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「コロナ禍」子どもの心のケアのためにしたいこと・専門家に聞く

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幸せな若い母は優しく彼女の腕に彼女の生まれたばかりの息子を保持しています。
※写真はイメージです
alexandr_1958/gettyimages

新型コロナウイルスの感染拡大で、日本中が不安で覆われています。子どもに不安やストレスを感じさせないために、ママ・パパができることは何でしょうか。ひよこクラブでは、乳幼児の心理や親子関係に詳しい、日本女子大学人間社会学部心理学科教授 の塩﨑尚美先生に聞きました。

子どもは、ママ・パパの表情や会話などから不安を感じ取る

感染拡大、外出自粛、マスクや消毒薬の不足など、新型コロナウイルスに関する話題は、不安になることばかりです。そういう世の中の流れを、子どもたちはどう感じているのでしょうか。

「0~2才ごろまでは、『コロナは怖い』という認識はありません。ただ、ママ・パパが抱いている不安や心配は敏感にキャッチするので、その影響で気持ちが不安定になることがあります。
3才以降になると、図書館や児童館などいつも通っていた施設が休館になったり、毎日会社に行っていたパパが家で仕事をしていたりして、『いつもと違う、何かがおかしい』と察知しますし、さらに、ママ・パパの表情や会話などから『コロナは怖いものらしい』と理解し、不安を感じるようになることがあります」(塩﨑先生)

子どもが不安やストレスを感じたときには、どんな行動が見られるの?

コロナに限らず、子どもが不安やストレスを感じたときに現れるサインがあります。

・夜泣き、眠りが浅くなる、
・ぐずる、機嫌が悪くなる
・食欲がなくなる
・ママ・パパから離れなくなる

これらは年齢に関係なく見られるサインです。

さらに、運動の能力が高まると、言葉で表現できない不安やいらだちを行動で表すようになるので、物を壊す、暴れる、たたくなど攻撃的な行動をとることも。きょうだいがいる場合は、きょうだいげんかが増えることもあります。

一方、普段からあまり気持ちを外に出さないタイプの子は、不安になると、余計に気持ちを抑え込む傾向にあるそう。

「普段あまり気持ちを外に出さないタイプの子は、とくに注意して子どもの様子を観察しましょう。おとなしく遊んでいるように見えても、楽しそうにしていなかったり、ぼお~としたりしているときは、不安やストレスをため込んでいる可能性があります」(塩﨑先生)

自分だけでなく、子どもも守らなければいけないママ・パパは、今の状況に大変な不安やストレスを感じていると思います。そのため、どうしても気持ちに余裕がなくなりがちですが、子どもの表情や行動に変化がないか。観察することを忘れないようにしましょう。

「ストレスがあるな…」と思ったら、親子で笑顔になれることをしよう!

わが子が不安になっているな、ストレスを抱えているなと感じたとき、ママ・パパはどうすればいいのでしょうか。
「『何をすれば、この子が笑顔になるのか』を考えること」だと塩﨑先生は言います。

スキンシップをする、ダンスをする、お絵かきをする、一緒に料理をするなど、なんでもいいそう。わが子が喜びそうなことをいろいろ探して、一緒に楽しむことが大切です。

「まず、ママ・パパが『子どもと濃密に過ごせるこの時間を、親子で楽しもう』と前向きになりましょう。子どもの心を明るくするいちばんの処方せんは、ママ・パパの笑顔です。親子で大きな声で笑い合えたら、子どもはもちろん、ママ・パパも元気がわいてきますよ」(塩﨑先生)

また、「生命の力」を感じることも、不安を解消するのにとても有効なんだとか。

「こんな時でも植物はすぐすくと育っていますよね。とくに今は植物が成長し、生命の息吹を感じる季節。窓を開けて外を見ながら、『あの木はお花がどんどん咲いていくね』『昨日より葉っぱの色が濃くなったね』など、ちょっとした変化を感じるだけで十分です。自然のエネルギーを受け取ると、気持ちが前向きになれるものです」(塩﨑先生)

この状況を、子どもの「生きる力」が育つ機会ととらえましょう

「子どもの心から不安を取り去るには、子どもを笑顔にすることが大切」と説明しましたが、「何もかも親が用意する必要はない」とも塩﨑先生は言います。
子どもが3才以降なら、「外に出られなくてたいくつだよね、何をしたら楽しくなると思う?一緒に考えてよ」と提案し、子ども自身に考えさせることも大切だからです。

「どうしたら、不自由なこの状況を楽しくできるかを、子ども自身が考えることで、子どもの想像力や思考力、困難を乗り越える力などが育ちます。それに、親から与えられたものよりも、自分で考えついたことや見つけたものは熱中できるので、集中力も高まります。
今の状況は、子どもの生きる力を育てる機会になると私は考えています。ママ・パパも明るい未来が来ることを信じて、子どもに寄り添ってくださいね」(塩﨑

監修/塩崎尚美先生 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

新型コロナウイルスとの戦いは長期戦だと考えられています。不安や心配は常につきまといますが、親子で思いきり笑える時間を作ることで、親子ともに気持ちを前向きにしたいもの。そして、子どもの「生きる力」が育つのを応援しましょう。


塩崎尚美先生(しおざきなおみ)
(日本女子大学人間社会学部心理学科 教授)
Profile
臨床心理士。専門は発達臨床心理学、乳幼児からの親子関係、子育て支援。一男一女のママでもあります。

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