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ワクチンヘジタンシー(ワクチン接種へのためらい)が、世界的問題に SNSなどの影響も【専門医】

持ち上げると、生まれたばかりの赤ちゃん、赤ちゃんの母親に話して遊んで母の肖像画。一緒に医療の家族愛
写真はイメージです
paulaphoto/gettyimages

近年問題になっている「ワクチン接種へのためらい(ワクチン・ヘジタンシー)」という現象を知っていますか? さまざまな情報があふれる中、ワクチンの効果を疑ったり、接種を拒否したりしている人が出てきているといいます。
そのような現象に対して私たちはどう向き合うのがいいのか、国立感染症研究所感染症疫学センター第三室(予防接種室)室長の多屋馨子先生に話を聞きました。

新型コロナウイルスの感染拡大で「接種控え」がさらに増加

昨年1月に世界保健機関(WHO)が「2019年の世界の健康に対する10の脅威」を発表し、その中に「ワクチン接種へのためらい」があげられました。世界中で予防接種をためらう現象が起きている背後には、SNSで拡散された誤情報が大きな影響を与えているといいます。それに加えて新型コロナウイルスの感染拡大による「接種控え」があり、まだ一定数、ワクチン接種を迷っている人たちがいるといいます。
「ワクチン接種は、個人に免疫をつけるだけでなく、社会全体の免疫をつけるために必要なことです。集団免疫効果、という言葉を聞いたことがある方もいると思いますが、地域の中で多くの人がワクチンを接種していれば、1人が感染したとしても、なんらかの理由(先天性の病気がある人、妊婦など)でワクチン接種できない人たちも守ることができるのです」(多屋先生)。
WHOでは、ワクチン接種を迷う理由3つを挙げています。
【1】ワクチンへの不信感
【2】病気に対する独りよがりの安心感
【3】ワクチン接種に対する障壁
それぞれについて多屋先生にママやパパたちからの編集部に届いている声について、ご意見を聞きました。

【1】ワクチンへの不信感

ワクチンを接種すると何らかの不利益がある、と主張する人がいます。情報収集には注意が必要です。

【ママ・パパの声】SNSにワクチン接種は危険とあり、迷っています

「SNSは便利なツールではありますが、医療情報、健康情報の中には信頼できないものもあるようです。予防接種や子どもの病気について疑問に思ったら、小児科や自治体の健康相談などに相談することをおすすめします。専門的な知識と経験に基づいて、予防接種の受け方のアドバイスや相談にのってくれます」(多屋先生)。

【ママ・パパの声】病気には自然免疫がいちばん。ワクチンのような人工的行為はいや

「正しい医療情報を集めて、その感染症にかかったらお子さんがどのような症状を起こすのか、知ってほしいと思います。
世界中にはまだ治らない感染症や、ワクチンのない感染症がたくさんあります。こうしている今も世界中で数多くの感染症が発生し、多くの命が失われています。ワクチンの開発は実用化されるまで多くの時間、労力がかかります。ワクチンが実用化されている感染症は、ごく一部なのです。ワクチンで防げる感染症は、ワクチンでしっかり防いでほしいと思います。
そして、実際にかかってしまったらどうなるのかを知ってほしいと思います。これまで、もしお子さんが感染症にかかってこなかったとしたら、それは周囲の方がワクチンを受けてかからないでいてくれているからなのです」(多屋先生)。

【2】病気に対する独り善がりの安心感

「私は大丈夫」「流行していないから大丈夫」など、勝手な思い込みからワクチンを接種しない考え方が一部にあります。

【ママ・パパの声】日本脳炎なんてかかっている人を見たことも聞いたこともない。

「自分のまわりにいないからといってだれもかかっていないとは限りません。毎年日本脳炎患者は発生しています。2015年には10カ月の赤ちゃんが感染した例もあります。以前は、小児と高齢者に多い病気でしたが、今の子どもたちはワクチンで予防しているので、現在は高齢者が多いのが特徴です。発症すると致命率は20%以上、後遺症も約50%の人に残るというデータがあります。お子さんが大人になって、どうしてきちんと接種してくれなかったんだ、ということにならないように考えてみましょう」(多屋先生)。

【ママ・パパの声】B型肝炎って遺伝でしょ?身内にはだれもいないから大丈夫

「B型肝炎は母子感染や家族感染する、というのを勘違いして遺伝する、と思い込んでいる人もいるようですが、まったく違います。血縁関係のない水平感染や集団感染も起こっています。
B型肝炎ウイルスに乳幼児期などで感染し、ずっと感染し続けた状態(キャリア)にある人の血液や、体液を介して感染することがあります。B型肝炎ウイルスのキャリアのお母さんから生まれた赤ちゃんは出産時にお母さんの血液に触れますので、そのときに感染する可能性があります。そのため、生後2カ月まで待たず、出産後すぐにB型肝炎ワクチンとB型肝炎ウイルスに対する抗体がたくさん含まれたHBグロブリンの注射をします。
ほかにもB型肝炎ウイルスが含まれた血液がついたカミソリや歯ブラシの使用、性交渉などでも感染することがあります。一度感染するとずっと感染し続けた状態(キャリア)になることもあり、キャリアになると一部の人が慢性肝炎、肝硬変や肝がんなど、命にかかわる病気になることもあります。もれなく接種しましょう」(多屋先生)。

【3】ワクチン接種に対する障壁 

「ワクチン料が高い」「スケジュールが難しい」などお金や手間の理由から接種しなくていい、と判断してしまう考え方です。

【ママ・パパの声】2回も3回も接種させるのはめんどう。1回受ければ少しは免疫がつくよね?」

「それぞれのワクチンには必要な回数が決められています。確実に効果を得るために必要な回数なのです。スケジュールどおりに受けないと十分な効果が得られません。
1回接種のワクチンは1回でもある程度強い免疫が得られるものですが、複数回接種のワクチンは1回でつけられる免疫に限界があります。複数回受けることで強い免疫をつけられるしくみになっていますので、決められた回数だけ接種しましょう」(多屋先生)。

情報提供/多屋馨子先生 取材・文/岩崎緑、ひよこクラブ編集部

いろいろな情報があふれる中、私たちには正しい情報を選びとる力が求められているのかもしれません。これを機に、赤ちゃん・子どもを怖い感染症から守るために、本当に正しい情報とは何なのかをしっかり考えてみてはいかがでしょうか。


多屋馨子先生(たやけいこ)

Profile
国立感染症研究所 感染症疫学センター 第三室(予防接種室)室長。小児科医。高知医科大学(現高知大学医学部)卒業。大阪大学医学部小児科学講座に入局し、大阪大学医学部附属病院・関連病院小児科、大阪大学医学部微生物学講座・小児科学講座で小児科の臨床、ヘルペスウイルスを中心とした基礎研究、小児感染症学の教育に従事。2001年から国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官。02年から国立感染症研究所感染症情報センター第三室(予防接種室)室長。13年から現職。

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