【医師監修】最も妊娠しやすいのは「排卵日」の2~1日前。妊娠のしくみ「排卵」とは?

赤ちゃんが欲しいと「妊活」を意識し始めたけれど、そもそも妊娠のしくみ、男女の体のこと、卵子や精子のことについてきちんと教えてもらったことがないと思いませんか?
今回は、男女の身体の基礎知識として、「排卵のしくみ」について、産婦人科医の竹内正人先生にうかがいました。
「妊娠力アップのための基礎知識」 #5
※参考:「妊活たまごクラブ 2020-2021年版」
記事監修

日本医科大学大学院修了。米国ロマリンダ大学留学を経て葛飾赤十字産院などに勤務。よりやさしい「生まれる・生きる」をサポートするため、国や地域、医療の枠を終えて活動中。著書・監修書も多数。
卵子のもとは、日々減り30代になると質も落ちます
卵子のもとになる卵胞は、女性が胎児のときにすでに体内でつくられています。卵胞の数は、妊娠6ヶ月のときの胎児のころがピークとなり、その後どんどん減っていきます。
思春期になるとホルモンの働きで、この原始卵胞が目覚め始め、卵巣の中で半年ほどの期間をかけて成長し、毎月その中のたった1個だけが成熟期を迎えて排卵されます。それが生理(月経)です。
女性の一生で排卵される卵子は約480個。それ以外の原始卵胞は、1日30~40個、日々消滅していきます。閉経前には残り1000個程度になります。
排卵のしくみ

卵子の老化

健康な卵子は、内部の核やミトコンドリアが活発な動きをしています。
年齢が高くなると、これらの機能が次第に悪くなり、細胞分裂がうまくできなくなったり、妊娠のしやすさにも影響が出てきます。
以前、TV番組でクローズアップされた「卵子の老化」という言葉。卵子が老化するなんて知らなかった!と大きな話題となりましが、今は若い女性の間にも知識として浸透してきました。
人間の体自体が老化するのと同様、卵巣の中の卵子も老化します。具体的にはDNAに損傷が起きたり、うまく細胞分裂ができなくなったり、卵子そのものの数も減っていくので、最終的には妊娠率の低下につながります。
卵子の数は減少していく

卵子のもとである卵胞は、妊娠20週の胎児のときがピークで700万個程度。
出生時には約200万個に減ります。さらに日々減り続け、初潮を迎えるころには20~30万個に。
1回の月経周期で約1000個減るともいわれ、卵子の残りが1000個程度になると閉経します。また卵子の質も30代になると落ち、妊娠しやすさにも関係してきます。
(Baker TG.,Biol Sci,1963)
排卵とセックスのこと

妊娠するためには、排卵された卵子が卵管にとどまっている間に、精子と受精して、受精卵となって子宮に着床する必要があります。卵子の寿命は約24時間、精子の寿命は約72時間といわれ、3日に1回以上セックスをしていれば、自然に妊娠をする可能性が高くなります。
最も妊娠しやすいのは、排卵日の2~1日前のセックスというデータもありますが、男性の心身もデリケート。セックスを義務にせず、自然な性生活を。
(Dunson D B et al.Hum.Reprod.2002を改変)
コラム:「排卵検査薬」ってどういうもの?
一般的には、次回の生理開始予定日の約2週間前が排卵日ですが、周期は人によって異なります。排卵直前の女性は、黄体形成ホルモンの値が高くなります。
そこで、「排卵日予測検査薬」は、尿に含まれている黄体形成ホルモンを検出し調べ、排卵日を予測します。
●イラスト/柳原パト
●取材・文/長谷川華
初回公開日 2020/5/13
※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。
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