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受ける?受けない?出生前診断

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出生前診断で何がわかるの?

 出生前診断とは、妊娠中のお母さんの血液や羊水を採り検査して、赤ちゃんに先天性の疾患がないかどうか、その可能性について調べる検査のことをいいます。

 実際、先天性疾患のある赤ちゃんは、出生児のうち3~5%です。その中でも染色体疾患によるものは25%程度です。出生前診断は、主にこの染色体疾患(13トリソミー、18トリソミー、ダウン症候群...21トリソミー)の可能性を調べるもの。

 ここ数年の間にその技術は進歩し、母親の出産年齢が上がっていることもあり、検査を希望する夫婦は増えてきているのが現状です。ただ実際検査を受け、おなかの赤ちゃんに疾患がある可能性が高いとわかったときに、どういう選択をするのか、という難しい問題も出てきます。

現在の出生前診断法は?

 出生前診断といわれる検査はいくつかあります。ここではその具体的な方法などを紹介しましょう。

●画像で判断する「胎児超音波検査」
これは通常の健診で行う超音波検査とは違い、妊娠11~13週に時間をかけて赤ちゃんの形態的変化(奇形)や染色体疾患の可能性を評価します。ただ染色体疾患については、非確定的検査です。確定診断のためには、羊水染色体検査や絨毛(じゅうもう)染色体検査が必要です。なお、コンバインド検査といって超音波での所見と血液検査から、ダウン症候群などの染色体疾患の確率を示されることもあります。

●クアトロテストと呼ばれる「母体血清マーカー検査」
 妊娠15~18週に、お母さんの血液を採取して染色体疾患、とくにダウン症候群の可能性を評価するものです。結果が出るまでに10日間程かかり、確率で表示されます。非確定的検査で、確率が高い場合は確定診断を検討しなければなりません。目安はありますが、羊水検査を受けるかどうかは夫婦で決める必要があります。

●確定検査である「羊水染色体検査」「絨毛染色体検査」
 羊水染色体検査は、妊娠15~18週で行われます。超音波で赤ちゃんの位置を確認しながら、細長い針を腹壁から羊水腔に挿入し(羊水穿刺:ようすいせんし)、羊水を15~20mlほど採取します。羊水中の赤ちゃんの細胞を培養して、個々の細胞で染色体を調べるのです。結果が出るまでには約2週間。検査時間は10分程度で終了しますが、流産などのリスクが伴います。

 絨毛染色体検査は妊娠11~14週に行われ、妊婦さんの腹壁や腟から針を挿入し絨毛を採取し、培養して染色体を調べる検査です。流産などのリスクは、羊水検査より高く、結果が出るまでにはやはり2週間かかります。

●最近開発された新しい検査「母体血胎児染色体検査」(NIPT)
 この検査は妊娠10週以降にお母さんの血液を採取して、血液中のDNAの断片を最新技術により分析し、胎児の染色体疾患の可能性評価をするものです。安全で検査精度が高い点で注目されている検査ですが、倫理的問題の議論があり、日本では、2013年より日本医学会で認定された施設で臨床研究として検査が開始されました。2015年8月現在、53施設で検査を実施しています。結果がわかるまで、約2週間かかり、陽性・陰性で表示されます。非確定的検査ですが、陽性的中率の高い検査です。陽性の場合には、羊水検査による診断の確定が必要です。

 この検査は、もちろん全員が受けるものではなく、臨床研究に参加可能な妊婦さんで対象となるのは、高年妊娠(分娩予定日に35才以上である)、染色体疾患のあるお子さんを妊娠、もしくは分娩したことがある人、超音波検査や母体血清マーカー検査で陽性の確率が高かった人などのうち、検査を希望した人です。

 事前に「出生前相談外来」などで十分な遺伝カウンセリングを受け、検査の内容や検査を受けるメリット・デメリットについてよく理解する必要があります。

出生前診断を受ける前に考えてほしいこと

 出生前診断を受けるか受けないかを最終的に決定するのは夫婦です。検査の内容や方法、時期、リスクなどを理解することはもちろんですが、「安心のため」と軽い気持ちで検査を受けたとしても、当初想定していなかった結果や選択に悩まざるを得ない状況になる可能性があることも考えておく必要があります。また、最終的におなかの赤ちゃんに病気があることがわかっても、根本的な治療ができないことが少なくありません。そのときに、どのような決断をするのかについても事前によく話し合っておくことが大切です。

 さらに、検査ですべての先天性疾患がわかるわけではありません。検査でわかる病気は全体の一部。生まれてからわかる病気もあり、成長していく中でかかる疾患や、大人になってから障害にいたることもあるなど、私たちは皆なんらかの病気や障害と隣り合わせで生活をしているのです。障害があるということは、その人のごく一面でしかありません。障害があっても、本人も家族も生き生きと生活している人がたくさんいる、ということも知っていてほしいと思います。

 検査の内容を聞いて、「高齢出産だから受けなければいけない」と感じたり、まわりから検査を受けることをすすめられていたりする場合もあるかもしれません。しかし、決してまわりから進められて受けるものではないし、まわりの人にすすめる検査でもないのです。検査でわかること、わからないこと、検査を受けることによるメリットやデメリットをしっかり理解したうえで、夫婦で十分話し合い、納得して選択するようにしてほしいと思います。選択のために悩む時間は、大切な時間だと私は思います。



監修:笠井靖代 先生
日本赤十字社医療センター 第三産婦科部長

専門は高年出産や出生前の遺伝カウンセリング、母乳育児。著書「35歳からのはじめての妊娠・出産・育児」(家の光協会)「はじめての妊娠・出産 毎日ケアBOOK」(朝日新聞社)など。NHK「すくすく子育て」のコメンテーターとして出演。 「出産はゴールではなく、長くつづく育児のスタートラインにたつことでもあります。妊娠出産の経過はひとそれぞれ違いますから、あまり他の人とくらべすぎずに、ご夫婦で主体的に出産にするという意識を持つことが大切です。そして、楽しく希望を持って育児をしていただきたいです。」

※この記事は「たまひよコラム」で過去に公開されたものです。

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