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0歳から未就学児、「ずっとマスク」が言葉の発達に与える影響 専門家の見解は?

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子供にマスクをつける母
※写真はイメージです
maroke/gettyimages

ウィズコロナで、2歳以上の子どもや大人がマスクをする機会が増えています。しかし一部の専門家からは、長期間マスクをすることで、乳幼児の言葉やコミュニケーションの発達、心理的な影響などを心配する声が上がっています。言語聴覚士で、「ことばの相談室ことり」代表を務める、寺田奈々先生にマスクが与える言葉の発達への影響について話を聞きました。ママ・パパたちが心配している言葉の悩みにも答えてもらいました。

マスクの問題点は、口の動きが見えず、表情がわかりづらいこと

子どもの言葉の発達には、主に次の3つの要素が必要です。

【1.音声を聞く】
低月齢の赤ちゃんでも、ママやパパが呼びかけると目で追ったり、手足を動かしたりして反応するように、言葉の発達には聴力が欠かせません。呼びかけても振り向かないなど、気になる様子があるときは耳鼻科で相談しましょう。

【2.口の動きをマネする】
赤ちゃんはママやパパの目をじっと見始め、次に口の動きに興味を示します。「ばばばばば」、「だだだだだ」などの喃語(なんご)を発して口の動きを練習する時期に、目で見て口の動きを学び、マネしようともしています。

【3.相手の表情や視線などを読み取る】
相手が話す言葉の意味がわからない時期でも、子どもは相手の表情や視線などを見ることで「怒っている」「喜んでいる」などの気持ちを察します。

しかしウィズコロナで、マスクをする機会が増えたため、小児科医や発育・発達の専門家などからは、子どもの育ちを不安視する声も聞かれます。

「マスクが言葉の発達に与える影響について、具体的な調査研究などはなされていませんが、マスクで隠れていてママやパパの口の動きが見えなかったり、表情がわかりづらかったりすることはあります。
言語獲得期のお子さんは、身体で触れる・目で見る・耳で聴くなど、さまざまな感覚器官を通して言葉を発達させていきます。また、言葉は必ず周囲の人との触れ合いのなかからはぐくまれます。感染対策ももちろん重要ですが、言葉の伸びをはぐくんでいける環境を守っていくことも同時に大切だと思います」(寺田先生)

ママたちの言葉の悩みに、寺田先生がアドバイス

ことばの発達について相談したいけれど「新型コロナの影響で、なかなか相談できる機会がなくて…」と悩んでいるママやパパは少なくありません。よくある言葉の悩みを、寺田先生に聞きました。

Q.1歳4カ月ですが、喃語しか出ず、指さしをしません

1歳4カ月ですが「あーあー」「うー」などの喃語しか発せず、意味のある言葉が出ません。指さしもほとんどしません。

A.1歳6カ月健診の前に、おうちで指さしについて、ていねいに見てあげて

1歳6カ月健診を必ず受けて、アドバイスに従ってください。喃語も「あいうえお」の母音がキレイに出ているか、「ばばば~」のような子音も出ているか見てあげましょう。
指さしは、言葉の発達の大切な要素です。指さしが出ていないお子さんのなかには、手を伸ばして「ママ、見て~」など意思疎通をはかろうとする、“手さし”の段階の子もいます。また、指さしをすることだけでなく、指さした先を見ること(指さしの理解)も重要です。ママやパパが指をさすと、指をさしたものに注意を向けることがあるか確認してください。
言葉の発達には、土台となるコミュニケーションの発達も欠かせません。たとえば、いないいないばあを楽しむことができるといった、やり取り遊びです。そのほか、くすぐり遊びや視線を合わせた語りかけ、おもちゃなどのモノを渡したり受け取ったりするといったことも、繰り返し行ってあげましょう。
1歳6カ月健診では、そうした点からも気になることを伝えるといいでしょう。

Q.3歳で単語が150語ぐらい、2語文がほとんど出ません

娘はもうすぐ3歳ですが、単語は150語くらい。2語文はほんのわずかです。言葉以外の発育・発達は気にならないのですが、様子を見ていてもいいですか?

A. 専門家の力を借りつつ、どのように家庭でかかわってあげればいいのか考えて

2歳で2語文くらい、3歳で3語文くらいが言葉の発達のおおまかな目安です。もちろん個人差があるので、まずは発達の専門家に助言を受けてみるのがいいかと思います。
語彙(ごい)が少ない、言葉をつなげてお話しできない、お話しできる文の長さが短いといったご相談はとても多いです。
おうちでのかかわりとして気をつけてあげたいことは、新しい言葉や知らない言葉をどんどん教えよう!と頑張りすぎないことです。
語彙数の目安は、上の図のとおりですが、語彙数は言葉と言葉が互いに手を取り合い、枝を伸ばしていくように増えていきます。まずは知っている言葉を繰り返し使っていき、自分の言葉として定着させてあげることが大切です。
言葉かけの際の文の長さも、お子さん本人が話せる長さ~プラス1語くらいの長さ(2語~3語の文)を心がけるといいでしょう。たとえば「公園行こう」などのシンプルな文がいいです。
お子さんが理解できる、ちょうどのレベルを心がけた言葉かけを続けることで、言葉の獲得を支えてあげることができます。

Q4歳ですが「さ行」が言えずに心配

4歳ですが「さ行」が言えません。「さかな」を「ちゃかな」、「おかあさん」を「おかあちゃん」と言ったりするので不安です。

A「さ行」が完成するのは5~6歳

上の図を参考にしてほしいのですが、発音にはそれぞれ完成時期があります。「さ行」が完成するのは5~6歳なので、もう少し様子を見てもいいでしょう。発音の獲得スピードには個人差があります。背景に言葉の発達のゆっくりさが隠れている場合もありますが、特定の発音の獲得だけがゆっくりというお子さんもたくさんいて、特別珍しいことではありません。
おうちでは、「さ・か・なだよ! ちゃ・か・なじゃないよ」など訂正したり教え込んだりする必要はありません。普段の会話のなかでママやパパが「さかな」「おかあさん」など、正しい発音で話し、繰り返し聴いていくことで耳を育てていきましょう。
もし、年長さんや小学校1年生になっても言えない音が残っているというお子さんには、言語聴覚士の指導により正しい音を獲得することができます。地域の保健所や支援センター、言葉の教室などに相談してみてください。

Qしりとりができないのは、言葉の発達と関係があるの?

4歳ですが、しりとりができません。しりとりをすると、私が言った単語を繰り返すだけです。お友だちは、できる子がいるのに…。言葉の発達と関係がありますか?

A音の分解ができると、しりとりができるようになります

しりとりは、言葉の発達のなかでも音韻の発達=「音を頭のなかでイメージする力」と関連があります。言葉がいくつの音でできているかがわかったり、分解したりそれを取り出したり、またくっつけたりすることができる力で、3歳から6歳ぐらいまでの期間でぐっと伸びていきます。
しりとりができるようになる目安は、4歳から5歳くらい。4歳だと、まだ月齢差や個人差のある時期ですね。
音をイメージする力をつけていくには、言葉の音をリズムでとらえる遊びが役立ちます。たとえば、言葉やお歌に合わせて手をたたく、手遊び歌やケンケンパなどがそうですね。また、優しい言葉のかるたや、“あ”のつく言葉探しなどの遊びもいいでしょう。
日本語は、ひとつひとつの音をばらばらにし、1拍ずつ数えていくことができます。4歳~5歳代は、そうした日本語らしいリズムを学んでいく時期といえます。


取材・文/麻生珠恵、ひよこクラブ編集部

お話・監修・図版提供/寺田奈々先生

ウィズコロナで、子どもが家族としかかかわっていないおうちもあると思います。しかし、寺田先生は「言葉の発達には、本来、いろんな人とコミュニケーションをはかることが大切。でもウィズコロナで、それがしづらい状況にあるのが気がかりです」と言います。おうち時間が長いと、ついテレビを見せたり、動画を見せたりしがちですが、この機会にかかわり方を見直してみませんか。言葉の発達には、絵本を読んだり、歌を歌ったり、言葉遊びをするなど、言葉を介したかかわりが大切です。

※文中のコメントは口コミサイト「ウィメンズパーク」の投稿からの抜粋です

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