共働きリモートのストレスは、「もしものときの3万円」とフォローの手紙で乗り切る【専門家】

新型コロナウイルス感染予防の対応もあり働き方が大きく変わってきています。在宅ワークが続く共働き家庭もあるでしょう。夫婦ともに在宅時間が長くなると、どうしてもお互いへのストレスを抱えてしまう人もいるかもしれません。創業以来11年、社員全員がリモートワークで就業している、株式会社AsMamaの創設者甲田恵子さんに、リモートワーク夫婦のストレス解消方法について聞きました。
ストレス緊急対策費の3万円を常備しておこう
コロナ禍で夫婦とも在宅リモートになっている家庭も多いと思います。家にずっと夫婦がいることでストレスを抱えてしまったときは、どうすればいいのでしょう。
「ストレスをMAXまで我慢して、お互い感情のぶつけ合いになってしまう前に、自分の正直な気持ちを伝えることが大事です。相手に話すことで、自分自身もストレスを自覚できますよね。
ストレスを抱えすぎて、食事を作るのがつらいとか、何もしたくないな、なぜか泣きたくなってきてしまう、というような状態になってしまったら、いったん家事も育児も手をつけず、全部そのままその場に置いて離れ、自分がリフレッシュできる時間を作りましょう」(甲田さん)
我慢できないほどのストレスを抱えたら、パパや、両親、ベビーシッターや家事代行などに家事も育児も頼んで、自分の心を休めることが先決なのだそう。
それには資金も必要ですが、「1万円かかってもしんどい状態から自分を解放することが大事」と甲田さんは言います。
「0〜2才くらいの子育て時期は、ただでさえ、目まぐるしい生活でストレスを抱えがち。だから、緊急対策費として家計のほかに3万円くらい確保しておくといいんですよ。
ただ、緊急対策費ですから使用にはルールがあります。
ルールその1は、『使ったら必ず即日家族に報告する』こと。
『今日、こんなことがあってね、家事代行をお願いしたんだ』『デリバリーでピザを取ったんだ』など、使った理由を相手と共有します。
ルールその2は『使ってもお互いに責めない』こと。たとえばパパが緊急対策費で飲みに行っても、『何考えてんのよ!』なんて責めないで『今日は何かあったの』と、相手の話を聞いてみましょう。
すると、自分のリフレッシュにも使える上に、お互いの状況を理解しあえる、家族の心の健康バロメーターにもなりますよね」(甲田さん)
〇〇にしか使ってはいけない、ではなく「使ったら話す」「使っても責めない」というルールは新鮮です。夫にナイショで…なんて後ろめたさも感じなくて済みますね。ただ、3万円というと、子育て世帯にとっては若干高い気もします。
「3万円は目安と考えて、家庭ごとに1万円でも2万円でもいいと思います。その緊急対策費があるだけで『何かあったら休める』と心の余裕ができるし、使うには理由がありますから、相手と対話をするきっかけにもなる。それは夫婦がお互いを思い合える安心感につながりますよね」(甲田さん)
ストレスを家族にぶつけてしまったら手紙でフォロー
日常的にイライラして家族に当たってしまった、リモート会議中に騒ぐ子どもを、ついきつくしかってしまったというときなどはどうしたらいいのでしょう。
「イライラして怒ってしまった日の夜、子どもの寝顔を見て反省したりしますよね。そんなとき私は手紙を書くようにしていました。3才くらいまでの子どもが字が読めないころにも書いていて、『昨日ママお手紙書いたんだ』って、それを子どもに読んで聞かせる時間を作ったりしました。
夫に感情をぶつけてしまった翌日には、お弁当に「昨日はもう少し話を聞いて欲しかった」などと書いたりもしました。
子どもが思春期になった今は、お互いの帰宅時間が合わず、気持ちがすれ違ってしまうこともあります。そういうときにも手紙を書いておけば、わだかまりを残さないでおけるので、家族交換日記のようなものを机の上に1冊置いておくのもおすすめです」(甲田さん)
家族だからこそ、ストレスをぶつけてしまうことはあります。だけどそのあとに、冷静になって手紙というツールで自分の気持ちを整理して伝え、コミュニケーションをとることが大事なようです。
リモートワークにはストレスの問題もありますが、メリットも大きいと甲田さんは言います。
「リモートワークのメリットは大きいと思っています。新型コロナのおかげで家族が一緒に過ごせる時間が増えたという意味では、こんないいことはないですよね。
これからの新しい働き方でリモートワーク中、子どもは保育園に預けるとは思いますが、通勤時間の分は子どもと過ごせる時間は増えますよね。子どもが立ったり、歩いたりという、日々どんどん成長していく場面を目にするチャンスが増えるのは、すごくぜいたくです。人生で何度も経験できない瞬間ですから」(甲田さん)
会社に行ってしまうと見えない部分が多くなりますが、リモートワークで子どもと過ごす時間が増えるのは、男性にとってもいいことですよね。
「男性の育児時間が少ないのは、わからない、知らないからという場合が多いので、一緒に過ごせばそのギャップも減っていくはずです。
夫婦がお互いに完璧を求めず、お互いを巻き込んで、ほめて育てあっていくことで、お互いのキャリアアップや、家事・育児のスキルアップにつながります。せっかく家族なんだから、一緒に生きていくスキルを高め合えるといいですよね」(甲田さん)
お話・監修/甲田恵子さん 取材・文/早川奈緒子、ひよこクラブ編集部
ストレスを感じたら、抱え込まずに発散することが大切です。その上でその理由を家族で共有したり、感情を冷静に家族に伝えたり、相手を責めずに受け入れる、というコミュニケーションを取るようにしましょう。家族が理解し合って、絆を深めることが、ストレス解決につながります。
甲田恵子さん(こうだけいこ)
Profile
株式会社AsMama代表取締役CEO。大阪生まれ。米国留学を経て関西外大卒業後、環境事業団にて役員秘書と国際協力室を併任。2000年ニフティ株式会社に転職、海外渉外、IRなどを担当。2007年ベンチャー投資会社ngi group株式会社に転職、広報・IR室長に就任。会社都合で2009年退社、同年11月株式会社AsMama創業。(社)シェアリングエコノミー協会理事、総務省地域情報化アドバイザリー、シェアリングシティ協議会ボードメンバー兼任。