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出生数、70万人台か――未曾有の少子化問題、第2子、3子をもつ不安、対策の行方は?【専門家】

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男女のイメージの関係が悪い
takasuu/gettyimages

出生数、70万人台――。コロナの影響で未曾有の少子化問題が日本に重くのしかかろうとしています。2020年12月の産婦人科学会の発表によると、2020年10月~2021年3月の出産数が、一部の都道府県では、前年同月期と比較し、6割程度減少する可能性があることがわかりました。
出生数は2016年度、初めて100万人を切り、昨年度は90万人を切り、約86万5000人となりました。このまま、出産を控える動きが続けば、来年の出生数は70万人台となる可能性もでてきたのです。
未曾有の少子化危機を前に、政府は不妊治療の保険適用や所得制限の取っ払い、不育症に対する助成金など、さまざまな施策を打ち出していますが、実際に、この状況で少子化に歯止めはかけられるのでしょうか。
社会学者であり、中央大学教授の山田昌弘先生に話を聞きました。

少子化対策でいちばん重要なのは結婚

――今後、少子化を止めることはできるのでしょうか?

山田先生(以下敬称略) 少子化を止めるのは難しいでしょうね。このままだと暗い将来しか見えません。不妊治療に対するさまざまな施策をやっていますが、そもそも、少子化の原因の最大のものは、結婚しない人が増えていることです。
今、結婚していない男性の4分の3が、年収400万未満です。女性の社会進出によって、自立する女性も多くなりました。自立している女性であれば、男性の年収は関係ないのかもしれませんが、そういった女性にとって、結婚という選択をする人は少数です。政府は出産だけではなく、結婚に対しても、さらに力を入れていく必要があると思います。

日本の合計特殊出生率は1.36%

未婚率も高くなり、また、子どもを持たない選択をする夫婦も増えています。
2020年9月に発表された、2019年の日本の合計特殊出生率は1.36%です。
第2子、第3子を持つ、家庭の数は減少傾向にあり、子どもを持つことに対し、筆者のまわりからはこんな声が聞こえてきます。

【未婚のケース】
●仕事が忙しすぎて、子どもどころか結婚を考える余裕がないし、出会いもない。
●自分の今の生活に満足しているし、この生活を変えてまでも、結婚したい、子どもを持ちたいと思わない。

【パートナーがいるが、子どもを持たないケース】
●子どもが欲しいけれど、結構な歳だし、不妊治療をしてまで欲しいという気持ちはない。もういいかなって半ばあきらめている自分もいる。
●今の夫の給料だけでは、子どもを持つことさえためらわれる。
●不妊治療に理解がある会社ではないので、子どもが欲しいけれど現実的には厳しい。

【第2子、第3子を望まないカップルのケース】
●1人子どもを育てるだけでも結構なお金がかかるのに、さらに、2人目、3人目なんて考えられない。」
●核家族で子どもを育てるには、2人が限界。それ以上は考えられない。

出生数が100万人には戻らない

政府が少子化対策に力を入れ始めたのは1994年。「エンゼルプラン」と銘打ち、少子化の食い止めや女性の社会進出の推進に力を入れ始めました。その後も形を変え、政府としてはさまざまな施策を講じてきたのですが、少子化には歯止めがかからずに進んでいます。

――今後、さらに、少子化は加速していくのでしょうか?

山田 コロナの影響で、出生数は70万人台になろうとしています。コロナ禍収束後、徐々に回復すると思いますが、100万人に戻すことは厳しいでしょう。なぜなら、子どもを産む20~30代の女性の数も減少しているからです。今後少子化は止まらず、税金は上がり、私たちの生活を圧迫していくことが考えられます。
さらなる未婚の男性・女性、未妊のカップルへの支援策が早急に必要なのではないでしょうか。


お話・監修/山田昌弘さん 取材・文/中西美穂、ひよこクラブ編集部

今後、厳しくなる私たちの生活。子どもを持つことをリスクと考えるカップルが増えつつある様子は、合計特殊出生率は1.36という数字がその現実を如実に表しています。安心して子どもを産み、暮らせる生活を保障してほしいと願うばかりです。

山田昌弘先生(やまだまさひろ)
Profile
中央大学文学部教授。社会学者。1981年東京大学文学部卒。1986年同大学院社会学研究科博士課程退学。東京学芸大学教授を経て、2008年より現職。内閣府・男女共同参画会議専門委員、東京都社会福祉審議会委員など公職を歴任。家族社会学が専門。愛情やお金を切り口として、親子・夫婦・恋人などの人間関係を社会学的に読み解く試みを行っている。

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