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なぜ伸びない? 男性の育児休業取得率、「男性の育休は、父、子ども、母、企業、社会を幸せにするもの」 と専門家

父便乗外息子
写真はイメージです
LuckyBusiness/gettyimages

パパの育休、希望通りに取れていますか? 厚生労働省によると、2019年度に調べた男性の育児休業取得率は7.48%。「2020年までに13%」と掲げた政府の目標に届かないまま、ウィズコロナの時代を迎えています。ますます必要性が高まりそうなパパの育休を取りやすくするために、パパ、ママ、企業や社会はどう変わっていくべきでしょうか。男性の育児・家事支援にも長年取り組む、大阪教育大学教育学部准教授(家政教育講座)の小﨑恭弘先生に聞きました。

なぜ伸びない? 男性の育児休業取得率

2019年度の男性の育児休業取得率7.48%という数字には、「過去最高」「7年連続上昇」という明るい言葉を添えることもできますが、果たしてこの数字、どうとらえればいいのでしょう? 小﨑恭弘先生は自身の体験談を交えてこう述べます。

「私自身、過去に育休を3回取りました。最後に取った18年前当時の取得率は1~2%くらいだったので、社会はあまり変わっていないな、という印象です。過去最高といっても女性の場合は90%を超えていましたし、近年も80%台で推移しています」(小﨑先生)

ママの育休取得率に比べれば、パパのほうはこれまでのイクメンブームは何だったのかというくらいの低空飛行を続けています。なぜ、パパの育休取得率は伸びないのでしょうか?

「『パパは仕事、ママは育児』という分業の意識がまだまだ残っているからだと思います。平成初期に比べて今は働きながら子育てをする女性が増えていることも考慮すべきでしょう」(小﨑先生)

独立行政法人労働政策研究・研修機構によると、1989年(平成元年)の専業主婦世帯は930万世帯、共働き世帯は783万世帯。それに対し2019年(令和元年)はそれぞれ575万世帯、1245万世帯と、30年の間に両者の数字は逆転し、その差は年々広がり続けています。

参考URL/独立行政法人労働政策研究・研修機構「専業主婦世帯と共働き世帯」


たしかにこれだけ共働き世帯が増えていれば、男性の育休取得率も大きく上昇していそうなものですが、そうなっていません。夫婦で協力しあうべきところなのに、なぜママたちが働くようになっても分業の意識が昔のまま変わらないのでしょうか?

「出産と育児がイコールだと思っている人がまだまだ多いのだと思います。その2つは近いけれどもイコールではありません。実際には子育てに悩んでいるママがたくさんいるのに、『自分は育児が苦手です』と言えない社会になっている。男性だってみんなが仕事に向いているわけではないので、この思い込みによってお互いがしんどくなっているのです」(小﨑先生)

育休を取れないのは制度のせい? 社風のせい?

パパの育休取得が進まないのは、意識の問題だけではありません。実際には、「うちは育休を取らせてもらえない」という人もいます。

「育休を取ることは、育児・介護休業法で保障されている労働者の権利です。なので制度上、育休を取れないということはないのですが、アンケートを取ると『うちの会社には育休制度がありません』という人が実は多くいます。パパ自身も育休制度への関心を高める必要があるとともに、この制度が昔よりもかなり改善されていることも知っておくといいと思います。たとえば今、育児休業給付金は育休開始から180日目までは賃金の67%が支給され、社会保障費も免除されます。私が初めて育休を取った時は25%しか支給されず、社会保障費も払わないといけなかったので家計は赤字でした」(小﨑先生)

法律で保障されている権利であり、その優遇度合いも昔より高まっています。しかしパパにとって、「育休を取りづらい職場の雰囲気」は大きな壁です。

「制度があっても、職場の風土のために育休が取りづらいという人も多いでしょう。しかしそういった会社は、これからは生き残れないと思います。男性の育児、ワークライフバランス、ダイバーシティといったことを企業の経営戦略に盛り込まなければならないということに、多くの企業が気づき始めています」(小﨑先生)

昨今、企業の“ブラック体質”はSNSなどであっという間に広がってしまいます。企業にとってそのダメージは大きく、ブランドイメージの低下にもつながりかねないことです。ある大手企業の男性社員が育休明けに異動を命じられたケースでは、騒動によって株価が大きく下落しました。

「実際にはそういった会社はまだあるので、仕事を早く終わらせる、有給休暇を上手に使う、看護休暇などほかの制度も調べておくなど、育休以外の方法も考えておくといいでしょう」(小﨑先生)

パパが今よりも育休を取れるようになることが理想的です。では最終的に、全員が育休を取るべきでしょうか。実際に育休取得率100%を達成している企業もありますが、小﨑先生は「必ずしも全員が育休を取る必要はない」と言います。

「昨今、ダイバーシティ(多様性)を重要視する企業が増えていますが、子どもを持っている人だけを優遇することがダイバーシティではありません。育児をしていない人にもいいことがないとダイバーシティとは言えない。
たとえば働き方や生き方について、結婚している人もしていない人も、子どもがいる人もいない人も、今よりも選択しやすくなることが大切です」(小﨑先生)

パパを主語にしないとパパの育休は広がらない

厚生労働省の「イクメンプロジェクト」や内閣府の「カエル!ジャパン」をはじめとした国のプロジェクトでも、男性の育休取得促進が議論されています。もはや企業にとって、そして社会にとって、男性の育休取得は喫緊の課題。しかしここには落とし穴があるといいます。

「こうした議論では、『ママの育児や仕事を支えていかないといけない』というママ中心の文脈で語られがちです。そうではなくて、父親が育児を楽しむため、父親がきちんと親子の絆をきちんと結ぶために、男性が育休を取れるようにしていくことが本当に必要とされていることです。今はまだ、ママのサポート中心に考えてもいいでしょうが、いずれは父親を主語にしたものにしないといけません」(小﨑先生)

パパが主体となって育児にかかわっていくためには、どんなことが必要でしょうか。

「今は育児も働き方も二極化しています。育児を楽しんで充実している人もあれば、育児にあまりかかわろうとしない人もいる。個人の生き方だから、いい悪いはありませんが、私自身は、『父親の育児は5人を幸せにする』とよく言っています。5人というのは、父親自身、子ども、ママ、企業、社会です。いろんな生き方が選べるなかで、育児をしたいパパがもっと育児に参加しやすい世の中になれば、多くの人が豊かに暮らせると思います」(小﨑先生)

お話/小﨑恭弘先生 取材・文/香川 誠、ひよこクラブ編集部

パパにとって大事なのは仕事か、子どもと過ごす時間か。両方を取れればいいのですが、まだ、なかなか難しい状況です。そして、いきなり最初から両立させられる人はなかなかいません。まず「自分は(自分たちは)どうしたいのか」を考え、夫婦間でも合意が取れれば、育休を取る際やその前後にも、いろんな策を講じやすくなるかもしれません。


小﨑恭弘先生(こざきやすひろ)

Profile
大阪教育大学教育学部教員養成課程准教授(家政教育講座)。西宮市初の男性保育士として活躍したのち、大学の准教授やNPO法人「ファザーリング・ジャパン」の顧問として活動中。3男の父。著書に『あー、また言っちゃったがなくなる 男の子ママの言葉かけ便利帳』(総合法令出版)など。

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