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自覚症状なし! 脳出血のリスクも。医師が妊婦を“妊娠高血圧症候群”にさせたくない

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妊娠中の女性の医者。
Vasyl Dolmatov/gettyimages

自覚症状がないにもかかわらず、重症化すると母体と胎児にさまざまな問題を引き起こすといわれている“妊娠高血圧症候群”。リスクが高い人はどんな人? 診断後の生活は? 出産は? 予防法は? 知っておきたいことをまとめました。

関連:「妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)」の症状と対策

妊婦健診で毎回血圧を測るのはなぜでしょうか? それは高血圧が “妊娠高血圧症候群”の注意すべき症状だからです。“妊娠高血圧症候群”になると、母体の血管に負担がかかり、脳出血や内臓の機能障害を起こしたり、おなかの赤ちゃんの発育が悪くなったりと、さまざまな問題を引き起こす危険性があります。状態が悪い場合、母子の命にかかわることもあります。妊娠中もっとも警戒すべき病気“妊娠高血圧症候群”について、産婦人科医の幾石尚美先生にお話を伺いました。

“妊娠高血圧症候群”の原因は?

妊娠中の血圧は、非妊娠時より10mmHg程度低くなるのが普通です。それなのに、血圧が高くなってしまう理由ははっきりとしていませんが、胎盤と子宮をつなぐ〈子宮らせん動脈〉に問題があるという説が有力です。通常、もともと子宮にあった〈子宮らせん動脈〉は、おなかの赤ちゃんへたっぷりの血流を供給するため、受精卵が着床後、トロホブラスト(胎盤をつくる細胞の一種)という細胞により、収縮しない太い血管へと置き換わります。ところが、妊娠高血圧症候群ではそのプロセスで問題が起こり、十分に太い血管に置き換われないため、血管が収縮していまい、母体の血圧は上がってしまいます。

診断基準は? 治療は?

妊娠をきっかけに血圧が高くなった場合や、高血圧にタンパク尿が伴う場合に“妊娠高血圧症候群”と診断されます。

●軽症の定義

高血圧
収縮期
140mmHg以上
160mmHg未満
拡張期
90mmHg以上
110mmHg未満

タンパク尿
1日で0.3g以上
2g未満

●重症の定義

高血圧
収縮期
160mmHg以上
拡張期
110mmHg以上

タンパク尿
1日で2g以上

“妊娠高血圧症候群”の治療や出産は、軽症と重症で異なります。根本的な治療法がないので、血圧をコントロールし、さらなる重症化を防ぐ治療がメインになります。軽症の場合は塩分を控えた食事と安静生活が基本。体重増加が著しい場合は、カロリーを抑えた食事が指示されます。重症の場合は、入院治療になります。入院中は、医師の判断でおなかの赤ちゃんに影響のない降圧剤や、血液をサラサラにする薬を使用して、食事の管理、血圧のコントロールをしながら、おなかの赤ちゃんの成長を見守ります。

“妊娠高血圧症候群”を予防しよう① リスクが高い人ってどんな人?

妊娠高血圧症候群”には、母体自身の血管の変化という側面もあるため、下記の状態での妊娠は、発症リスクが高いといえるかもしれません。また、妊娠は母体への負荷が強まる現象なので、多胎妊娠だけでなく、単胎でも後期になると発症しやすくなることもあります。

40才以上での妊娠(初産)

一般的に35才以降は高血圧になりやすく、40才以上はさらにアップするといわれています。

肥満

BMI{体重〈㎏〉÷(身長〈m〉)2}が25.0以上の場合は注意が必要です。

妊娠初期の拡張期血圧が80mmHg以上

拡張期血圧が80mmHg以上だと血圧が上がりやすい傾向があります。

血縁に高血圧の人がいる

家族歴がない人に比べて約2~5倍発症リスクが高いといわれています。

前回の妊娠で妊娠高血圧症候群を発症

初産で発症した人は、次の妊娠でも発症する可能性が高くなります。

持病がある

腎臓病や糖尿病といった持病がある人は血管が傷ついているので発症率が上がりやすいといえます。

“妊娠高血圧症候群”を予防しよう② 「もしかして?」の症状や気をつけたいことをチェック!

“妊娠高血圧症候群”にならないためには、体調の変化に敏感になっておくことが大事。頭痛や頭痛を伴う吐きけ、目の前がチカチカするなどの症状は血圧が高くなっている可能性があります。しばらく安静にしても治まらないときは、医師へ相談を。気をつけたいこともチェックしておきましょう。

毎日、血圧を測る習慣を

妊婦健診は2~4週間ほど間があくため、妊娠前から血圧が高めな人や、妊娠中に血圧が上がり始めた人は自宅でも血圧を測る習慣づけが望ましいです。起床後、活動前の1回でOK。測定の結果は健診時に医師にチェックしてもらいましょう。

妊婦健診をきちんと受ける

妊婦健診では毎回血圧測定と尿検査をして、高血圧の兆候がないかはもちろん、ママとおなかの赤ちゃんの様子を総合的にチェックしています。健診と健診の間で気になったことを先生に相談できる時間でもあります。

体重増加に気をつける

1カ月に1㎏程度の体重増加を目安に、低カロリー、高たんぱくのヘルシーな食事を心がけましょう。妊娠前から太り気味の人は妊娠中に血圧が高くなるリスクを抱えているので、急激に体重を増やしすぎないようにしましょう。

塩分摂取に注意する

塩分の高い食事は高血圧を起こしやすいといわれています。1日7.5g未満を心がけましょう。めん類の汁は飲まない、だしや香辛料を利かせるなど、減塩を意識して。

適度な運動を心がける

適度な運動は、体の代謝をアップ。急激な体重増加を防ぎ、発症リスクを抑えられます。1日30分程度のウォーキングやおなかに負担のないストレッチがおすすめ。頑張りすぎず、無理のない範囲で続けましょう。

ストレスをためないようにする

ストレスは血圧を上げる原因の一つ。赤ちゃんが中心になる産後の生活も考え、今から心身をリラックスさせる“訓練”をしておくといいでしょう。家事や仕事に忙しい妊婦さんは、必要なときは周囲に頼ることも大切です。

ビタミン類を意識してとる

トマトやブロッコリーなどに含まれるビタミンCやビタミンEの抗酸化作用は、動脈硬化の予防にいいといわれています。同じく血管のトラブルでもある妊娠高血圧症候群の発症予防にも効果が期待できます。旬の野菜、新鮮な野菜をたくさん食べましょう。

関連:【動画】妊娠中に頭痛がしたら要注意。妊娠高血圧症候群の可能性も!

“妊娠高血圧症候群”は、高血圧をきっかけにさまざまな母体の合併症やおなかの赤ちゃんの発育不全を引き起こす可能性があり、いったん発症すると、出産するまで改善しにくいといわれています。つまり、予防がとても大切です。健診と健診の間、注意できるのはママ自身です。気になることがあれば医師に相談しましょう。(文・たまごクラブ編集部)

■出典
たまごクラブ2019年7月号「医師たちはなぜ、妊婦を“妊娠高血圧症候群”にさせたくないのか?」特集より
■監修
厚生中央病院 産婦人科 部長 幾石尚美先生

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