにお嫁さんがやってきました!お嫁さんはまめざらちゃんを手に取って「まあ!ぴったりなおさらがあった」と喜びます。さて、なにを入れてもらったと思いますか?
それはとても嬉しくて、美味しいものでした。まめざらちゃんだからこそ、できたこと。
ぜひ、絵本をめくって確かめてみてくださいね。

テーブルの上では、他のお皿たちもごちそうをいっぱいのせて一緒に大活躍。まめざらちゃんを見て、お皿の仲間たちもみんな「よかったね、おめでとう!」というきもちだったのではないでしょうか。
自分自身のきもちとおかれた立場が一致したとき、初めてそれは喜びになるのだと思います。

奥付のページには、これまた可愛らしいまめざらちゃんの大喜びの姿が描かれています。
他にも思わず顔を近づけてしまうほどリアルで美味しそうな食事が描かれていますので、それも必見ですよ。

なんでもない日々が、おめでとうの連続なんです

おめでとうおひさま

表紙のにぎやかな海の様子から一転し、タイトルページは真っ黒。次をめくっても藍色と黒のもやがかかった場面が続きます。
さらに次をめくると、水平線と空に光が射し、そこが海だとわかります。オレンジとピンク色が海に滲んだ朝焼けが描かれています。あざやかな強い色彩は、前の2場面と対照的で鮮やかさが引き立っています。

そしてさらにページを進めると、おひさまがぽん、とかおを出します。
海のなかまたちに「おめでとう みんな」というと、魚やマンタ、いか、たこ、たくさんのなかまたちが「おめでとうおひさま」と返事をします。
そしてまた、ページは暗闇に戻るのです。
こんどは山からおひさまが登場し、「おめでとうみんな」と言うと、鹿やおおかみ、さる、くまなどたくさんの動物たちが「おめでとうおひさま」と返事をします。
明るく照らされた朝の場面は、動物や魚たちの笑顔が楽しげで、今にも歌い出しそうです。

この絵本のおひさまは「あたらしいとしになったよ。ことしみんなは どうしたい?」と山と海のなかまたちに問うのですが、ここではじめて新年を迎えたのだとわかりました。
いきものたちはくちぐちにこう言います。
「なるべく けんかしない」「なるべく きらいっていわない」「なるべく おこらない」
こんなふうに目標のまえに「なるべく」がつくのでくすっと笑えますね。
この目標はささやかに聞こえますが、じつは難易度は高いのではないでしょうか。日常生活では腹が立つこともありますし、けんかすることだってあります。目標に「なるべく」がついていることで、絶対してはいけないというプレッシャーから解放され、むしろ心が楽になるような気がしませんか?
わたしは、これはとても優しい約束だなあと思いました。

そして、おひさまやみんなの「おめでとう」が新年だけを現しているようには思えなくて、朝が来たこと、みんなに会えたこと、ぜんぶにおめでとうと言っているような気がするのです。
あたりまえに来る朝も、あたりまえに会えるあの人も、あたりまえではなく毎日が新しい出会いで、毎日がおめでとうって思えたら…「なるべく」怒ることなく「なるべく」喧嘩もせずに済むのではないでしょうか。

特別な9歳の誕生日

バンブルアーディ

「かいじゅうたちのいるところ」でも知られる絵本作家モーリス・センダックの生前最後の作品です。自身で作・絵を手掛けたのは30年ぶりというこのお話は、なんと両親から一度も誕生日を祝ってもらったことがないぶたの男の子、バンブルが主人公。

両親は、バンブルが8歳の誕生日に豚肉にされてしまった…そこで、優しいアデリーンおばさんに引き取られました。
「これって最高!」という言葉が添えられた絵には、おばさんからもらったカウボーイの衣装を着て、9歳の誕生日に鏡の前でポーズを決めるバンブル。

9歳はものがたりの世界への橋を渡れる最後の年齢と言われています。
その年齢の子どもの誕生日を描き、自身の生涯を閉じたのだと想うと、子どもの本に情熱を注いできた彼の生き様に胸が熱くなりますし、ここに登場するまるで百鬼夜行のような仮装行列は、センダックが産み出したキャラクターたちが彼自身を見送っているようにも思えます。

アデリーンおばさんに内緒で友達をたくさん呼び集めたバンブル。部屋の中でやりたい放題、暴れ放題です。
バンブルの喜びと興奮が最高潮に達した時…アデリーンおばさんの帰宅です!
部屋はめちゃくちゃに荒れていますので、おばさんは見るも恐ろしいほどに激怒し、集まった友人たちは追い返されてしまいます。

では、バンブルは、また一人ぼっちになってしまうのでしょうか?
いいえ、おばさんはバンブルを抱きしめて、大好きだと言ってくれるのです。部屋をめちゃくちゃにしたのはいけないこと、でもバンブルは愛おしい子に変わりはないと言うのです。

このおばさんの愛をラストシーンに見ることで、バンブルの未来は明るいのだと安心します。お誕生日おめでとう、バンブルアーディ!
愛されておめでとう。

特別な日のおめでとう、なんでもない日のおめでとう。日常の中にたくさんのおめでとうがあります。おめでとうに気づくとき、それは誰かを思いやる気持ちに気づくときなのかもしれませんね。

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