妊活スタートは自然妊娠なら32歳・体外受精なら36歳がギリギリという厳しい現実

不妊治療は早く始めるほどいい、といわれます。見た目や気持ちの若さではどうしようもない問題があります。
それはなぜなのか、そして、どんな治療が待ち受けているのか。初めて不妊治療をスタートするカップルのためのガイドです。
齊藤英和先生に詳しく解説していただきました。
「どんな治療があるの?2人で始めよう!不妊治療を考えたら最初にすることALLガイド」 #1
※参考:「妊活たまごクラブ 2020-2021年版」
妊活をスタートするのは1歳でも早いほうがいい、その3つの理由とは?
あなたが今、何歳でも、妊活をスタートするのは1歳でも早いほうがいい。
卵子が老化することにも関係しますが、理由はそれだけではありません。
理由1:妊娠する確率が少しでも高くなる
下の表は、年齢ごとに妊娠する確率を、自然妊娠の場合・体外受精した場合別に示したグラフです。
不妊治療をしてもしなくても、カーブは似たような形を描き、32歳、36歳、そして40歳あたりを境に急に右肩下がりになっています。
もし、できるだけ確実に赤ちゃんが欲しいと願うなら、遅くても30代の前半までには妊活をスタートするのが望ましいということがわかります。
妊娠達成確率別に見た「妊活を開始すべき」上限年齢(欲しい子どもの数1人の場合)

上記のグラフは、子ども「1人が欲しい」場合に、何歳までに妊活をスタートしたら実現するかの確率を統計で示したもの。
「自然」は自然妊娠、「IVF」は体外受精をした場合。
自然妊娠で「絶対欲しい」(100%に近い達成率を望むなら)場合、スタート上限は32歳ほどでギリギリ。体外受精の治療もOKだとしても、36歳には体外受精を開始しなければなりません。
35歳を過ぎると確率はグンと少なくなるが、「できれば欲しい」という希望なら(確率75%未満)、自然なら37歳、IVFなら39歳スタートでも十分妊娠の可能性はあるという見方もできる。
欲しい子どもの数別 達成確率別に見た妊活を「開始すべき」上限年齢表

自然妊娠で子どもが3人欲しい場合、達成率90%を実現するには、妊活の開始年齢は「23歳」ということに。IVFをした場合でも子どもが3人欲しい場合は「28歳」で始めないと実現が難しい。
※出典/Habbeman et al. Hum Teprod.30;2215-21 2015
理由2:不妊治療にかかる費用を少しでも抑えられる
不妊治療をスタートする年齢が高いほど、1回の治療で妊娠する確率は低くなり、また高度な治療へとステップアップしていきます。
タイミング法よりも人工授精、さらに体外受精、顕微授精のほうが1回の費用は高くなり、トライする回数も多くなる傾向が。
不妊の原因にもよりますが、若いうちに治療をスタートしたほうが費用はかからないことは確かです。
理由3:何人子どもが欲しいか、子育てにかかる期間についても計画立てられる

子どもの数と授かる確率については上の表も参考にしてほしいのですが、これは妊娠する確率。無事に出産したとして、そのあと子どもが20歳になるとき自分は何歳なのかも考えてみましょう。
35歳で治療を始めて36歳で授かったとしたら、子どもが成人するのは56歳のとき。
妊活は妊娠がゴールでなくその後の子育ても考えてスタートしたいものです。
子どもを1人、確実に欲しいなら自然妊娠で32歳、IVFで36歳までにスタートが理想的。
2人以上欲しいなら「なるべく早く」という意識が必要かもしれません。
【監修】齊藤英和先生

産婦人科医師。栄賢会 梅ヶ丘産婦人科 ARTセンター長。
国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 副センター長を経て現職。長年、不妊治療の現場に携わる中で感じてきたことから、加齢による妊娠力の低下や、高齢出産のリスクについての啓発活動も行う。著書に「妊活バイブル」(共著・講談社)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著・講談社)など。
■イラスト/itabamoe
■取材・文/関川香織(K2U)、生田有希子
※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。
▼『妊活たまごクラブ2020-2021年版』は、妊活に役立つ情報が一冊に詰まった妊活スタートブック。
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