児童手当どう変わる?コロナ禍で変化した教育費の貯め方を聞く【専門家】
子どもが成長するにつれ、教育にかかるお金は増えていきます。いざ必要になったときに困らないよう、早いうちからしっかりと準備していきたいものです。コロナ禍により、生活スタイルや働き方が変わる今、どのように教育費を確保したらいいか、ファイナンシャルプランナーの高山一恵先生に聞きました。
子どもが18歳になるまでに、最低でも300万~500万円の教育費の確保を
子ども1人あたり、どれくらいの教育費がかかるか、だいたいの目安を聞きました。
「進学プランによっても異なりますが、高校まで公立に通い、私立文系の大学に進む場合、子どもが18歳になるまでに最低でも300万円用意しておきたいところです。理系だともう少しかかり、500万円は必要です。この金額を教育費として貯め、高校までの学費は家計内でまかなっていくというのが、教育費に対するひとつの考え方となります」(高山先生)
コロナ禍により変化した家計費を見直し、コスト削減分を教育費へ
新型コロナウイルスの影響で、私たちの生活や働き方は大きく変わりました。でも子どもの教育費はとても大切。今、このタイミングで家計を見直し、コスト削減した分を、教育費に回していきましょう。
「今後、コロナ禍が長期化し、生活スタイルが変わる可能性を考え、家計の予算配分をし直すといいでしょう。コロナ禍以前の家計と比べてみると、たとえば交通費やレジャー費が減り、光熱費や通信費が増えたなど、具体的に減った項目と増えた項目がわかるはずです。
現在、家にいる時間が増えたため、以前より電気代が月平均2~3000円増えている家庭が多いようです。そのため、電力プランの乗り換えをする人が増えています。光熱費などの固定費は、生きている間、ずっとかかるもの。光熱費のほかに、保険料や通信費など、固定費にメスを。削れるところを削り、コスト削減できた分を教育費にあてていきましょう」(高山先生)
この先、児童手当はどう変わる?
中学生以下の子どもがいる家庭に支給されている児童手当。全額もらえる場合、すべて貯金に回せば子どもが15歳になるまでに約200万円貯まることになります。しかし今回、この制度は変更されることが決定しました。
「児童手当は、中学生以下の子どもがいる家庭に支給される助成金です。所得制限内であれば、3歳未満は一律1万5000円、3歳以上小学校修了前が1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生が一律1万円となっていました。
これまで夫婦のうち、高いほうの年収が960万円以上の世帯は、子ども1人あたり月額5000円の特例給付がありました。
今回の決定では、夫婦のどちらかが年収1200万円以上の場合は特例給付がなくなります。
この制度は今後、どう変わるかわかりません。変更があっても困らないように、児童手当をあてにしすぎず、準備をしておくことが大切だと思われます」(高山先生)
貯金だけでなく、投資も視野に。少しずつでも増やすことを考えて
今の時代は、ただ貯金をするだけではなかなかお金が増えません。また、以前は学資保険に入り、教育費を貯めるのが一般的でしたが、今は利回りが低く、あまり利用するメリットがないものです。そこで視野に入れたいのが、投資です。
「投資は値動きの幅があるため、子どもの進学時に元本が大きく割れてしまうリスクはあります。でも、子どもが小さいうちから少額でも始めておけば、運用期間が長期に渡るため、値動きの幅が小さくなります。手堅く投資したい場合は年間40万円までの投資利益が非課税になるつみたてNISAがおすすめ。非課税期間が20年間あるので、じっくりと資産を増やせます。2023年に廃止が決まっているジュニアNISAも、1年で80万円まで非課税になるため、2021年から始めれば240万円まで非課税になり、2024年以降はいつでも引き出すことができます。資産に余裕がある場合は活用してもいいでしょう」(高山先生)
教育費は、子どもが小さいうちからコツコツと貯めていくことが大切
教育費は早いうちから準備をしておけば、心配する必要はないといいます。
「子どもが中学生、高校生になってから教育費を貯めるのはとても大変です。でも、未就学児のときからコツコツと準備しておけば、ムリなく貯められます。早い段階から、教育費は家計とは別枠でしっかり貯めていくことが大切です」(高山先生)
監修/高山一恵先生 取材・文/齋田多恵、ひよこクラブ編集部
親は、子どもが望む道に進ませてあげたいと思うものです。でも、気をつけたいのは子どもにどれくらいお金を使うかで、将来の収支プランも変わってくるということです。子どもの教育費につぎ込んだ結果、老後の蓄えがなくなってしまうという可能性もあります。教育費は専用の口座を作り、そのなかでやりくりするくらいの気持ちでいましょう。
高山 一恵先生(たかやまかずえ)
Profile
ファイナンシャルプランナー。2015年に株式会社Money&Youの取締役へ就任。女性FPと女性をつなぐマッチングサイト「FP Cafe」の事業に注力している。FPとして活動をして以来、女性にこそお金の知識が必要不可欠だと思い、講演、執筆、個人マネー相談等さまざまなチャネルを通して、「女性」にお金の知識を伝えるべく精力的に活動を展開している。
※記事の内容は掲載当時の情報に基づいています。児童手当の支給基準は、変更になる場合がありますので、最新情報をご確認ください。