休園・休校解除後の、子どもへの寄り添い方
新型コロナウイルス感染拡大防止のため園や学校の休園・休校が続いてきましたが、徐々に再開の動きが高まってきました。長期間家で過ごした子どもは、久しぶりの登園・登校を楽しみにする反面、再び始まる集団生活に不安や緊張もあるでしょう。この時期に親ができる子どもへの寄り添い方について子育てアドバイザーの長島ともこさんに紹介してもらいました。
休園・休校解除! その時の子どもの気持ちは?
卒園・入学・進級という、子どもたちにとって大切な節目の時期に、新型コロナウイルスが蔓延。感染拡大防止のため、突然園や学校が休園・休校となりました。
2〜3カ月に及ぶ休園・休校をへて、5月14日に39の県で緊急事態宣言が解除され徐々に登園・登校が始まっています。
「早く学校(園)に行ってお友達や先生に会いたい!」
「学校で、みんなで勉強したい!」など、園や学校の再開を待ち望んでいる子どもたちはワクワク感がつのっていることでしょう。
しかし、感染拡大防止のため分散登園・登校、短縮授業などからスタートすると予想されています。これまでと同じような園や学校生活に戻ることは、しばらくは難しいでしょう。
学校は長い休校期間をへて登校する子どもたちの様子に気を配りながらも、学習の遅れを取り戻そうと授業をどんどん進行させる可能性があります。そのペースに慣れない子もいるかもしれません。
また園・学校生活の再開にあたり、子どもの生活圏内でもマスク着用が日常になると考えられます。園や学校でせきが出た際に、周りの友達から「うつさないで!」などと言われて傷つくケースもなきにしもあらずです。
園や学校が始まり、友達や先生に会えてもこれまでにはなかった環境に、休園・休校の時とはまた違うとまどいや不安・孤独感を感じる子どもも少なくないでしょう。
園や学校に通い始める子どもへの寄り添い方
ここでは、園や学校に通い始める子どもへの寄り添い方について紹介します。
・子どもの不安やとまどいを認め、共感する
園・学校が始まってもお友達全員と遊べなかったり、お友達と近づいて話すと先生に注意されたりするかもしれません。
「いつになったらクラスのみんなが全員そろうの?」
「もっと遊びたかったのに・・」など、子どもは子どもなりに不安やとまどいを抱えています。まずはその気持ちに共感してあげましょう。その上で「学校に行けるようになったのはみんなが外出をがまんして、きちんと手を洗っていたからよ。よくがんばったよね。でも、コロナウイルスは、まだ完全になくなったわけではないのよ」など、子どもが分かりやすい言葉でていねいに言い聞かせましょう。
・学校生活になれるまでは、学習の遅れを責めない
休校明けは、自宅学習の取り組み方によって子どもごとに授業の理解度に差が生じる可能性があります。わが子が「宿題がよく分からない」などと言ってきても叱らず、分からない部分をじっくり聞いて教えてあげましょう。学びの遅れはきっと取り戻せるはずです。
・親も、不安を無理に隠さなくてOK
今は前代未聞の非常時です。私たち親のほうも、外出自粛によって働き方がテレワークに変わったり、業種によっては収入と向き合わなければいけないなど不安が多いもの。「大人だから」と子どもの前で無理に隠さず、「ママも不安になるときあるんだよねー」などと話してもOK。不安な気持ちを家族で共有することも大切だと思います。
・たくさんの人に支えられていることを伝える
子どもたちが安全な環境の中で学べるよう、園や学校の先生、学童指導員の人たちがいろいろ工夫してくれていること、お医者さんや看護師さんが一生懸命働いてくれていることを教えてあげましょう。
規則正しい生活を心がけ、生活リズムを整える
休園・休校中は毎日決まった時間に登園・登校する必要がないため、起床時刻・就寝時刻が定まらなかったのではないでしょうか。子どもの睡眠不足はイライラにつながりやすく、自分の思い通りにいかないと泣いたりぐずったりなど自制がきかなくなることもあります。
気持ちが不安定になりやすい時期だからこそ、決まった時間に就寝し決まった時間に起きることを習慣づけましょう。
これまでの長い休園・休校の期間に、親子体操をする・植物を育てる・無料アプリでプログラミングを学ぶ……など、親子でいっしょに自宅でできる新しいことを始めたという家庭も多いと思います。私の知り合いの家庭では、休校期間中にハムスターを飼い始めたらお子さんがお世話に夢中になり今でもかわいがっているそうです。
コロナ禍を機に親子で楽しんだことは、心身のリフレッシュやセルフコントロールにつながります。これからもできる範囲で続けてみてはいかがでしょうか。
園や学校が再開しても、これまでと同じように生活できるようになるには長い時間がかかると言われています。まずは環境が変わっても園・学校生活を子どもが楽しく過ごせるような関わり方や言葉かけを心がけたいですね。