女性が35歳以上で3ヶ月妊娠しなければ、不妊治療を考え始めたほうがいい事実

不妊治療は早く始めるほどいい、といわれます。それはなぜなのか、そして、どんな治療が待ち受けているのか。
初めて不妊治療をスタートするカップルのためのガイドです。齊藤英和先生に詳しく解説していただきました。
「どんな治療があるの?2人で始めよう!不妊治療を考えたら最初にすることALLガイド」 #2
※参考:「妊活たまごクラブ 2020-2021年版」
排卵のタイミングを計り、不妊の傾向があるかを知る
年齢や既往歴によっては、いきなり治療を開始したほうがよい場合もありますが、まずは自分でできる方法で排卵のタイミングを計って治療が必要かどうかを考えましょう。
月経周期をしっかり把握して、排卵日を「狙い撃ち」セックスする重要さ
不妊治療を行う前に、また、不妊治療をスタートしてからも、排卵日のころにセックスすることはいちばんの基本で、夫婦にとっても大切なこと。
「この日だから」と2人で気合を入れてもいいし、お互いを追い込まずに自然に誘い合うこともしてみるといいでしょう。
通院しての治療をスタートする前に、まずは自分で排卵のタイミングを計ってセックスしてみることが、不妊治療のプレスタートとなります。
妊活を始めようと思い始めるまでは、そのときの気分で排卵日とは関係なくセックスしていたかもしれませんが、赤ちゃんが欲しいと願うなら排卵の日を狙うようにしてみましょう。
基礎体温を計って、だいたいの日を把握。排卵日予測検査薬も、処方箋がなくても手に入るので、基礎体温と併せて使ってみるといいでしょう。
自分たちでタイミングを計る方法で、月経周期6回分トライしてみて妊娠できなかったら、不妊治療のクリニックに行くという判断をしてもいいと思います。
年齢が高くなるほど、妊娠率は下がってくることを忘れないでください。
女性が35歳未満だったら6周期分待ってみてもいいけれど、35歳以上だったら3周期で妊娠しなかったら、医療の力を借りる選択をしたほうが近道です。
一般的な不妊症の定義は「カップルが避妊をせずに定期的なセックスをしていて1年間妊娠しないこと」。
ですが、年齢が高くなるほど、その定義どおり1年間待つのはタイムロスです。そして、年齢に関係なく、検査を受けて原因がわかればすぐに治療を始めることができます。
待っているだけではもっと不妊期間は長くなるのです。
気になったら、まずは最初の検査を早く受けて、原因が見つかれば早く治療をスタートしましょう。
そして、タイミングを計ってセックスすることは妊活としても重要ですが、夫婦のコミュニケーションとしても大切なこと。自然に妊娠できれば、それに越したことはないのですから。
排卵のタイミングをうまくつかむ方法
不妊治療のプレスタートとなる、排卵のタイミングを計る方法です。まずここから試してみましょう!
1・ 基礎体温をつける

このころが排卵日ということをハッキリさせるためには、基礎体温をつけることが基本中の基本です。
基礎体温だけではピンポイントのタイミングはだいたいしかわかりませんが、それでも月経周期が把握できて初めて妊活は始まります。
2・ 排卵チェッカーを使う

さらに「このあたりが排卵日」と狙いが定まったら、排卵日予測検査薬でチェック。
以前は処方箋が必要でしたが、今はドラッグストアで手軽に入手できるので、通院はハードルが高いと感じる人はまずここからスタートしてみては?
また、排卵チェッカーの使い方は、妊娠検査薬とほぼ同じ。
尿の中のLH (黄体形成ホルモン)値をチェックして判定。価格帯は1週間~10日分3000円前後~が目安。
3・ 「その日だけ」じゃないことも大切
数打てば当たる、というわけではありませんが、排卵日だけセックスするのではやはり妊娠の確率は下がります。
精子の数や活動率も大切ですが、それよりも夫婦で仲よくする時間も重視して。
リラックスしたセックスを楽しむことは、妊活には大切な時間でもあります。
不妊治療を始める目安
一般的な定義は「カップルが避妊をせずに定期的なセックスをして1年間妊娠しないこと」ですが、実際には…
○女性が35才未満なら6周期(約半年間)
○35歳以上なら3周期(約3ヶ月間)
上記の目安で妊娠しなければ、不妊治療の受診を検討しよう!
【監修】齊藤英和先生

産婦人科医師。栄賢会 梅ヶ丘産婦人科 ARTセンター長。国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 副センター長を経て現職。長年、不妊治療の現場に携わる中で感じてきたことから、加齢による妊娠力の低下や、高齢出産のリスクについての啓発活動も行う。著書に「妊活バイブル」(共著・講談社)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著・講談社)など。
■イラスト/itabamoe
■取材・文/関川香織(K2U)、生田有希子
※記事内容、日付、監修者の肩書、年齢などは掲載当時のものです。
▼『妊活たまごクラブ2020-2021年版』は、妊活に役立つ情報が一冊に詰まった妊活スタートブック。
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