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乳幼児期からの性教育が、子どもの「自己肯定感」につながる【専門家に聞く】

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赤ちゃんを見つめる家族
※写真はイメージです
kuppa_rock/gettyimages

性教育というと、男女の体のしくみや、妊娠のメカニズムなどを教えるイメージがあるかもしれませんが、性教育はそれだけではありません! 今の日本の子どもたちに必要なのは“命の尊さ”を教えることです。泌尿器科の看護師の経験がある性教育アドバイザー・のじまなみ先生に、幼児から始める性教育の大切さについて聞きました。

日本の学校での性教育は、肝心なことは教えてくれません! 

先進国の中で、日本の性教育は驚くほど遅れています。性教育らしきものが始まるのは小学校4年生ですし、中学、高校でも「妊娠」「避妊」「人工中絶」「コンドームをしない性交のリスク」など肝心なことは、学校ではほとんど教えてくれません。
また思春期の子がいる家庭でも「恥ずかしい」などの事情で、性教育に関しては「見ざる・聞かざる・言わざる」のノータッチ状態の家庭が多いのではないでしょうか。

「今は、新型コロナウイルスの感染者数ばかりに目が行きがちですが、日本のエイズの状況をご存じですか? HIV感染者とエイズ患者は右肩上がりに増えており、厚生労働省の調べでは2018年は3万件以上です。先進国の中で増えているのは日本だけです。日本の性教育が遅れている証しです。学校や家庭で性教育をしっかりすれば、エイズなどの性感染症は防げます。間違えた知識で性交する10代の子は、本当に多いです」(のじま先生)

日本の若者の死因の第1位は自殺! 家庭での性教育で命の尊さを教えてあげて

厚生労働書の調べによると、先進国のなかでの自殺死亡率は日本がトップです。平成29年の年齢別調査では、10代、20代の死因の第1位は自殺です。

「私は、日本の10代、20代の自殺者の多さが悲しくなります。自殺の理由はさまざまでしょうが、自己肯定感をはぐくみ“自分は家族から愛されて、求められている”“家の中に、あたたかな居場所がある”と思えれば、自殺は防げると思います。そうした自己肯定感を育てるのが、実は幼少期からの性教育です」(のじま先生)

性教育で自己肯定感を育てるポイント

本来、性教育とは性器のしくみなどを教えることだけでなく、命が生まれるしくみと、命の大切さを教えることです。

「“あなたが生まれてくれて幸せ”“あなたがママのところにきてくれてうれしい”ということを、子どもに繰り返し伝えてあげましょう。“ボク(私)には価値がある””愛してくれる人がいる“ということがわかると、自己肯定感は育ちます」(のじま先生)

自己肯定感をはぐくむには、次のようなかかわり方を意識しましょう。

【Point1】下の子の出産に立ち会わせる
下の子を出産するときは、できるだけ上の子を立ち合わせましょう。「ショックを受けるのでは!?」と心配するママやパパもいるかも知れませんが、90%ぐらいの子は、命の誕生の現場に興味津々。積極的に見ようとします。また妊娠中も「今、動いたよ。触ってみて」「もう耳が聞こえるよ。呼んでみようか?」など、おなかの赤ちゃんの成長に触れさせましょう。

【Point2】出産のときの動画や写真を見せる
かしこまらなくていいので、自然な流れで出産のときの動画や写真を見せてあげて。「ママ、夜、突然、おなかが痛くなって、急いで病院に行ったんだよ」「〇〇ちゃん生まれてくるのに、2日もかかったんだよ」など出産時のエピソードも話してあげましょう。

【Point3】質問にはきちんと答える
出産の動画や写真を見ていると「ママ、なんで脚広げているの?」「赤ちゃん生むのって痛いの?」など、質問されるでしょう。そのときは「お股のところに腟(ちつ)って穴があって、そこから赤ちゃんが生まれるから、ママ脚を広げているのよ」など正しく教えてあげてください。それが性教育です。

親が多様な性を受け入れることで、子どもを追い詰めないことも

最近「LGBT」っていう言葉をよく聞くようになりました。セクシャルマイノリティー(性的少数者)の総称で、L=レズビアン(女性同性愛者)、G=ゲイ(男性同性愛者)、B=バイセクシャル(両性愛者)、T=トランスジェンダー(体と心の性が一致しない人)を表します。

「実はLGBTは今や10人に1人ぐらいいるといわれています。‟うちの子には関係ない”などと思わずに、それぞれの性を認めることが大切です。性教育でも、性の多様性を幼少期から伝えるようにしましょう」(のじま先生)

性の多様性を認めるというのは、たとえば子どもが「ママ見て。あの人、男なのにスカートはいているよ!」と言ってきたら「自分らしく生きていて、すてきね」と伝えることです。
わが子に関しても男の子なのに「ママ、ピンクの服が着たい!」と言ったら「男の子なのにおかしいよ!」などと否定せずに、「ピンク好きなんだ! いいよ」と受け入れてあげることです。

「大切なのは‟自分らしく生きることの素晴らしさ”や“それぞれの違いを認め合うことの必要性”を教えることです。幼少期から、そうした会話を自然にしていると、差別や偏見を持たない子になりますし、わが子が多様な性に悩んだときも“ママ(パパ)ならわかってくれる”という信頼関係が築けます」(のじま先生)

お話・監修/のじま なみ先生 取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

「性教育って何から始めたらいいの?」「突然、教えるのもヘンだよね?」と思うママやパパもいるかも知れませんが、出産時のビデオや写真を見せるのはハードルが低いのではないでしょうか。コロナ禍で、おうちで過ごすことが多くなっている今、ビデオや写真でわが子の命の誕生を振り返るのは、ママやパパにとっても有意義な時間になると思います。


のじま なみ先生

Profile
性教育アドバイザー。とにかく明るい性教育「パンツの教室」協会代表理事。防衛医科大学校高等看護学院卒業後、看護師として泌尿器科に勤務。幼稚園、保育園、小学校、中学校などから要請を受けて年間70回以上講演。子どもはもちろん、ママやパパに家庭での性教育の大切さを伝える。近著に「“赤ちゃんってどうやってできるの?”にきちんと答える親になる!」(日本図書センター)。

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