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ウィズコロナ親のストレスと子どものストレス その受け止め方とは?【小児精神科医】

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下に敷設幼児少年を動揺
写真はイメージです
Melpomenem/gettyimages

新型コロナウイルスによって、ママやパパはもちろん子どもも、今までにない不安や不満などを感じていると思います。そんなウィズコロナのストレスはどう対処すればいいのでしょうか。臨床の現場で子育て中のママとパパに寄り添い、子どもを見守る活動を続けている、小児精神科医で、子どもの虐待防止センター理事の奥山眞紀子先生に聞きました。

「ニーズ」と合わないかかわりが、子どものストレスに

新型コロナウイルスによって、ママやパパは感染のリスク、雇用や経済の不安、育児と在宅勤務の両立など、コロナ前にはなかった多くのストレスを感じるようになりました。
しかし、新型コロナによるストレスは大人だけのものではなく、子どものストレスも問題になっています。
「子どもがストレスを感じるのは“ニーズ”を受け入れてもらえないとき」だと奥山先生は言います。

「子どもがニーズを受け入れてもらえないと感じるのは、気持ちが不安になっているときにママやパパに抱きしめてもらえない、反対に、思いきり体を動かして遊びたいときに抱きしめられて動きを制約されるなど、『今、ママやパパにこうしてほしい』という願いがかなえられないときです。
子どもの求めるものと、ママやパパのかかわり方が合致していないと、子どもはストレスを感じます。こういうケースがコロナ禍で増えているように思います」(奥山先生)

ママやパパは子どものためにやっているつもりなのに、それが子どものストレスになっていた…ということがあるんですね。それは、新型コロナによってママやパパが抱えるストレスが多くなったことと関係があるのでしょうか。

「関係していると思います。ママやパパがたくさんのストレスを抱え、心がストレスに支配されてしまうと、子どもが何を求めているかを推しはかる力が弱くなってしまいます。
それまでは意識せずに感じ取れていた子どもの気持ちを、キャッチできなくなってしまうんですね。
今までよりグズるようになった、あまり笑わなくなったなど、ストレスを感じたときの子どもの反応はさまざまですが、子どもの様子を見ていて『なんとなくいつもと違う』とママやパパが感じるときは、子どもがストレスを感じている可能性があります。そんなときは子どもの気持ちに寄り添うことを意識して、『この子は今、何を求めているのかな』と考えてみるようにしてみてください」(奥山先生)

「子どもの気持ちを推しはかる」というと難しい感じがしてしまいますが、不安そうな顔をしていたら「大丈夫よ」と言いながらギュッと抱きしめてあげる、外に出たくてそわそわしていたら「公園に行うか」と誘って外に出るなど、「子どもの行動や表情を見ていたら、自然と反応できること」だと奥山先生は言います。

親のストレスを解消するには「孤立しない」「人に話す」こと

子どもが日々を健やかに過ごすには、ママやパパがストレスをためないようにして、子どもの心の動きをうまくキャッチできるようにすることが大切なようです。
でも、ストレスは知らず知らずにたまってしまうものですね。とくに新型コロナの不安はなかなか消せるものではありません。
ママやパパが不安やストレスをためないようにするには、どのようなことに気をつければいいでしょうか。

「新型コロナの影響で生活は一変しましたが、すべてが悪いほうに変わったわけではないですよね。在宅勤務をすることで通勤に取られていた時間を別のことに使えるようになった、家族で過ごす時間が増えたことできずなが深まったなど、今の生活の『いいところ探し』をしてみましょう。コロナ前よりよくなっていることが、思っていたより見つかるかもしれません。『今の暮らしも実はそう悪くないかも』と感じられたら、コロナストレスが多少でも減らせるのではないでしょうか」(奥山先生)

その上でぜひ意識してほしいのは、「孤立しない」「人に話す」ことなのだとか。

「一人で考え込むと気持ちがどんどん内向きになってしまい、悪いほうへ悪いほうへと思考が流れていってしまいます。ママ友、きょうだい、ばあば・じいじなど、あなたの周囲にはたくさんの人がいますよね。だれかに不安な気持ちを聞いてもらいましょう。人の顔を見て話すと、肩から力がふっと抜けてラクになるはず。直接会うのが難しかったら、オンラインでもいいですよ。
知り合いには打ち明けられない…という場合は、電話で子育て相談ができる民間団体などに話を聞いてもらうのもおすすめです」(奥山先生))

児童相談所への通告は「助けが必要な人への橋渡し」だと思って

新型コロナの感染拡大が深刻化していた昨年の4~5月には、「子どもが泣いている」「夫婦げんか・親子げんかをしている」という通報が、児童相談所へ増えたそう。通報件数が増えたのは、在宅勤務によって近所の声や音に気づく人が増えたことも要因になっているようです。
児童相談所への通報が増えたことは、虐待防止という面でいいことと考えるべき、というのが奥山先生の意見です。

「自分の周囲に住む人に関心を向けるのは、いいことだと私は考えます。地域の誰かが気づくことで、早期に対処できるケースもあるからです。
『児童相談所に連絡するなんて密告しているみたいで気が引ける』と考える人がいるかもしれませんが、児童相談所への通告は『助けが必要な人がいるかもしれません。相談に乗ってあげてください』というお知らせであり、告発ではありません。近所に気になる家族がいるときは、児童相談所に連絡してほしいですね」(奥山先生)

本人は虐待しているつもりはないけれど、第三者から見たら虐待では?と感じるようなママが近くにいたら、どのような対応をするのがいいでしょうか。

「先ほど述べたように、ママを孤立させないことが重要ですから、その親子と一緒に遊ぶ場を設けたり、オンラインで会話したりして、そのママの気持ちが外に向かうようにしてあげられたらベストですね。そういったかかわりが難しい場合は、ぜひ児童相談所に相談してください。専門家のサポートを受けることで、ママと子ども、両者が健やかに生きる方法を見つけられるチャンスになるかもしれません」(奥山先生)

お話・監修/奥山眞紀子先生 取材・文/東裕美、ひよこクラブ編集部

新型コロナの収束が見えない中での子育ては、だれにとっても不安なもの。でも、今の生活の中にある「いいこと」を探すと、気持ちが前向きになれるかもしれません。そして、子どもの気持ちに寄り添い、親子で楽しく過ごせる方法を考えていきましょう。

奥山眞紀子先生(おくやままきこ)

Profile 
子どもの虐待防止センター理事。東京慈恵会医科大学卒業、同大学院博士課程修了。ボストンカレッジ小児思春期カウンセリング学修士号取得。独立行政法人国立成育医療研究センター・こころの診療部統括部長。専門分野は小児精神医学。

※子どもの虐待防止センターでは子育て・虐待防止の電話相談を行っています。
https://www.ccap.or.jp/for-parent

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