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保育園、アフターコロナへの動き もともと多すぎた行事の見直しなど【専門家】

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※写真はイメージです。
master1305/gettyimages

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、保育園や幼稚園などでは行事を中止したり、お友だちとの距離を取って遊ばせたりするなど、さまざまな感染防止策が進められています。子どもの健康のためにしかたのないこととはいえ、これまでできていたことができなくなるのは、少しさびしい感じもします。新しい生活様式への切り替えが子どもたちの生活にも広がる中、子どもたちの発達にはどんな影響があるのでしょうか。また、保護者と園のつき合い方はどう変わるのでしょうか。発達心理学・感情心理学が専門の東京大学大学院教育学研究科・遠藤利彦先生に聞きました。

行事が減ったことは、子どもにとって実はよかったのかも!?

新型コロナウイルスの感染拡大が問題になって以降、保育・幼児施設の様子も大きく様変わりしています。その中で懸念されているのが、先生たちの負担の増大です。東京大学発達保育実践政策学センター(Cedep)が2020年4月30日から5月12日にかけて実施した「保育・幼児教育施設における新型コロナウイルス感染症にかかわる対応や影響に関する調査」によれば、「新型コロナに関連してストレス(緊張、不安等)が通常より高まっている」と感じる職員が9割以上いるという施設が、2割ほどあったのだそうです。感染症予防対策や、不安を抱える保護者への対応など、通常業務よりも負担が増える中で、保育の質に影響は出ないのでしょうか? Cedepのセンター長も務める、東京大学大学院教育学研究科の遠藤利彦先生はこう話します。

「園の先生たちの負担が増えているにもかかわらず、待遇がよくならないなどの理由でストレスが高まれば、その心理状態が子どもとのかかわり方にも影響を及ぼすことが考えられます。ただそれは可能性の話で、つらい状況下でも子どもたちに対して誠意を持って向き合っている先生が大半なので、保護者がその影響を心配するほどではないと思います」(遠藤先生)

そう聞くと少し安心できるところですが、実際に現場で働く先生たちは、今の状況をどう捉えているのでしょうか?

「コロナ騒動でたいへん苦労されているようですが、従来の問題を見つめ直すいい機会だと、プラスに捉える先生たちも多くいます。たとえば感染予防のために毎年恒例の行事を中止するケースが増えていますが、実はもともと、こんなにたくさんの行事をやる必要があるのかという議論がありました。
もちろん子どもの成長に欠かせない行事もありますが、なかには先生や子どもの負担を増やすばかりで、子どもの発達が置き去りにされることもあったのです」(遠藤先生)

親にとって、運動会などの行事は子どもの成長を確認できるいい機会。しかし「保護者に見せること」が目的化してしまうと、本来子どもにとって必要な遊びが犠牲になってしまう弊害もあります。それでは本末転倒ということで、最近では行事を減らすかわりに「毎日の保育を見に来てください」という園も徐々に増えているのだそうです。

「日ごろの遊びや活動を見ていただいたほうが、子どもの普段の生活や成長の姿を確認しやすいではないかという観点からです。保育の様子をオープンに見せておけば、子どもがどういう思いをして園生活を送っているのかということも実感できると思います」(遠藤先生)

工夫次第で子どもの遊びはどんどんふくらむ

保育施設の感染症予防策として、子どもたちが互いに接触する機会を減らす取り組みも進んでいます。歌をうたうのも、食事をするのも、体を動かすのも、ほかの子どもとしっかりと距離を取る。これもしかたがないこととはいえ、のびのびとできないことで、子どもの発育に影響はないのでしょうか。

「子どもの遊びというのはとてもバリエーション豊かなので、心配する必要はありません。たとえ一人遊びが多くなっても、子どもは一人でまわりのことに注意関心を向けながら、いろいろな実験をするでしょう。その中で獲得するものも実は多いのです。一人遊びと集団遊びのバランスが変わってくることは考えられますが、集団遊びが減るといっても、仲間と距離を置いた中でも成立する遊びはあります。どんな遊びにもメリットはありますので、今までしていなかった遊びを体験させる機会になっていると考えればいいのではないでしょうか。個人的には、ごっこ遊びやふり遊びなど、イマジネーションを広げる遊びを増やすのがいいと思います。保護者や先生などの大人が、子どものイマジネーションの世界の中に入って遊んだら子どもはさらに想像力をふくらませます」(遠藤先生)

子どもが住んでいる世界は、物理的な世界だけではありません。頭の中にある空想や想像の世界でも、子どもは遊んでいるのです。イマジネーションをふくらませることは、子どもの発達にも大きくプラスに働くのだそう。とはいえ、こうした頭を使った遊びが増える一方で、体を動かす遊びが減ることは心配しなくていいのでしょうか。

「もちろん個人差があり、一人ひとり好みの遊びも違います。もともと外で遊ぶことを好んでいたお子さんにとっては、外で自由に動き回れない今の状況は、必ずしもプラスには働かないでしょう。ただ、子どもはじっとしていられず、狭い室内でも立ったり動き回ったりするので、実はそれで一日の運動量はたりてしまうことも多いのです。大人が考えるほど深刻な運動不足にはなりにくいと考えます」(遠藤先生)

園でも家でも、マットの上で飛び跳ねたり、ダンボールで家や迷路をつくってぐるぐる動き回ったりという遊びはできます。今年の夏は水遊びを中止する園も多いようですが、それも家のふろ場を利用すれば水遊びができるでしょう。できないことは増えますが、代替手段はいくらでもあり、それを子どもと一緒に考えてみるといいかもしれませんね。

アフターコロナはスマホ世代が働きやすい環境に

感染症予防対策は今後も続きますが、アフターコロナに向けて、保育園や幼稚園といった施設はどう変わっていくのでしょうか。

「いろいろある可能性のうちの一つとして、園の運営が効率化されることが考えられます。たとえばオンライン会議などを活用すれば、先生同士の会議が場所を問わずにできるし、保護者に園に来てもらわなくても面談ができます。こうしたIT技術の活用が遅れていた業界でもあるので、この機会に新しい試みも増えていくと思います。一ついい事例ができれば、それが広がって一気に広がる可能性はあります」(遠藤先生)

ほかにも、先生たちが受ける外部での研修がオンライン対応になれば、会場まで出かける時間や費用が抑えられ、個々のスキルアップが進みやすくなることが考えられます。IT技術の活用が職場環境の改善にもつながれば、昨今問題になっている保育士不足も解消されるかもしれません。

「若い世代はスマートフォンの活用にも抵抗がないので、これを使ってのスキルアップやコミュニケーションが可能になれば、これまでの負担は減ると思います。効率化が進めば徐々に待遇も改善され、この仕事を長く続けたいと思う人は今よりも増えるかもしれません」(遠藤先生)

保育士のスキルアップが進みやすくなり、長く働く人も増えれば、待機児童問題の解消や保育環境の改善などにもつながるでしょう。それが結果的に、働くママ・パパをサポートしてくれることにもなります。今は一時的に負担が増えている保育現場ですが、アフターコロナではコロナ前よりよい環境になることが期待されます。


お話・監修/遠藤利彦先生 取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部

コロナ関連のニュースでは、マイナス面ばかりがクローズアップされるので、園がどうなっているのか、子どもはそこでどう過ごしているのかということが不安になってしまうかもしれません。しかし実際の現場では、先生たちが知恵をしぼって、子どもたちが楽しく遊ぶ工夫をしています。制限される中でも、大人が「できない」と決めつけるのではなく、感染症対策に気をつけながらどうやれば実現できるかを考えて、どんどん新しい遊びを考える子どもをサポートしていきたいですね。


遠藤利彦先生(えんどうとしひこ)
(東京大学大学院教育学研究科教授)

Profile
専門は発達心理学・感情心理学。子どもの発達メカニズムや育児環境を研究する発達保育実践政策学センター(Cedep)のセンター長も務めている。
※トップの写真はイメージです

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