【医師監修】専門医に聞く「妊活は“男”と“女”の性に直面すること」

赤ちゃんが欲しいと「妊活」を意識し始めたけれど、そもそも妊娠のしくみ、男女の体のこと、卵子や精子のことについてきちんと教えてもらったことがないと思いませんか?
実は意外に知らない「妊娠のしくみ」と自分たちの「体」のこと、この機会に2人でおさらいをしましょう。
また、妊娠を望む2人には妊活を通して将来設計をすり合わせるよいチャンスです。
産科医の竹内正人先生に伺いました。
記事監修

日本医科大学大学院修了。米国ロマリンダ大学留学を経て葛飾赤十字産院などに勤務。よりやさしい「生まれる・生きる」をサポートするため、国や地域、医療の枠を終えて活動中。著書・監修書も多数。
「妊娠力アップのための基礎知識」 #1
※参考:「妊活たまごクラブ 2020-2021年版」
「妊活」は「男」「女」の性に直面すること
今、人生は100年時代ともいわれ、働き方や生き方が大きく変化し始めようとしています。昔のように「結婚して出産することが女性の幸せやゴール」と言われることもありません。
社会の価値観も大きく変化し、LGBTのカップルなど、恋愛や性的指向に関しても多様性への理解が進んでいます。
しかしそんな時代にあえて、「生殖」「種の保存」という観点から、人間にはどうして男女2つの性があるのか?をあらためて考えてほしいのです。
本来人間は、生殖年齢に達すると、女性は胸がふくらんだり、男性は筋肉や骨格が発達したり、外見的にも性的アピールをして、異性を引きつけます。女性は排卵日前にはホルモンの影響で性欲が高まり、妊娠しやすくなります。
つまり人間はもともと子孫を残すための体として、「女性」「男性」という2つの性が存在するのです(子孫を残すことだけが人間が生まれる意味ではありませんが)。
今はむしろ「自分らしさ」が 求められる時代
しかし今は、「男らしさ」「女らしさ」という考えも多様化しています。むしろ「自分らしさ」が求められる時代。子どもを持つことも持たないことも、自分自身のアイデンティティーとして選択できる時代です。
今、社会生活では性を意識しなくても暮らしていけますが、パートナーと出会い、恋愛をし、「子どもが欲しい」と思ったとき、自分たちが男と女であることを意識せざるを得なくなります。妊娠は、男女という性がなくては実現しないからです。
本来「妊活」を意識しなくても、男女が愛のあるセックスを定期的にしていれば、自然と妊娠しますが、セックスそのものの意味も変化し、日本人は世界の中でも、セックスの頻度が最も少ないという統計もあります。
さらに年齢とともに卵子は老化し、最近では男性側にも不妊の原因があることがわかり、社会や環境要因からも子どもができにくくなっています。
子どもを持ちたいと「男」「女」という性にあらためて直面している2人には、今こそ自分たちの「性」と「体」を見直してほしいと思います。お互いの心と体を理解し合い、人生を共に歩む2人にとっての自分たちらしい「男らしさ」「女らしさ」を見つけてください。
●取材・文/長谷川華
※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。
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