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ステイホーム後の今、子どもの権利を考えると、親子のちょうどいい関係が見えてくる?

母と子ぴったり
Martinan/gettyimages

「子どもの権利条約」って知っていますか?18歳未満の子どもの人権を守るために作られた国際条約です。「人権」や「権利」という言葉は、日常生活の中ではなかなか意識する機会はありませんよね。子どもと過ごす時間が長くなっているからこそ、子どもの権利について、そしてそれに基づいた親子の「ちょうどいい」関係を考えてみましょう。

相原 里紗
保育士・のあそびっこプロジェクト 主宰
早稲田大学国際教養学部卒。(株)オールアバウトを経て国家試験で保育士に。親子×のあそび×地域を軸とした「のあそびっこプロジェクト」他、親子向けイベントを多数企画・運営している。0歳、2歳の男子育児に奮闘中。

発効から30年「子どもの権利条約」って?

「子どもの権利条約」は1989年国際連合総会で満場一致で採択され、1990年に発行された国際条約です。第1次世界大戦、第二次世界対戦で多くの子ども達が家や家族を失い、医療・教育・文化に対するアクセスを奪われ続けてきたという辛い現実を教訓に、10年もの月日をかけて成立しました。
日本の批准は1994年、158番目です(2020年6月現在196カ国が批准しています)。

全54条の中には、生きる権利・育つ権利・守られる権利・参加する権利の4つが含まれ、子どもをただ保護される存在ではなく、社会を生きるパートナーとして尊重することが示されています。

日本で子どもの権利条約はどのように扱われている?

紛争地域や発展途上国と違い、日本では基本的な子どもの権利は守られているのでは?と思う人も多いかと思いますが、実は批准以降、5年に一度の報告では国連から改善勧告を受け続けています。

批准した国々には、実現するための法令を整備することが求められていますが、現在のところ日本には包括的な基本法が存在しません。2019年には、差別の禁止・子どもの意見の尊重・体罰・家庭環境を奪われた子ども・リプロダクティブヘルス及び精神保健、少年司法などに関しては緊急対応を求められています。

一方で、複数の自治体が、主体的に子どもの権利条約に基づいた条例等を制定しています。こども議会を設置したり、権利主体として明文化したりと、濃淡はあるものの「子どもにやさしいまちづくり」の実現に向けて動いている自治体もあります。

子どもの権利を考えると、親子のちょうどいい関係が見えてくる?

子どもの健やかな成長を保証する子どもの権利条約ですが、家庭の中では子どもの権利をどう考え、大切にすればいいのでしょうか。子どもにとって最小の社会単位である家庭で「子どもの権利」を大切にしながら生活することは、自立した市民を育てるだけでなく、家庭の一人一人が尊重された、親と子の「ちょうどいい」関係を作ることにもつながります。

「子どもの権利」について、子どもに伝えること

(C)相原 里紗

子どもの権利条約の中には「(国が)積極的に広く知らせること」も明記されています(第42条)が、なかなか日常生活の中で子どもの権利に触れる機会はないですよね。

まずは親が知って、子どもにも(大人にも)権利があるということを伝えることから始めませんか?「まだまだわからないから」と思うかもしれませんが、絵本や出版物、動画メディアなど、いろいろな形で情報があります。子どもの年齢にあった方法で、少しずつ伝えていきましょう。

大人も子どもも尊重し合うことが伝われば、家庭でのコミュニケーションが変わってくるはずです。

「子どもの最善の利益」を最優先に、一歩立ち止まって考えよう

条約の中で何度も述べられているのが「子どもの最善の利益」です。もちろん、国の法律や政策、学校教育、司法制度などで優先されるべき基本的な考え方ですが、家庭でもその考え方を活かしてみましょう。

何か子育てで迷うことがあったら「それが今の子どもにとって一番いいことなのか」「短期的な視点ではなく長期的な視点で子どもの成長にどのような影響を与えるのか」「子どもが子どもであるということを奪っていないか」など、子どもの最善の利益に立ち返ってみてください。

大前提は子ども自身を見つめること。それがちょうどいい関係を築くことにつながります。

子どもの意見を聞いて、それを生活に反映しよう

日本でも世界でも、子どもはずっと保護される対象として認識されてきました。しかし、子どもの権利条約の中で「自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する(第12条)」と示されているように、子どもを一人の権利主体としてみれば、子どもの意見を無視することはできません。

子どもの年齢に応じて、ほんの小さなことから…例えば夕飯のメニューや、どこでどうやって遊びたいかなど、子ども自身に関わることで子どもの意見を聞き、取り入れて、ときには実行のサポートをしてみてください。

その一つ一つが、子どもの自己肯定感を育み、社会の一員として自立するステップとなるのです。

社会に子どもの声を伝える意識をもつ

条約の中では、保護者は第一義的な責任を持つことと同時に、国がその責任を果たすためのあらゆるサポートをしなければならないとも明記されています。

今の社会が「子どもの最善の利益」を実現できる環境になっているのか、そうでないならばどうすれば子どもの思いや意見が反映されるのかなど、親が子どもの代弁者となって行政や社会に対して行動することは、子どもの権利を守るためにとても重要なこと。

具体的には、園・学校での人権侵害などへの適切な対応、自治体の議会の傍聴、パブリックコメントの提出、地域の活動への参加と意見表明などが挙げられます。
子ども自身が声をあげる機会があるのならば、それをサポートできるといいですね(もちろん、子どもが前向きなことが前提ですが!)。自治体には、子どもの声のための窓口を整備しているところもあります。

投票権を持たない子どもの声を届けることは、選挙の投票以外で親が子どもが住む世界を変える大きな一歩。子どもの政治参画への意識を促すことにもつながります。

子どもの権利を守ることは、豊かな子ども時代、そして未来を守ること

経済面では恵まれているように感じる日本の子どもですが、過度な競争社会や、遊ぶ空間・時間・仲間の減少、大人の要求によるストレスなどによる「子ども期の喪失」が問題になっています。

「権利」という言葉を聞くとわがままを助長するという意見もありますが、子どもの権利を守り、一人の人として接することは、責任をもって未来をつくる社会の一員を育てるためにとても重要です。

毎日の生活の中の「ちょうどいい」関係を探すためにも、家族で読んでみることから始めませんか?

参考文献:
国際協力NGOワールド・ビジョン・ジャパン 『子どもの権利条約《日本批准25周年》課題と私たちにできることとは?』

子どもの権利委員会 『日本の第4回第5回定期報告書に関する総括所見』

瀧口 優 『子どもの権利条約から見た日本の行政の子ども観』(白梅学園大学・短期大学 教育・福祉研究センター研究年報 No.22 )

小口尚子・福岡鮎美 『子どもによる 子どものための「子どもの権利条約」』(小学館)

喜多 明人 『子どもの権利 次世代につなぐ』(エイデル研究所)

「権利」と言われると一見とても難しく見えますが、「子どもを一人の人として尊重する」という基本的な理念は、親子の関係を考えたり、身近な社会について考えたりする上で大きなヒントです。まずは知ることから、そして家庭で実行することから。未来を作る子どもの権利をサポートしていきましょう。

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