どうする?子どもの習い事。共働きでもうまくいくコツ。【専門家】

子どもが成長してくると「そろそろ習い事をさせようかな」と考えるママやパパも多いでしょう。でも、いざ始めようとすると、何を習わせたらいい? 送迎はどうする? など、さまざまな悩みが出てきます。
共働きでもうまくいく、子どもの習い事の選び方を、家庭教育協会「子育ち親育ち」代表の田宮由美先生に聞きました。
スキルや経験値の向上が習い事のメリット。コロナ禍でもできることを
まず、就学前の乳幼児期に習い事をさせるメリットにはどのようなことがあるのか、聞いてみました。
「いちばんに挙げられるのは、習ったことの向上やスキルアップ、そして集中力や協調性が身に付くことです。その習い事にかかわる能力のアップも期待できるでしょう。小学校入学後、授業などで役に立つこともあります。また、趣味としても人生の経験値を高める効果も。また、学校以外の人間関係を広げ、世界を広げてくれるのも大きなメリットです」(田宮先生)
コロナ禍の状況では、どんな教室がいいのかも気になります。
「オンラインで受けられる習い事だったり、教材をダウンロードできたりするところもあります。また、通信教育やアプリを利用するのもいいでしょう。スポーツ系でも、オンライン教室などが開催されているところもあるので、基礎体力をつける、技術を磨く練習をするなど家でもできる工夫をしてみましょう。もちろん感染対策をしっかりしている習い事に通うこともいいですが、心配ならオンラインや通信教育などを考えてみましょう」(田宮先生)
ここ数年で人気があるのは授業でも役立つあのスポーツ
今、人気がある習い事についても聞いてみました。
「ここ数年、ずっと人気なのが水泳です。基礎体力がつき、心肺機能も高まり、小学校に上がったときに、授業でも役立ちます。海水浴やプールでの事故防止にもなるので、習わせたいと思うママやパパが多いようです。
また、小学校でも教科として位置づけられた英語も人気です。
ネイティブな発音に慣れ、海外の言語や文化に興味を持つきっかけにもなるでしょう。
幼児のうちから音感に慣れさせるために音楽教室やリトミックを選ぶママやパパも多いです」(田宮先生)
実際に選ぶ際は、子どもの関心のあるものを選ぶといいそうです。もしママやパパが習わせたいものがあるときは、子どもが好きになるような工夫を凝らすことが大切だと言います。
「子どもが好きで興味があることを習わせるのがいちばんです。でも、もしママやパパが『これを習わせたい』というものがあったら、まずは親が興味を持つこと。基本的に幼児の場合、親の言動や親が興味のあるものに関心を持ちます。
そして教室で習った歌を一緒に歌ったり、『よく頑張ったね』とほめてあげたりするのも、子どもが好きになる要因です。子どもが楽しいと思えるよう、ママやパパが努力することも大切です。」(田宮先生)
教室を選ぶ際は、長期で通えるかを考えて
実際に教室を選ぶ際、どんなことに気をつけたらいいのかも知りたいところです。
「やはり、ムリせず長期で通えることが大事です。そのために実際に通わせる前に、以下の部分をチェックするといいでしょう。
1.交通の便や、通いやすさを確認
2.見学会に行き、実際の雰囲気を見る
3.ママ友の評判やクチコミを聞く」(田宮先生)
【1】交通の便や、通いやすさを確認
未就学児の習い事は親の送り迎えが必須です。そのため、通いやすさは大事だと言います。
「いくら評判のいい教室でも、交通の便がよくないと、通うだけで親子ともども疲れてしまうことも。家から近いのがいちばんですが、教室が職場の帰り道にあるとか、職場の帰りに迎えに行き、そのまま習い事に預けられるなど、ママやパパが継続して送迎できる交通の利便性を考えましょう。
そして、最近は送迎つきの習い事や、保育所がオプションとして習い事の送迎をしているところもあります。そのあたりも視野に入れて調べるのもよいでしょう」(田宮先生)
【2】見学会に行き、実際の雰囲気を見る
入会する前の見学会も、必ず行ったほうがいいそうです。
「実際に足を運んでみると、教室の雰囲気などがわかります。子どもたちがイキイキしているか、先生がどんな言葉を使って指導しているか確かめてみましょう。教室の掲示板に、常に新しく最新のものが貼られているかというところにも、指導者の熱心さがあらわれます」(田宮先生)
見学会の際は、月謝の詳細や、保護者会の有無などを聞くチャンスでもあります。
「幼児教室だと、教材費や入会金、夏季講習費、模擬試験代なども必要です。暖房冷房費がかかるところも。スポーツ系だと、ユニフォームや用具代、遠征費や合宿費用がかかることもあります。芸術系の場合は、発表会や特別レッスン費用が必要なことも。月謝以外にかかる金額も確認しておきましょう。
また、スポーツや芸術系は親の当番制や保護者会など、意外に親の負担になるものがあるところも。見学会では、そのあたりの詳細も聞くのがオススメです」(田宮先生)
【3】ママ友の評判やクチコミを聞く
見学会だけではわからない部分は、ママ友の評判やクチコミで情報収集できます。
「習い事を選ぶうえで、クチコミはとても大きいです。実際に通わせているお友だちのママに様子を聞いて、アドバイスをもらうと、見学会だけではわからない雰囲気も教えてもらえます」(田宮先生)
せっかく始めた習い事、子どもが「やめたい」と言い出したら?
いざ習い事を始めたものの、子どもがやめたいと言い出した場合、親としては、困りますね。
嫌がるものを無理やり続けさせてもお金と時間のムダ。でも、嫌だからといってすぐやめてしまうと、やめ癖がついてしまいます。今後の勉強に向き合う姿勢にもよくない影響がもたらされてしまうこともあるでしょう。そのような場合は、次のステップを踏んだ対応をするといいそうです。
「まずは理由を聞いてみましょう。そのうえで、1カ月なり期間を置いて、様子を見てみます。それでもやめたい気持ちが変わらないようだったら、何か目標を決めて、達成できたらやめる約束をするといいでしょう。
『クロールが泳げるようになったら、次の発表会が終わったら、など目標を決め、達成するまで頑張ろう!そうすれば、次のことを考えようね』とすれば、目標達成までの頑張る力も養えるでしょう。そして新しく始めるときは、『1年は続けよう』『○○ができるまでは続けよう』とひと言、約束しておくといいでしょう。」(田宮先生)
習い事ができなくても大丈夫。お母さんと一緒にできることを考えて
共働きだと、送迎や時間が合わないなど、どうしても条件が合わず、習い事ができない場合もあります。でも、それを「習い事格差になってしまうのではないか?」など、気にする必要はありません。
「習い事にメリットがあるのは確かです。
ですが、習い事が、その子どもの健やかな成長を決める訳ではありません。
子育てで大切なのは、家庭での親のかかわり方です。そしてそのかかわりとは、時間の長さではなく『質』。
短い時間でも充実してできることを考えるといいでしょう。たとえば、オンラインや通信教育を取り入れる、英語の教材で一緒に遊ぶなど、工夫しましょう。
そして、ありのままの子どもを受けとめ、ときには『大好きよ』が伝わるように、しっかり抱きしめることが大切です」(田宮先生)
お話・監修/田宮由美先生 取材・文/齋田多恵、ひよこクラブ編集部
習い事をすることで、子どもの世界はぐっと広がります。とはいえ、あまり小さなうちから詰めこみすぎると、子どもも疲れてしまいます。習い事は、子どもの健やかな成長や幸せのためにすることです。経済的なことを含めて総合的に考え、何を習わせるか計画的に考えるといいようです。
田宮 由美先生(たみやゆみ)
Profile
家庭教育協会「子育ち親育ち」代表。日本子育て学会所属。幼児教室・公立幼稚園・小学校での勤務、小児病棟慰問などを通し、多方面から多くの親子にかかわる。現在は、執筆を中心に、講演、個別指導など幅広く活動。実生活に落とし込んだ親の心に寄り添う記事に定評がある。著書に「子どもの能力を決める0歳から9歳までの育て方」(株)KADOKAWA出版。
■おすすめ記事
・「遊びの延長が学び」と言われても…どうしたらいいの?